決算発表本格化!好業績・上方修正期待の中小型株8選
投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実
2024/01/31
当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証グロース市場・スタンダード市場の中小型株を中心に、好業績が期待される銘柄や、投資家の皆様が気になる話題についてわかりやすくお伝えします。
新興株ウィークリー
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決算発表本格化!好業績・上方修正期待の中小型株8選
1月相場が終わろうとしています。内外主要指標のパフォーマンス(1/29終値を前年末終値と比較)は以下の通りです。
東証グロース市場指数・・・・+0.9%
東証スタンダード市場指数・・・+4.5%
東証プライム市場指数・・・+6.9%
S&P500指数・・・+3.3%
米10年国債利回り・・・+20bp
日本株、特に主力大型株の好パフォーマンスが目立つ1ヵ月でした。米金利は上昇しましたが、前年10月以降の金利低下に対する反動の域はでず、「適温相場」を背景に米主要指数も最高値更新の動きとなり、日本株への追い風になりました。そうした中、新NISAスタートに伴う新資金流入やそれを期待した海外投資家の買いは、主力大型株が中心となり、中小型株は、「蚊帳の外」に置かれた状況でした。
1/29(月)時点の市場別予想PBR(株価純資産倍率)は、東証プライム市場が1.36倍、東証スタンダード市場が1.03倍、東証グロース市場が3.34倍でした。割安株を選好する流れも継続しており、同じ中小型株でも、東証スタンダード市場の方が東証グロース市場に比べ、堅調な動きとなりました。
こうした中、先週から東京株式市場でも決算発表が始まりました。上記したように、市場別に株価の勢いは異なっていますが、この時期は「企業業績」が他の時期以上に重要な株価材料になります。中小型株物色対象として現状は「蚊帳の外」かもしれませんが、それだけに逆に、業績面を考慮すれば出遅れ状態の銘柄も多いかもしれず、投資妙味の大きい銘柄が潜んでいる可能性もありそうです。
そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、今後決算発表が予定される銘柄の中、好業績、さらには業績予想上方修正が期待される銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。
(1)東証グロース市場、または東証スタンダード市場に上場
(2)時価総額1,000億円未満
(3)1/26(金)まで過去20営業日の1日当たり平均出来高が2万株以上
(4)決算月・・・3月、6月、9月、12月
(5)予想EPSを公表しているアナリストが2名以上
(6)直前四半期(23年7-9月期)営業増益率が10%超で、通期市場予想営業増益率を上回っている。かつ最終増益
(7)今期市場予想営業利益が増益予想
(8)来期市場予想営業利益が10%超の増益予想
(9)信用規制銘柄を除く
図表の銘柄は上記条件のすべてを満たしています。掲載は、直前四半期(23年7-9月期)営業増益率が高い順です。
【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移
【参考】 1/23(火)~1/30(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄
■図表 決算発表本格化!好業績・上方修正期待の中小型株8選
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄名 | 株価 (1/30・終値) |
23.7-9期 営業増益率 |
来期市場予想 営業増益率 |
3900 | 3900 | 3900 | 3900 | クラウドワークス(9)【2/9】 | 1,320 | 566.0% | 24.5% |
6327 | 6327 | 6327 | 6327 | 北川精機(6)【2/9】 | 693 | 450.0% | 22.3% |
9229 | 9229 | 9229 | 9229 | サンウェルズ【2/9】 | 2,352 | 164.3% | 46.1% |
3277 | 3277 | 3277 | 3277 | サンセイランディック(12)【2/14】 | 1,051 | 135.5% | 21.9% |
6547 | 6547 | 6547 | 6547 | グリーンズ(6)【2/13】 | 2,082 | 126.1% | 18.5% |
3773 | 3773 | 3773 | 3773 | アドバンスト・メディア【2/9】 | 1,993 | 99.6% | 18.6% |
7320 | 7320 | 7320 | 7320 | 日本リビング保証(6)【2/9】 | 3,115 | 96.2% | 23.7% |
6145 | 6145 | 6145 | 6145 | NITTOKU【2/9】 | 1,865 | 23.6% | 14.7% |
- ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成
- ※市場予想はBloombergコンセンサス
- ※銘柄名右横()内は決算月。無印は3月決算。【】内は決算発表予定日
一部掲載銘柄を詳細に解説!
