エヌビディア好決算!好業績中小型半導体株に「出番」?
投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実
2024/02/28
当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証グロース市場・スタンダード市場の中小型株を中心に、好業績が期待される銘柄や、投資家の皆様が気になる話題についてわかりやすくお伝えします。
新興株ウィークリー
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エヌビディア好決算!好業績中小型半導体株に「出番」?
東京株式市場の上昇が続いています。日経平均株価は2/22(木)終値が39,098円68銭となり、過去最高値(1989年の大納会終値=38,915円87銭)を更新しました。その後も上値を追う展開になっています。
最高値更新日を含む2/20(火)~2/27(火)、日経平均株価は2.3%の上昇でした。これに対し、東証グロース市場指数は1.5%上昇と劣後しました。年初来の上昇率(2/27時点)は、日経平均株価の17.3%に対し、東証グロース市場指数が8.9%、東証スタンダード市場指数7.7%にとどまり、大型株優位、中小型株劣後の状況が続いています。
中小型株劣後の背景として、企業改革の主体が大型株だったこと、米金利上昇がグロース銘柄の逆風になったこと等は、これまでもご説明しました。ただ、もうひとつ忘れてはならないことは、現在の株式相場の主役として半導体関連株がその一翼を担っていることがあげられます。
かつて、日本は「半導体王国」として、世界をリードしてきました。今は、エヌビディアやアーム、韓国サムスン電子、台湾のTSMCなど海外半導体メーカーの存在が目立っていますが、それでも日本の製造装置や部材の分野には、高い市場シェアを有する多くの半導体関連企業が存在しています。
ただ、それらの企業の多くは、東証プライム市場に属し、東証グロース市場などには関連企業が少なくなっています。半導体という人気テーマに関連する企業の多い少ないが、市場間の勢いの差に表れているのかもしれません。
そんな半導体市場ですが、ここもと回復色が鮮明になってきています。WSTS(世界半導体統計)が毎月発表する世界半導体出荷は2022年7月から23年8月までは前年比減少が続いてきましたが、23年9月以降プラスに転じています。最新データの2023年12月には、前年同月比19%増と回復色が強まりました。2/21(水)に発表されたAI(人工知能)向け半導体トップであるエヌビディアの決算は市場予想を大きく上回り、米国および日本株の最高値更新を演出しました。
そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、中小型の半導体関連銘柄の中から、業績回復傾向が出てきた銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。
(1)東証スタンダード市場、またはグロース市場上場銘柄
(2)2/22(木)までの20営業日で1日当たり平均出来高が2万株以上
(3)SBI証券の銘柄検索ウィンドウに「半導体」と入力すると出力される銘柄
(4)直近四半期(3ヵ月)の営業利益が、前年同月比で20%超の増益
(5)信用規制銘柄に該当していない
図表の銘柄は上記の条件をすべて満たしています。掲載の順番は、(4)にある直近四半期の営業増益率が高い順(ただし黒字転換が最上位)となっています。
【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移
【参考】 2/20(火)~2/27(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄
■図表 エヌビディア好決算!好業績中小型半導体株に「出番」?
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄名 | 株価 (2/27・終値) |
年初来 株価騰落率 |
直近四半期 営業増益率 |
5381 | 5381 | 5381 | 5381 | Mipox | 562 | 24.3% | 黒字転換 |
6927 | 6927 | 6927 | 6927 | ヘリオステクノホールディング | 584 | 17.3% | 黒字転換 |
7885 | 7885 | 7885 | 7885 | タカノ | 1,052 | 11.9% | 黒字転換 |
6882 | 6882 | 6882 | 6882 | 三社電機製作所 | 1,707 | 28.9% | 607.7% |
3652 | 3652 | 3652 | 3652 | ディジタルメディアプロフェッショナル | 3,090 | 17.5% | 202.4% |
7711 | 7711 | 7711 | 7711 | 助川電気工業 | 1,335 | 13.5% | 130.5% |
1966 | 1966 | 1966 | 1966 | 高田工業所 | 1,861 | 23.0% | 40.8% |
4970 | 4970 | 4970 | 4970 | 東洋合成工業 | 9,480 | 13.7% | 38.6% |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
- ※年初来株価騰落率は本年2/27終値を昨年末株価と比較した騰落率です。
- ※直近四半期営業増益率は、直近四半期(3ヵ月)営業利益の前年同期比増減率です。
一部掲載銘柄を詳細に解説!
