新NISAスタート!「日経平均上昇継続」の意外なシグナルは?

新NISAスタート!「日経平均上昇継続」の意外なシグナルは?

投資情報部 鈴木英之 栗本奈緒実

2024/01/16

真空地帯に突入し、絶好調な日経平均

1月第2週(1/9-12)の日経平均は、前週末比2,199円69銭高(+6.59%)と週足ベースで大幅高。期中の日経平均は連騰し、バブル後高値を毎日更新しました。過去の累積売買高が少ない「真空地帯」に突入し、上昇に弾みを付けています。1/15(月)には節目である36,000円を、約33年11ヵ月ぶりに突破するなど破竹の勢いです。

年初来、世界主要株価指数に対し、日本株が際立って好パフォーマンスとなった格好です。同期間の米国市場はS&P500が+1.8%、おもにグロース株で構成されるナスダックが+3.1%でした。大きな要因の1つに、新NISA開始による新規資金の流入があります。また、日本株の中でも主力大型株への物色が目立ちました。中小型のグロース株をメインに構成される東証グロース市場指数は同期間+1.3%と大きく劣後する結果となりました。

日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(1/5~12・図表7)の首位は、ディー・エヌ・エー(2432)です。1/5(金)、出資先である日本最大手のタクシー配車アプリ「GO」の上場準備開始を発表。投資回収への期待感から買いが集まりました。2位には1/11(木)の引け後に決算発表を行った衣料品最大手のファーストリテイリング(9983)がランクイン。北米・欧州での販売好調などを背景に、堅調な業績推移となりました。同社株は日経平均の寄与度トップで10.45%(2023年末時点)のウェートを占めており、日経平均の好パフォーマンスに大きく貢献した形です。

日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(1/5~12・図表8)では、軒並み下落幅は小さかったです。首位のレゾナック・ホールディングス(4004)や2位の神戸製鋼所(5406)は、足元で高値を付けていたことで、利益確定売りが増えたようです。

1月後半からは、いよいよ23年10‐12月期決算の発表がスタートします。企業が好業績見通しを示すことができれば、日本株の一段高に向け期待感が高まるでしょう。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(1/5~12)

図表8  日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(1/5~12)

新NISAスタート!「日経平均上昇継続」の意外なシグナルは?

1/5(金)~1/15(月)の日経平均株価は6営業日続伸となり、上昇率は7.8%に達しました。この間、米国株の顕著な上昇や、強い好材料があった訳ではなく、新NISA開始による資金流入を感じさせる展開となりました。1/15(月)には、日経平均株価が一時36,000円の大台を回復。日経平均株価が36,000円台を付けていたのは1990/2/20(火)が最後で、実に33年11カ月ぶりの高値水準を回復したことになります。

これからどうなるでしょうか。1/15(月)時点で日経平均株価の25日移動平均線からのかい離率は7.2%に達しました。テクニカル的には、RSI(相対力指数)も「買われ過ぎ」の70%を超えてきました。「短期的には調整局面入りしても不思議ではない」と考えるのが一般的だとみられます。しかし本当にそうでしょうか。

図表9 日経平均株価(月足)の長期推移~36,000円以上は「真空地帯」?

上記したように、日経平均株価は1990/2以来の高値水準を回復したことになります。周知のとおり、日経平均の過去最高値は「平成バブル」ピークの1989/12/29につけた38,915円87銭です。そこから36,000円に下げるまではわずか2ヵ月弱しかありませんでした。冒頭でも触れましたが、現状の株価から38,915円に至る株価水準は、滞留期間が極めて短い「真空地帯」にあるとみられます。

すなわち、36,000円も、37,000円も、そして38,000円もチャート的には、それほど重要な節目(上値抵抗ライン)にはなっていないと考えられます。日経平均株価が短期間に最高値を回復する可能性は十分ありそうです。

