新NISAスタート!~10期連続増配&高配当利回り期待の銘柄を探る

新NISAスタート!~10期連続増配&高配当利回り期待の銘柄を探る

投資情報部 鈴木英之/栗本奈緒実

2024/01/05

新NISAスタート!~10期連続増配&高配当利回り期待の銘柄を探る

「令和6年能登半島地震」(以下「能登半島地震」)により亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

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2024年の株式市場は波乱含みのスタートとなりました。1/4(木)の日経平均株価は一時、770円超下げる場面がありました。能登半島地震や日本航空と海上保安庁の航空機衝突等、災害や事故が相次いだ他、年始の米国株の下げが影響した様です。これらを受け、今後の東京株式市場がどう動くかに関しては、1/4(木)付の「マーケットフラッシュ」で、ご説明していますので、ご参考いただければ幸いです。

2024年全般の見通しについて考えるならば、昨年に続き、米金融政策の行方が鍵を握りそうです。基本的には、同国政策金利がどこかのタイミングで引き下げ局面に移行し、金融相場の色彩が濃くなってくると予想されます。一方、東京市場では「新NISA」がスタートし、個人投資家による新規マネーが流入し、株式市場を下支えすることが期待されます。

個人投資家の多くが関心をもつとみられるのが、「配当」です。株式投資において、NISAを活用し、非課税の対象になるのが「配当」および「譲渡益」ですが、後者については計算しにくいのが現実です。しかし、「配当」については、投資時点である程度計算が可能であり、一般的に配当利回りの高い銘柄が投資家の関心を集めやすいと思います。

しかし配当も、企業の業績や利益還元政策により変動するのが一般的です。配当が毎期変動するようでは、安定した長期運用の対象としにくいのが現実です。投資家サイドからみれば、業績が安定していて、配当が毎期着実に増える傾向のある銘柄は、長期投資の対象として魅力的に映ると思われます。

そこで、今回の「日本株投資戦略」では、「新NISA」を活用して長期投資する際、業績が安定し、配当利回りが高く、連続増配が期待できる銘柄を抽出すべく、以下のようなスクリーニングをおこなってみました。

(1)東証プライム市場上場(証券業を除く)

(2)3月決算銘柄

(3)時価総額が2,000億円超(2023/12/29時点)

(4)市場予想(Bloombergコンセンサス)配当利回りが3.1%超(2023/12/29時点)

(5)今期(24.3期)で10期以上の連続増配を実施予定

(6)EPSを予想しているアナリストが2名以上

(7)前期本決算発表以降、通期予想純利益の下方修正を発表していない

(8)銀行、証券、保険を除く

図表1の銘柄は上記(1)~(8)の条件をすべて満たしています。掲載は(4)の予想配当利回りが高い順です。東証プライム市場の平均予想配当利回りは2.1%(23年11月データ)なので、本レポートでは(4)の条件(会社予想配当利回り3.1%超、平均より1%以上の高水準)を満たすことで「高配当利回り銘柄」と位置付けております。

■図表 新NISAスタート!~10期連続増配&高配当利回り期待の銘柄を探る

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 終値(円)【12/29】 市場予想
配当利回り
7313 7313 7313 7313 テイ・エス テック 1,706 4.3%
8593 8593 8593 8593 三菱HCキャピタル 946.8 3.9%
3231 3231 3231 3231 野村不動産ホールディングス 3,709 3.5%
4204 4204 4204 4204 積水化学工業 2,032.5 3.5%
1721 1721 1721 1721 コムシスホールディングス 3,110 3.4%
7164 7164 7164 7164 全国保証 5,315 3.3%
4206 4206 4206 4206 アイカ工業 3,412 3.3%
  • ※会社公表データ、Bloombergデータ、をもとにSBI証券が作成
  • ※予想配当利回りは市場予想の年間配当金をもとに算出

掲載銘柄をご紹介

ここでは、上表で掲載した銘柄について、業務内容や業績、株主還元政策を中心に、ご説明したいと思います。

■テイ・エス テック(7313)~自動車用内装品を中心とするグローバル企業。26.3期DOE3.5%を計画

四輪車用シートを中心に、自動車用内装品を開発から生産まで一貫して手掛けています。筆頭株主はホンダ(持株比率は23.9末時点で24%)で、全世界のホンダ車のシートの約6割(前期)を同社製シートが占めています。米国を中心に海外売上高比率が85%を占めるグローバル企業です。
11/10(金)に、24.3期業績見通しを上方修正。受取利息増加や円安効果により、純利益は130億円→152億円と上方修正されました。1株配当は23.3期まで11期連続増配となっています。24.3期は会社計画で73円を見込み、前期の63円から12期連続増配の計画です。中期計画では、DOE(株主資本配当率)を24.3期予想3.1%から、26.3期に3.5%まで高める方針です。3月末時点で100株保有の株主にクオカード500円相当を贈呈する株主優待も予定しています。

