新NISA活用も!決算発表シーズンで業績上方修正が期待される銘柄7選

新NISA活用も!決算発表シーズンで業績上方修正が期待される銘柄7選

投資情報部 淺井一郎/栗本奈緒実

2024/01/19

新NISA活用も!決算発表シーズンで業績上方修正が期待される銘柄7選

24年の日経平均は5日から15日にかけて6営業日続伸。9日に昨年来の高値水準である33,753円を終値ベースで上回ると、そのまま一気に36,000円台を目指す展開となりました。17日は利益確定の売りに押されて終値では反落したものの、取引時間中に一時36,239円と約34年ぶりの高値を更新する場面も見られました。

1/18に日本取引所から発表された投資部門別売買動向によると、日経平均が大きく上昇した1月第2週(9-12日)において、海外投資家が日本株を1兆4,439億円(現物+先物)と、昨年4月以来の大幅な買い越しとなっており、海外投資家の買いが相場上昇をけん引したことが分かります。

海外投資家が日本株を買う理由は様々なことが考えられます。その最も大きな理由は日本株が割安だということでしょう。昨年、世界的に著名なバリュー株(割安株)投資家のウォーレン・バフェット氏が、日本株の買い増しを検討していると報じられたことは記憶に新しいところです。また、昨年、東京証券取引所が低PBR(株価純資産倍率)の企業に対して是正策を求めたことで、企業の資本効率の改善への期待も高まっていると見られます。また、新NISAの開始に伴って、個人投資家の安定的なマネー流入に対する期待も、海外投資家が日本株を買う理由となっていたのかもしれません。

年初から大きく上昇した日経平均は、短期的に見れば過熱感が台頭しており、一旦、上値の重い展開となっても不思議ではありません。しかし、1/16の「225の『ココがPOINT!』新NISAスタート!「日経平均上昇継続」の意外なシグナルは?」でも指摘したように、意外にあっさりと、一段高となる可能性も十分に考えられます。


そうしたなか、国内はこれからいよいよ23年10-12月期決算発表シーズンがスタート。主要企業は、1/24のニデックなどが先陣を切り、そこから徐々に本格化する中、2月第2週(2/5-9)にピークを迎えます。

今回の決算発表は、3月期決算企業にとって対象は第3四半期で、トラックレースに例えると、いよいよ最終コーナーに差し掛かった勝負どころであり、通期業績についても、ある程度、目途がたってくるタイミングと考えられます。中間期の決算発表シーズンでは、実績が好調に推移した企業でも、先行きへの不透明感から通期業績予想の上方修正を控え目に留める企業も目立ちました。しかし、今回の決算発表シーズンでは思い切った業績修正を行う企業が出てくる可能性があるでしょう。

今回の日本株投資戦略では、好業績または業績予想上方修正が期待できそうな3月期決算企業(東証株価指数採用銘柄)を探してみました。スクリーニング条件は以下の通りです。


(1)東証株価指数採用銘柄のうち3月期決算企業(除く金融)
(2)Quickコンセンサス(Qコン)のアナリスト予想が2社以上
(3)中間期営業利益の進捗率(対通期会社予想)が過去6期平均を5%pt以上超過
(4)中間期売上高の進捗率(対通期会社予想)が過去6期平均を3%pt以上超過
(5)今期予想営業利益(Qコン)が会社予想を10%pt以上上振れ
(6)今期予想営業利益(Qコン)が2桁増益、来期は増益予想
(7)直近の今期会社予想が期初予想から下方修正されていない

図表の銘柄は、上記の条件をすべて満たし、今期市場予想営業増益率(Qコン)の高い順に掲載しています。

■図表 新NISA活用も!決算発表シーズンで業績上方修正が期待される銘柄7選

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄名 終値(円)
【1/18】
今期市場予想
営業増益率
来期市場予想
営業増益率
7220 7220 7220 7220 武蔵精密工業 1,599 102.4% 22.4%
8136 8136 8136 8136 サンリオ 6,180 78.3% 17.3%
2222 2222 2222 2222 寿スピリッツ 1,993.5 57.7% 20.1%
9202 9202 9202 9202 ANA HD 3,139 38.5% 11.7%
6201 6201 6201 6201 豊田自動織機 12,360 29.9% 7.0%
6417 6417 6417 6417 SANKYO 9,016 17.7% 5.6%
8279 8279 8279 8279 ヤオコー 8,541 14.7% 4.6%
  • ※今期・来期の予想営業増益率はQuickコンセンサス予想
  • ※会社公表データ、Quick Workstation Astra ManagerデータをもとにSBI証券が作成

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■武蔵精密工業(7220) ~電動自動車向け受注拡大などを背景に本格的な業績拡大局面入りを期待

★日足チャート(1年)

  • ※データは2024/1/19 (日足)11:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■ホンダ系列の自動車部品メーカー

自動車部品メーカーでシャフトやギアなどを手掛けています。ホンダ系列(持ち分法適用会社)であり、ホンダ向けが約5割を占めますが、それ以外は国内外の完成車メーカー向けです。国内売上高が12%に対し、海外売上高は88%(米国24%、アジア24%、中国11%、欧州29%)となっています(2023年3月期、自動車部品等の売上の内訳)。

■中間決算発表時の業績予想の修正は控えめ?