■クラウドワークス(3900) ~クライアントとワーカーを結びつける国内最大のプラットフォームを運営
★日足チャート(1年)
- ※データは2024/1/31(日足)11:30時点。
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
★業績推移(百万円)
- ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。
■ネットに仕事を掲載し、ワーカーを集める仕組み
企業など仕事を委託したいクライアントと、それを受託するワーカーを結びつけるプラットフォームを運営しています。23年9月末現在、93万社のクライアント、ワーカー588万人が登録する国内最大級のプラットフォームとなっています。
クライアントとワーカーをネット上で結びつける「ダイレクトマッチング」の場合、クライアントがワーカーに支払う業務委託料の5~20%のシステム委託料を当社がワーカーから受け取る仕組みです。広告掲載をした場合はさらに広告料が発生する場合があります。
クライアントが当社に仕事を依頼し、当社が仕事をさらにワーカーに委託する「エージェントマッチング」では、当社が業務委託料をエージェントから受け取り、ワーカーに報酬(原価率は50~80%)に支払う仕組みです。
この他、リモート時代の働き方を可視化し、生産的な現場を実現するSaaS事業(顧客から月額使用料金)にも展開しています。
売上構成比(23.9期)は「ダイレクトマッチング」17%、「エージェントマッチング」82%となっていて、後者の方が圧倒的に大きくなっていますが、発生する業務委託料でみると両者はほぼ同じで、売上総利益でも差は少ないです。
■業績は順調に拡大~生成AI活用も
23.9期は売上高132億円(前期比24%増)、営業利益11.5億円(同23%増)と増収増益。左図の通り、四半期単位でも、20.9期4Qをボトムに順調に拡大しています。
24.9期は売上高158億円(前期比20%増)、営業利益12.7億円(同10%増)が会社予想。また、市場予想営業利益は今期13億円台、来期16億円台となっています。
中期目標では、20.9期の売上総利益27.5億円を年率30%ペースで拡大させ、26.9期に100億円を目指すとしています。23.9期の売上総利益は61億円で、年率30.7%となっており、現状では中期目標を上回るペースになっています。
足元では生成AIの活用を前提とする業務の委託が23年11月時点で前年同期比8倍に増えており、業務委託料が高額になる案件が増えている模様です。
また、AI分野では、PKSHATechnology(3993)と事業提携し、マッチングの改善に取り組んでいます。こうした新しい動きを含め、24.9期1Qがどのようなスタートを切ったのか、2/9(金)の決算発表に注目です。
■サンセイランディック(3277) ~権利関係が複雑な不動産のスペシャリスト。23.12期は過去最高業績を更新予定!
★月足チャート(10年)
- ※データは2024/1/31(月足)11:30時点。
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
★業績推移(百万円)
- ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。
■権利関係が複雑な不動産のスペシャリスト。大手が参入しづらいニッチ分野で活躍
1976年設立、複雑な権利調整を要する不動産に特化した企業です。「底地(読み方:そこち)」や「居抜き(住人がいる古いアパート等)」などの問題解決を事業を通して行っています。不動産会社は多数あれど、権利調整ビジネスをメインとして扱う上場企業は全国唯一です。
まず、簡単な用語解説をさせていただきます。「底地」とは、ひとつの土地の “持つ権利” と “使う権利” が分かれている状態です。
なぜ底地という複雑な状態が発生したのでしょうか。遡ること明治時代、財政の安定化を図った政府は、土地所有者に対し高額な税金を課しました。庶民には到底払えない金額であったため、土地を借りて家を建てる人が増加した流れです(同社資料より)。複雑な権利構造の底地は、一般的な所有権と比べ、市場価値が下がる等のデメリットが挙げられます。
同社は、「底地」と「借地権」を購入し権利をひとつにして借地者(実際に住んでる人など)に販売。そのため、景況感に左右されづらく、安定的なビジネスが期待されます。さらに、単に販売するだけでなく、土地自体の付加価値を高めることができるという点が強みです。例えば、役所と交渉して敷地内の道路を延長したり、接道を確保することで家を建てられる面積を増やすなど、ニッチ分野で長年蓄積した多数のノウハウを有しています。
もう一つの主力である「居抜き(入居者がいる収益性の低い古いアパートなど)」では、まずオーナーから入居者がいる状態で物件を買い受けます。その後、退去交渉を行い、建物を解体し土地を売却するという収益構造です。
■相続件数の増加に伴い市場供給量は増加の見通し。今期、過去最高業績を更新予定!
底地・居抜きは、相続件数の増加に伴い市場供給量の増加が見込まれています。
ただ、コロナ禍では、従来の営業活動ができなかったことから、20.12期は前期比大幅減益でした。以降は、順調な回復が継続しています。
2/14(水)に発表予定の23.12期業績では、売上高235億円(前期比51%増)、営業利益21億円(同45%増)と、会社計画では過去最高を更新する見通しです。3Q時点までは、堅調な業績推移を示しています。売上・各利益が計画通りの進捗となっている他、仕入れも高水準を維持しているようです。
1/30(火)時点の株価は、2018年以来の高値水準に位置しています。期中に2回の上方修正を行っており、1,090円台をつけたタイミングが複数ありました。そこを抜ければ、上値の軽い展開が予想されるでしょう。昨年、8月下旬以降、横ばいの状態が続き、本決算発表に向けエネルギーを貯めている状態かもしれません。
23.12期は10期連続での増配実施を予定しており、株主還元意欲の高さも窺えます。
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