日経平均は足元もみ合いから、大きく動く可能性も?

日経平均は足元もみ合いから、大きく動く可能性も?

投資情報部 淺井一郎 栗本奈緒実

2024/01/30

高値を維持する日経平均。36,000円前後で攻防が継続

1月第4週(1/22-1/26)末の日経平均は、前週末比212円20銭安(-0.6%)。22日(月)に約33年11ヵ月ぶりの高値を更新して以降、調整気味でした。36,000円が節目として意識される展開が続いた後、米半導体大手インテル(INTC)が弱気な業績見通しを示したことで、日本の半導体関連株にも売りが波及しました。

同週、日経平均株価採用銘柄の上昇率(図表7)首位は、大平洋金属(5541)でした。18日(木)の引け後、政策保有株1銘柄を売却し24.1-3期におよそ10億円の売却益を計上すると発表。同社の今期(24.3期)最終損益予想は24億円の赤字で、業績への影響は他の要因とあわせ精査中としました。しかし、財務体質や資本効率の向上につながるとの見方や、旧村上ファンド系が5%超保有していることが判明し、思惑買いが入った格好です。また、インテルの弱気業績見通しで1/26(金)こそ反落したものの、週を通じては堅調な株価推移となった富士電機(6504)などの半導体関連株の一角が前週に続きランクインしました。

日経平均株価採用銘柄でもっとも下落率が大きかった銘柄(図表8)は、SUMCO(3436)でした。前週の株高の反動があったとみられます。同様に、足元の株価推移が堅調だったリクルートホールディングス(6098)やキッコーマン(2801)等が特段の悪材料が発生していない中、売られた形です。6位にランクインした半導体大手ルネサス(6723)は、25日(木)にNEC(6701)と日立(6501)が保有する全株式を売却すると発表し、需給悪化の懸念から売られました。

1/29(月)の日経平均は再び36,000円台を回復。強い押し目買い意欲が継続しています。1月第5週(1/29~2/2)は、670社超の企業による決算発表やFOMC会合、米主力テック株の決算発表等が実施予定です。重要日程が目白押しのため、相場動向により一層の注意が必要な期間となりそうです。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(1/19~26)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(1/19~26)

日経平均は足元もみ合いから、大きく動く可能性も?

1/29(月)の日経平均は275円高の36,026円となり、終値で36,000円台を2営業日ぶりに回復しました。

今年の日経平均は、年明けから堅調に推移。日経平均は1/9(火)に昨年7/3につけた高値(33,753円)を上抜けると、そこから大幅上昇局面へ入りました。図表9の日経平均チャートで見ると、昨年後半以降の日経平均は、赤い点線(A)と(B)のレンジ内で推移していたのに対し、(B)の上値抵抗線を超えて上昇基調に入りました。1/23(火)の取引時間中に日経平均は36,984円まで上昇しましたが、これは(A)と(B)のレンジを同幅でかさ上げした上値目途である(C)の水準に達しており、急激な株価上昇に達成感が生じたようです。

日経平均の騰落レシオ(25日)は、1/29で141.66%と120%を大きく超え、過熱感が意識されやすい水準にあります。また、騰落レシオの先行きをシミュレーションすると、今週内は騰落レシオが高止まりするため過熱感が意識されやすいと考えられます。テクニカルの観点から見れば、日経平均が改めて上値をトライするのは、騰落レシオの低下が明確になると見られる来週以降になると考えられます。

そうした中、今週は米国において日本株の動向を占う上でも注目されるイベントが相次ぎます。テクニカル面から見れば短期的に上値が追い難い状況ではありますが、米国の動向次第では日本株についても大きく動く可能性があるため、要注目となります。

図表9  日経平均と騰落レシオ(25日)

まず、23年10‐12月期決算発表シーズンが本格化している米国では、マグニフィセント7銘柄など、大手テクノロジー企業を中心に注目の決算発表が相次ぎます。具体的には1/30(火)にマイクロソフト、アルファベット(グーグル)、アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)。2/1(木)にアップル、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、などが決算発表を行う予定です。

リフィニティブ調査によると、米主要企業(S&P500企業)による1/26時点(500社中124社が決算発表済)の予想増益率は前年同期比+4.9%。1/1時点の予想増益率(+4.7%)から上方修正されましたが、例年の動きに比べると、今のところ小幅な上方修正に留まっています。上述のとおり、今週は主要企業の中でも特に業績のけん引役になることが期待される企業の決算発表が続くだけに、業績改善期待が高まるか注目したいところです。

図表10 米主要企業(S&P500)の増収・増益率

一方、株式市場にとって要注意のイベントになる可能性があるのが、1/30、31に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)でしょう。同会合では、金融政策の変更を予想する声はほとんど聞かれないですが、年内に予想される利下げ開始の時期や年内の利下げ回数について、何かしらのヒントがあるか注目されています。

図表11はNASDAQ総合指数(赤線)と市場が予想する24年の利下げ回数(青線)について示したグラフです。昨年の秋以降、利下げ観測が強まって青線の、利下げ回数の予想が上方修正されるのに歩調を合わせて株価(NASDAQ総合指数)が上昇してきました。しかし、年明け以降は、過度な利下げ観測が修正されたにもかかわらず株価の上昇が続いています。現時点(1/29時点)の市場が予想する利下げ回数は約5.5回であり、FOMC政策メンバーによる24年の利下げ回数予想の中央値(3回)と差があります。今回のFOMCにおいて、早期利下げに消極的な姿勢が示されれば、市場の利下げ期待も後退することが予想されます。そうなれば、これまで堅調に推移してきた株価上昇にブレーキがかかる可能性があります。

また、米国では2/2(金)に1月雇用統計が発表されます。毎月、もっとも関心の高い経済統計の1つですが、今回は前述の2つのイベントの注目度が高く、雇用統計が株式市場に及ぼす影響は相対的に小さくなるかもしれません。

その雇用統計ですが、非農業部門雇用者数の市場予想は前月比+18.5万人(12月速報値:同+21.6万人)、失業率は3.8%(12月は3.7%)、平均時給は前月比+0.3%(12月は同+0.4%)と、いずれも前月よりも若干の鈍化が見込まれています。同予想を上振れした場合、米国のインフレ懸念が強まって金利上昇が予想されます。日米の金利差に着目すれば、米金利上昇による円安・ドル高の影響が注目されるでしょう。一方、雇用統計が市場予想を“大きく”下回った場合、米景気の回復シナリオが崩れる可能性があります。その場合、リスク回避的な株安に加え、米金利低下による円高進行も日本株の重石となる可能性があるでしょう。

図表11 NASDAQ総合指数と市場の予想する利下げ回数の推移

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