昨年11/6に発表された中間決算(23/4-9)は、売上高が1,695億円(前年同期比+19.5%)、営業利益は67億円(同+360.3%)となりました。国内は半導体不足による減産からの回復や、材料費高騰分の売価反映などもあり収益が改善。一方、海外は円安などを追い風に、米州やアジア(除く中国)で収益が拡大し、欧州も大幅な赤字縮小となりました。

中間決算発表時に会社は通期業績予想について、売上高を3,100億円から3,200億円、営業利益については110億円から140億円へ上方修正しました。
もっとも、修正後の予想を基にした中間期の売上高進捗率は52.99%と過去6期平均(47.46%)を大きく上回っています。かつ、下半期の売上高予想については、上半期の実績(1,696億円)を考慮すると減収予想となっており、保守的な印象が見受けられます。また、下半期の為替前提は1ドル=130円と、実勢の円相場に対して大幅な円高前提となっていることも、業績の上振れ要因になると考えられます。第3四半期決算において、売上にブレーキがかかっていなければ、通期業績予想が上方修正される可能性があるでしょう。

■業績は25年3月期から本格回復期へ

自動車部品メーカーである同社は、コロナショック後、コロナ禍や半導体不足による自動車生産の停滞の影響を受けました。現状はこうした影響が一巡してきていますが、業績が苦しかったころに取り組んだ生産性改善が、生産の回復とともに収益の改善に大きく貢献することが期待されます。業績面としては、来期(25年3月期)以降、本格的な回復局面に入ることが期待されます。

■電動自動車向け販売拡大に期待

また、中長期的な成長を支えるポイントとなるのが、電動自動車(EVやPHEV、HEV)向け受注の拡大でしょう。中間期決算では、中国向けが唯一、業績の改善が鈍かったのですが、中国大手電気自動車メーカーのBYDや自動車部品大手ネクスティア向けに、電気自動車の足回り部品の新規受注を獲得しました。今後もこうした部品の販売が拡大することに従って、株価も評価されることが期待されるでしょう。

■ヤオコー(8279) ~安さだけではない食品スーパー。34期連続で増収・増益(単体)

★週足チャート(5年)

  • ※データは2024/1/19 (週足)11:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■安さだけではない食品スーパー大手

食品スーパー大手。1890年(明治23年)、埼玉県小川町に『八百幸商店』という名称で、八百屋として創業しました。

関東近郊で200店舗(ヤオコー183店舗、エイヴイ13店舗、フーコット4店舗)を展開しています(24.3期上期末時点)。
安さを重視する「価格訴求型」ではなく、「豊かで楽しい食生活提案型スーパマーケット」がコンセプトです。

献立を提案するクッキングサポートや、季節感を打ち出した青果売り場、要望に応じて下処理を行う鮮魚売り場などの専門コーナーを設置。食の専門店化が店舗数拡大の背景にあります。中でも人気の理由は、豊富な種類お惣菜です。店内製造比率が高く、目の前で作る出来立ての商品が人気。2023年3月にはSPA*推進部を新設し、製造業小売化の推進を進めています。

*SPA…製造・流通・販売まで一気通貫で行うビジネルモデル。
収益性の向上を目指せる。ユニクロなども導入。

利益率が低水準に沈みがちな食品スーパー業界の中でも、同社の営業利益率は4.6%と高水準です(23.3期)**。AI自動発注システムを全店で稼働するなどで効率化を図っています。

**【ご参考】ライフコーポレーション:同2.5%(23.2期)、いなげや:同0.7%(23.3期)、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス:同0.9%(23.2期)

■34期連続で増収増益を達成※単体

前期(23.3期)は、連結で売上高5,644億円(前期比5%増)、経常利益255億円(同9%増)と増収増益。24.3期を最終年度とする中期経営計画の目標値も上回る結果となりました。また、ヤオコー単体では、34期連増で増収増益を更新しています。

“おいしさ”と“安さ”、消費の二極化対応が奏功し、コロナ特需後も、継続的に成長を遂げてきました。産地フェア等を行う一方で、「厳選100品」などで価格強化を実施しています。

今上期(23.4-9期)時点では、売上高3,049億円(前年同期比9%増)、経常利益193億円(同23%増)と順調。3Q(10-12月)の既存店売上高はヤオコー単体で107-108%で推移しており、2/13(火)の決算発表に向けてポジティブな材料です。

1/18(木)時点の株価は、コロナ特需につけた高値の手前に位置しています。2020/8につけた8,850円を突破できれば、一段高に期待感がもてるでしょう。

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