図表10 日経平均株価~「25日移動平均かい離率7%超え」以降のパフォーマンス

テクニカル指標で、短期的な過熱感(または下げ過ぎ)を判断する指標はおもに3つあります。これらは、売買タイミングを計る際に使われ「オシレーター系指標」とも呼ばれています。

(1)25日移動平均かい離率・・・日々線の25日移動平均線からのかい離率が5%超で「上げ過ぎ」で、-5%超で「下げ過ぎ」
(2)RSI(相対力指数)・・・70%を超えると「買われ過ぎ」で、30%を割ると「売られ過ぎ」
(3)騰落レシオ・・・120%を超えると「買われ過ぎ」で、70%を割ると「売られ過ぎ」

これらの指標を使うことにより、株式相場を冷静な目でみて、冷静な判断を行う一助になるとみられます。なお、数字は一応の目安で、絶対的なものではありません。

ただ、「オシレーター系」の指標は、相場がもみ合いから上下に放れた後は、すぐに「過熱」となりやすいという注意点があります。中長期的な相場トレンドを示しているとは限らない点も注意です。個別銘柄への適応にも課題が残ります。

図表10は、過去10年で日経平均株価の25日移動平均線が長く7%以下で推移した後に、7%超えとなった際、20営業日後の株価がどうなっているのかを調べたものです。これをみてもご理解できるように、この現象が起きた6回のうち、5回は株価が上昇していることがわかります。
※23年6月の事例で、25日移動平均は7.0%ですが、小数点未満を加味し、7%を超えています。

25日移動平均かい離率が7%を超えることは、何年に1回程度しかなく、むしろ、その後は上昇する可能性が多いことを示唆していると考えることができそうです。

※RSI(相対力指数)(%)・・・(14日間の株価上昇日の上昇金額の合計)/(14日間の株価騰落幅の絶対値の合計)×100
※騰落レシオ(%)・・・(25日間の値上がり銘柄数の合計)/(25日間の値下がり銘柄数の合計)×100

図表11 日経平均株価「1年後」の想定シナリオ~来期10%増益なら4万円も?

日経平均株価は、以下の式で計算することができます。
(日経平均株価)=(予想EPS)×(予想PER)

「予想EPS(1株利益)」が企業業績という「現実」を示し、「予想PER」が「期待」や「夢」を表すのであれば、
「株価」は「夢と現実の掛け算」と考えることができるでしょう。

1/12(金)時点で、日経平均株価は35,577円11銭、予想PERは15.63倍なので、
(日経平均予想EPS)=35,577円11銭/15.63=2,276円21銭

(日経平均35,577円11銭)=(予想1株利益2,276円21銭)×(予想PER15.63倍)

上図は1年後の日経平均の予想EPSについて、いくつかのパターンを想定し、それにPER12~16倍のPERを掛けた場合の日経平均を示したものです。1/15(月)時点で、日経平均採用銘柄をひとつの会社とみなした場合の来期予想増益率(純利益ベース)は6.4%でした。したがって、1年後の予想EPSは2,422円前後と想定されます。

コロナ以後の東京株式市場では、日経平均株価の予想PERはおおむね12~16倍で推移してきました。予想PERは「期待」や「夢」といった市場の心理を示すので、数字が低いほど市場は弱気、強いほど強気とみなすことができます。

日経平均株価の時価は、来期5%程度の増益を織り込んだ企業業績をPER15倍で買っている水準に近く、十分説明がつく範囲内で形成されているとみなされます。また、来期6.4%の増益を予想PER16倍で織り込むならば、株価は限りなく過去最高値に接近すると計算することができます。そしてさらに、日経平均株価が40,000円を超えるためには、企業業績が上振れ、来期10%超の増益シナリオに現実味が出てくることが望まれます。1月後半からは、いよいよ23年10‐12月期決算の発表がスタートします。企業が好業績見通しを示すことができれば、日本株の一段高に向け期待感が高まるでしょう。

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