■Mipox(5381)~「塗る、切る、磨く」を極めた技術力をコアにした事業を展開
★週足チャート(3年)
- ※データは2024/2/27 (週足)15:00時点。
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
★業績推移(百万円)
- ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。
■研磨剤等「製品」のほか、受託加工事業も
創業(1925年)から続く箔(金属等をたたいて薄く伸ばしたもの)の製造技術を応用し、「塗る」「切る」「磨く」等の技術をコアにした事業を展開している企業です。
売上高(23.3期)の37%が、HDD関連、半導体、光ファイバー等で使われる研磨剤、同42%が自動車、鉄鋼関連等で使用される研磨剤の製造・販売となっています。顧客から材料を受け取り当社設備で加工する受託事業が同21%で、シリコンウェハを預かり、研磨加工を受託する事業も含みます。
国内事業が約55%に対し、海外事業も45%弱を占めるグローバル企業の側面も有しています。
数多くの工程を経る半導体製造工程において、当社はシリコンウェハ加工における、ほぼすべての行程で作業が可能となっています。
■業績は底打ちから、来期は回復も視野?
24.3期3Q累計(23.4~12)の売上高は66.4億円(前年同期比14.3%減)、営業損失4.62億円(前年同期は2.49億円の黒字)でした。データセンター向けの投資が回復に手間取ってきたことが要因です。
通期業績予想については昨年11/13の2Q決算発表時に、営業損益を当初計画の5億円利益から、7億円赤字へと大幅下方修正。また、本年2/13の3Q決算発表時に、配当計画を無配とする修正を行っています。
今期の営業損益を四半期(3ヵ月)単位でみると、1Qの赤字3.36億円、2Qの赤字1.73億円から、3Qは0.46億円の利益へと黒字転換しています。ハードディスク関連、および半導体関連売上高は1Qを底に改善傾向ですが、24.3通期ではこのまま赤字が残る見込みです。
ただ、足元の半導体出荷額は回復傾向で、25.3期の黒字転換に期待がかかるところです。
株価は21年10月の高値1,353円から、業績予想下方修正後の昨年12月安値402円まで70%超の下げとなりました。2/27終値562円までの反発では、下げの17%を戻したに過ぎないため、業績底打ち・回復の確度が上がってくれば、株価の戻り余地も広がるとみられます。
■三社電機製作所(6882) ~パワー半導体を持つ電源機器専門メーカー。株価は上場来高値に接近中
★月足チャート(10年)
- ※データは2024/2/27 (月足)15:00時点。
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
★業績推移(百万円)
- ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。
■パワー半導体を持つ電源機器専門メーカー
今期(24.3期)創業90周年を迎える、電源機器事業とパワー半導体事業を展開する企業で、高効率電力変換技術に強みを有しています。
祖業は、全国の映画館で使用される「映写機用電源(映写機から発する光源用の電源を安定させるための機器)」の開発です。1962年、パワー半導体事業をスタートし、海外進出と国内の生産拠点の拡大を続けています。
国内10拠点(内4工場)、海外7カ国9拠点(内2工場)を展開。海外売上高比率は34%で、うち中国が過半数です(23.3期)。
▷電源機器事業
(売上高構成比69%、海外売上高比率25%、23.3期)
環境・エネルギー分野、インフラ設備分野等を支える多種多様な産業向けに展開。パワー半導体を搭載した高性能な製品も取り扱っています。「小容量から大容量。標準からカスタム対応」を掲げ、製品展開は幅広いです。スマホや自動車分野で活躍する表面処理用電源は、国内シェア1位を誇ります(会社資料より)。
▷半導体事業
(売上高構成比31%、海外売上高比率56%、同)
大電流・電圧の制御などの電源装置に使用されるパワー半導体を産業用電源向けに展開。FA分野の製造用ロボットや業務用エアコン、新幹線など車輛用補助用電源などで使用されています。ターゲット市場であるサイリスタ/ダイオードモジュール市場では世界シェア3位を獲得(会社資料より)。
■好業績を背景に、株価は上場来高値に接近中
2022年11月、三菱重工業(筆頭株主:8.9%の同社株を保有、23年9月時点)と日東工業(4.5%の同社株保有、同)と資本業務提携契約を締結しました。
今期3Q(4‐12月期)決算発表では、売上高236億円(前年同期比19%増)、営業利益33億円(同438%増)と大幅増益となりました。2Q決算発表から連続で、通期会社予想の各利益項目の上方修正を実施。営業利益見通しは30億円ですが、3Q 時点で進捗率は111%と堅調です。
半導体事業は在庫調整局面が継続する前提で、通期では減収減益となる見通しです。ただ、現実の半導体市況は回復傾向です。
電源機器事業では、高付加価値化が進み、当該事業での営業利益が前年同期比8倍以上まで伸長しました。一般産業(産業施設や工場などで使用される電力供給システム)用電源のほか、あらゆる電源機器の売上が堅調だったもようです。
今期(24.3期)は会社計画を発表(昨年5/10)後、株価は一段高となりましたが、その後本年1月頃まで横ばいでの推移が続きました。直近の3Q決算発表(1/29)後さらに一段高した形です。2018年2月につけた上場来高値水準を抜ければ、上値の軽い展開が期待できるでしょう。
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