■三菱HCキャピタル(8593)~リース大手。25期連続増配を計画

21年4月に、銀行・商社系の三菱UFJリース(中核事業はリース・ファイナンス)と、メーカー系の日立キャピタル(金融サービスが得意)が経営統合して現在に至ります。23.3期の純利益1,165億円(調整前)に対する構成比は、カスタマーソリューション(法人・官公庁向けリース他)32.7%、海外(欧米中心にファイナンスソリューション他)24.9%、ロジスティック(海上コンテナ・鉄道貨車関連)13.1%他となっています。
24.3期の会社予想純利益は1,200億円(前期比3%増)です。上半期までの進捗率は43.9%にとどまるものの、航空事業が下期偏重であることに加え、海上コンテナリースが好調で挽回を見込んでいます。24.3期は1株配当37円・25期連続配当が会社計画です。24.3期~26.3期の配当性向40%が会社側のイメージです。

■野村不動産ホールディングス(3231)~「プラウド」ブランドのマンションが主力。今期は12期連続増配へ

「プラウド」ブランドのマンションで知られる「住宅部門」が主力で、売上構成比46.2%(前期)を占めています。オフィスビル等を開発する「都市開発部門」が同30.4%、マンション・オフォスビルの管理を含む「サービス・マネジメント分野」が同25.5%を占めています。24.3期2Q累計は売上高3,683億円(前期比17%増)、営業利益613億円(同25%増)と、増収増益を確保。通期では売上高7,500億円(前期比14%増)、営業利益1,030億円(同3%増)を見込みます。

25.3期までは「総還元性向40~50%」を株主還元方針としています。24.3期は1株130円(12期連続増配)を計画するとともに、10/26(木)に自社株買い(上限株数260万株、同取得金額70億円、期間23/10/27~24/3/31)を決議し、実施中です。26/3~31/3期には、配当性向(24/3期予想34.8%)を「40%水準」に高める方針です。

■積水化学工業(4204)~複数事業で活躍する大手化学メーカ。11.3期以降、連続増配

住宅(23.3期の売上高構成比43%)、パイプシステムを軸とするインフラ(同18%)、世界シェアNo.1製品を擁しエレクトロニクス分野等でも活躍する素材(同32%)の3事業をメインに展開中です。海外売上高の割合は4割で、円安が業績の押し上げ材料となっています(23.3期)。連結配当性向は40%以上、総還元性向50%以上*、DOE(自己資本配当率)3%以上を確保し、業績に応じ、かつ安定的な配当政策を実施してゆくことを方針に掲げています。コロナ禍となり、20.3期-22.3期は最終減益でした。しかし、DOE(分母に自己資本が含まれ、配当額が当期業績のみに左右されづらい)などの指標も用いているため、確認できる限り、11.3期からの連続増配が継続中です。

*D/Eレシオ0.5以下であれば、50%以上 中期計画の投資進捗、キャッシュポジション、 株価を考慮し、適宜追加還元実施

■コムシスホールディングス(1721)~ITソリューションや社会システム関連などで拡大。総還元性向は70%が目安

通信ネットワーク事業を展開。従来から主力のNTT設備事業では伸び鈍化を見込む一方で、ITソリューションや社会システム関連などの成長事業で業績拡大を図っています。成長事業の手持ち工事高は、好調な受注を背景に来期は増加となる見通しです。
株主還元施策では、総還元性向(分母が自己資本含まれる)は70%が目安です。今期(24.3期)は、11期目となる連続増配が実施予定の他、上限50億円の自己株式の取得(実施中)や自己株式800万株の償却(済)を行っています。

■全国保証(7164)~全国の金融機関と提携し、保証事業を展開。上場来、増収・増益・増配つづく

全国の金融機関と提携し、住宅ローンを中心とした信用保証事業を展開。日本唯一の独立系保証会社です。住宅ローンの連帯保証を受け入れることで、顧客(借入人)より受領する保証料が同社の収益となります。
日銀の大規模金融緩和による住宅ローン残高の増加や住宅価格の高騰等が追い風となり、業績は堅調です。2012年12月の新規上場以降、一貫して増収増益、さらに増配が続いています。今後の日銀による金融政策の動向には、注意が必要としつつ、変動金利の短期的かつ大幅な上昇は見込んでいません。返済額の増加による、影響は少ないと想定しているもようです。
26.3期が最終年度の中期経営計画では、配当性向が段階的に50%まで引き上げられる計画。今期(24.3期)は、配当性向40%で、1株当たりの配当金は170円で10年前(14.3期:配当性向22%)の5.6倍超となる見通しです。

■アイカ工業(4206)~化学メーカー兼、建材メーカー。25期連続減配なし、15期連続増配予定

化粧板(木目調などに加工された板)・接着剤の大手。化成品事業(売上構成比58%)と建装建材事業(同42%)、2つの事業を展開(23.3期)。化成品事業では接着剤や建築樹脂、建装建材ではメラミン化粧板やボード・フィルム等を取り扱っています。メラミン化粧板は、テーブルなどの表面素材に用いられているもので、同社が国内シェア1位を誇ります。今期(24.3期)は、化成品が低調なものの、建装建材が非住宅市場で好調となり、前期比で増収増益となる計画です。
25期連続で減配をしていない上、今期(24.3期)は15期連続での増配を実施予定です。減配をしない累進配当を継続することを基本方針として掲げています。

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