一時大幅安となった「大発会」株式市場の今後は?
投資情報部 鈴木 英之
2024/01/04
2024年が始まりました。本年もよろしくお願いいたします。
なお、「令和6年能登半島地震」(以下「能登半島地震」)で被災された方へ心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。「令和6年能登半島地震にかかる災害救助法の適用」に関するお知らせはこちらのページをご確認ください。
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1/4(木)「大発会」となった東京株式市場では、売りが大きく先行する展開になりました。日経平均株価は午前中、一時、前年末終値に比べ771円弱安くなる場面もみられました。午前終値も前年末比415円超下落しています。背景は以下の3つと考えられます。
(1)1/3(水)の米国市場で、株価が大きく下落したこと
(2)能登半島地震や、日航機と海上保安庁航空機の衝突事故等、事故・災害が相次いだこと
(3)大発会の日の株価は大きく変動しやすいというアノマリー
(1)については、1/3(水)に公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨(23年12月12~13日開催分)を受け、「FRB(米連邦準備制度理事会)は、利下げに関し、市場の期待よりも慎重」との見方が広がったことが主因です。四半期がかわり、これまで大きく上げていたテック株に対する利益確定売りが膨らんだことも影響したとみられます。
(2)については、能登半島地震で大きい余震が起こる可能性が残っていることや、被害の全容が把握されていないこと等、株式市場が未消化の状態になっているとみられます。後者の航空機事故についても、原因究明は今後本格化するとみられます。
(3)について、過去10年「大発会」の日の日経平均株価は、前年末比の変動幅(上昇・下落にかかわらず、騰落幅の絶対値)の平均は420円超と、大きく変動しやすいというアノマリーがあります。年始・年末中の株価材料を一気に織り込まなければならないことが要因とみられます。
今後はどうなるでしょうか。(3)は一時的な要因が中心とみられますので、(1)と(2)について検討したいと思います。
(1)について市場では「2024年のFRBは、3月のFOMCで最初の利下げを行い、年内に0.25%の利下げを6回程度実施する」というのが、中心的な見方になっています。これに対し、FRBメンバーの中心的な見方は3回の利下げとなっています。この開きが、どのような形で収れんしていくのかは、2024年の投資ポイントのひとつと考えられます。1/3公表のFOMC議事要旨だけで米金融政策を判断するには材料不足とみられます。
(2)のうち能登半島地震について、当面の余震の可能性が低下することが落ち着きに向けた前提条件になりそうです。被害の全容が判明し、原発稼働への懸念等が後退するにつれ、株価は落ち着く可能性がありそうです。株式市場では、地場を中心とする建設株や、建機や建設資材のレンタル・リース会社等が物色されており、当面は復興に寄与しそうな銘柄が買われる可能性がありそうです。なお、航空機事故については、すでに日本航空(9201)が150億円の損失見込み額を発表しています。乗客全員の無事避難を実現できたことを評価する向きも多く、この件については、織り込みが進捗しているとみられます。
2024年全般については、世界的に金利が低下傾向(日本を除く)との見方が中心であり、グロース株が上昇しやすい年になりそうです。昨年末時点で、日経平均採用銘柄をひとつの企業とみた場合、来期は6%前後の純増益が見込まれており、少なくとも、それを織り込んでの株価上昇に期待したいところです。繰り返しになりますが、能登半島地震からの一日も早い復興を心より祈念したいと思います。
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