4万円到達へ視界良好!?日経平均は新上昇波動入りか
投資情報部 淺井一郎/栗本奈緒実
2024/02/13
日経平均は約34年ぶり高値を更新。アーム大幅上昇でソフトバンクGが連れ高
2月第1週(2/5-9)末の日経平均は、前週末比739円40銭高(+2.04%)となり週足ベースで続伸しました。取引時間中には、37,000円台の大台を突破。週内最終営業日の9日(金)の終値は1990年2月以来、約34年ぶりの高値をつけた格好です。
上昇相場の主役は一部の大型株でした。日経平均への寄与度の高いソフトバンクグループ(9984)の23%超の大幅高が背景にあります。同期間、プライム市場全体の値動きが指数化されたTOPIXは+0.72%、中小型のグロース株で構成された東証グロース市場指数は+0.16%と、日経平均(+2.04%)に大きく劣後したことから明らかです。
日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(2/2~2/9.図表7)では、首位と第2位には決算発表で業績予想の上方修正が好感された2銘柄がランクイン。第3位は前述ソフトバンクグループ(9984)でした。同社傘下で英国の半導体設計のアーム(ARM)が現地時間2/8(木)の決算発表後、大幅高となったことで連れ高しました。アーム(ARM)は同決算発表で、AI向け需要拡大を背景とした売上の増加を示した上、24.3期の売上高及びEPS見通しの上方修正を実施。市場が募らせていたAI関連の業績伸長期待に応えた形です。同決算発表後から12日(月)にかけ、株価は93%超の大幅上昇となりました。
日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(2/2~2/9.図表8)は、決算発表が不発となった銘柄が多数ランクイン。業績予想の下方修正が嫌気されました。また、2位のシャープ(6753)は、24.3期の最終損益が100億円の黒字予想から一転、100億円の赤字となる見通しを発表。液晶パネル等のデバイス事業での苦戦が続いているもようです。
2月第2週の日経平均は、前日の米株高を受け、取引時間中に700円超高をつけるなど好調なスタートを切りました。同週は、10-12月期の決算発表が山場を迎える中、米1月消費者物価指数(CPI)などの重要な経済指標の発表が予定されています。目下、明るい企業業績の見通しが、FRB(連邦準備制度理事会)による早期利下げ開始観測の後退というマイナス材料を押している形です。しかし、決算発表一巡後に再びマイナス材料として意識される可能性も想定されるため、インフレ指標の発表には注意を払う必要があるでしょう。
図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景
図表2 日経平均株価
図表3 NYダウ
図表4 ドル・円相場
図表5 主な予定
図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定
図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(2/2~2/9)
図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(2/2~2/9)
4万円到達へ視界良好!?日経平均は新上昇波動入りか
2/9(金)の日経平均の終値は36,897円と34年ぶりの高値を更新。取引時間中には一時、1/23(火)につけた取引時間中の高値(36,984円)を超え、更に37,000円の大台を突破する場面もありました。さらにCME日経平均先物価格は、3連休中に37,000円台を大きく上回っており、週明けの日経平均は大台突破の展開となっています(2/13前場時点)。
日経平均は年明けから堅調な展開が続いています。1/23の前回の高値到達時には、日経平均の5週移動平均乖離率は前日時点で7.2%、日経平均の騰落レシオは130%超と、いずれも過熱圏とされる5%、120%を大きく超えており、相場の過熱感が指摘されていました。しかし、現状(2/9時点)は、5週移動平均乖離率は2.7%程度とスピード調整が進みました。また、騰落レシオについても現状は120%程度ですが、シミュレーション(値上がり銘柄数・値下がり銘柄数ともに110銘柄で・変わらずが5銘柄という取引が続くと仮定)では、今後の騰落レシオは大幅な低下が見込まれています(図表9)。テクニカル面で見ると、上値を抑制する要因は少ないと言えるでしょう。
では、大台突破の日経平均の次の上値目途はどの程度となるのでしょうか。再び図表9に注目すると、日経平均は昨年後半以降、(A)と(B)の赤い点線に挟まれたレンジで推移していました。それが今年にはいって上抜けし、(A)(B)の同幅でかさ上げされた(C)のラインへ上昇しました。そして今回、(C)のラインを突破したとなると、更に同幅のかさ上げ水準が目途であり、日経平均としては40,000円程度となります。つまり、日経平均は1989年12月につけた史上最高値(38,915円)を超え、未踏の4万円が射程圏内に入ったということが出来るでしょう。
図表9 日経平均と騰落レシオ(25日)
ちなみに、今年に入り日経平均が連日のように高値を更新しているにもかかわらず、メディアでは“約34年ぶり”といった表現が続いていると思われます。これは1989年12月29日(取引最終日)に38,915円の高値をとった後、翌年1月から崖を転げ落ちるかのような株安に見舞われたためです。逆に89年末に向けての日経平均は36,000円を突破したところから上昇に加速がかかり、約1ヵ月で3,000円近く上昇しました。つまり、89年時の株高と90年の株安は、ある意味で実体経済から乖離した値動きだったと考えられます。
一方、現状については、PERやPBRといったバリュエーション面から見ても、割高ではないと考えられます(詳細は1/23の『225のココがポイント』日経平均4万円は通過点!?そのカギを握るのは?を参照ください)。国内では今週で23年10-12月期決算発表シーズンが終了しますが、ハイテクや外需セクターなどを中心に概ね堅調に推移しているようです。Quick社算出の日経平均予想EPS(12ヵ月先予想ベース)についても上昇傾向を辿っています。今後も好業績期待を背景に日経平均は堅調な推移が期待できるでしょう。
図表10 日経平均の予想PERとEPS
図表11 日経平均と株価純資産倍率
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