新NISA向き?~好業績も高配当も期待したい主力20銘柄

新NISA向き?~好業績も高配当も期待したい主力20銘柄

投資情報部 鈴木英之/栗本奈緒実

2024/03/08

新NISA向き?~好業績も高配当も期待したい主力20銘柄

東京株式市場が総じて堅調な値動きになっています。日経平均株価は2/22(木)に、34年ぶりに過去最高値を更新した後、3/4(月)には史上初めて終値が4万円を超えました。年初来上昇率は(3/6時点)は19.8%に達しています。

米エヌビディア株の人気化を背景に、東京市場でも、半導体やAI(人工知能)に関係した銘柄が人気になっています。したがって、一見グロース株優位の展開です。ただ、TOPIXバリュー株指数を同グロース株指数で割った数値をみると、わずかながら上昇しており、実はバリュー株も底堅い展開になっています。さらに高配当利回り株も堅調で、高配当株50指数は年初来で17%上昇(3/6時点)しています。

3/4(月)取引終了後には、大手建設株である大林組(1802)が今期予想配当の大幅上方修正を発表し、翌営業日には株価がストップ高し、他の大手建設株も大幅高となりました。3/6(水)には大手ゲームメーカーのカプコンが配当予想の上方修正・株式分割を発表し、翌営業日の取引は買い先行となりました。株式市場の「配当」に対する関心は依然高いといえそうです。

そこで、今回の「日本株投資戦略」は配当利回りにスポットを当てました。東証プライム市場の69%が3月決算銘柄です。3月の配当取りが意識される中、主力銘柄の中から高配当利回りのみならず、好業績も期待される銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行いました。

(1)東証プライム市場に上場
(2)時価総額2,000億円以上
(3)3月決算銘柄
(4)EPS(1株利益)を予想するアナリストが3名以上
(5)証券を除く
(6)四半期累計純利益の前年同期比増減率が黒字転換、または前年同期比10%超の増益
(7)今期(24.3期)市場予想純利益が増益、または黒字転換予想

図表の銘柄はこれらのすべてを満たし、市場予想(Bloombergコンセンサス)配当利回りの高い順に20銘柄を並べたものです。掲載銘柄の予想配当利回り下限は3.3%ですが、それでも東証プライム市場の平均予想配当利回り2.08%(3/6時点 日経計算)を上回っており、「高配当」利回りが期待できる銘柄として表現できると考えています。

足元の日経平均株価は4万円前後でもみあいとなってきました。年初来の上昇ピッチが速かっただけに、今後も株価が上下に振れる可能性は残りそうです。ちなみに、新NISA(少額投資非課税制度)では、年間240万円までの国内株式投資について、その配当と譲渡益が非課税になる仕組みになっています。譲渡益は運用の成否に左右される部分が大きいですが、配当は比較的計算に入れやすい面があります。

直近四半期まで好業績を確保している銘柄は、相対的に減配リスクが低いと期待されます。好業績かつ高い配当利回りを期待できる銘柄を運用対象に入れることで、投資パフォーマンスを上げやすくなると「日本株投資戦略」では、考えます。

■図表 新NISA向き?~好業績も高配当も期待したい主力20銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 終値(円)
【3/6】
24.3期市場予想配当利回り
1820 1820 1820 1820 西松建設 4,562 5.05%
6417 6417 6417 6417 SANKYO 1,701 5.04%
5406 5406 5406 5406 神戸製鋼所 2,067 4.38%
7202 7202 7202 7202 いすゞ自動車 2,104 4.13%
8410 8410 8410 8410 セブン銀行 296.7 4.04%
5411 5411 5411 5411 JFEホールディングス 2,515.5 3.99%
7994 7994 7994 7994 オカムラ 2,163 3.99%
4208 4208 4208 4208 UBE 2,561 3.90%
7313 7313 7313 7313 テイ・エス テック 1,936.5 3.77%
7240 7240 7240 7240 NOK 2,050 3.71%
4188 4188 4188 4188 三菱ケミカルグループ 863.3 3.71%
9744 9744 9744 9744 メイテックグループホールディングス 3,041 3.64%
6305 6305 6305 6305 日立建機 4,563 3.53%
6301 6301 6301 6301 小松製作所 4,569 3.51%
5020 5020 5020 5020 ENEOSホールディングス 658.1 3.46%
5711 5711 5711 5711 三菱マテリアル 2,674.5 3.42%
8411 8411 8411 8411 みずほフィナンシャルグループ 2,933.5 3.42%
6113 6113 6113 6113 アマダ 1,724.5 3.40%
1861 1861 1861 1861 熊谷組 3,935 3.38%
5334 5334 5334 5334 日本特殊陶業 4,697 3.36%
  • ※市場予想配当利回りは、今期予想DPS(1株配当)のBloombergコンセンサスをベースに計算されています。
  • ※予想配当利回りは、中間配当および期末配当等、年度内に支払われる見込みのすべての配当をもとに計算されています。

一部掲載銘柄を解説!

■西松建設(1820) ~国内建築工事が堅調。配当性向の目安は70%

今年創業150周年を迎える、総合建設会社です。ダムやトンネルなどを手掛ける土木事業(23.3期の売上高構成比35%)、高層ビルや工場などを創る建設事業(同55%)、開発・不動産事業等(同10%)を展開しています。
今期3Q(23.4-12期)は、売上高2,948億円(前年同期比20%増)、営業利益148億円(同24%増)と増収増益、受注高は海外工事が54億円(同86%減)と減少したものの、国内建築工事が1,724億円(同40%増)と大幅に増加。その結果、連結の受注高は2,439億円(同6.1%)と堅調でした。2023~2025年度の配当性向の目安は70%を掲げており、会社計画の24.3期年間1株配当金は173円ですが、市場予想は同230.50円です。前期(23.3期)の年間1株配当金は221円(配当性向89%)、13期連続で非減配の実績を有しています。

■セブン銀行(8410) ~子会社取得で特別利益を計上。過去最高の最終利益となる見通し

「セブン-イレブンにATMがあったら」という顧客の思いから誕生したネットバンクです。全国27,000台以上のATMネットワークを擁し、提携金融機関等の数は669社に上ります。国内でのATM受入手数料がメインの収益源です。海外事業も展開していますが、前期(23.3期)は9.5億円の営業赤字でした。
足元の業績は、コロナ禍での外出控えによるATM利用機会の減少や新紙幣対応の入替コストの増加等で、最終利益も3期連続(21.3‐23.3期)の減益でした。今期(24.3期)は子会社取得で負ののれんを計上する影響で、最終利益が383億円(前期比103%増)と過去最高益を達成する見通しです。通期会社計画に対する3Q(23.4-12月期)時点の進捗率は、経常収益が72%、経常利益が90%、最終利益が95%と堅調。配当性向は年間40%以上を最低目標として掲げており、2014年の上場以来、1度も減配していません。


■神戸製鋼所(5406) ~鉄鋼アルミの他、幅広く展開。配当性向30%目安に還元

23.3期は「鉄鋼アルミ」が営業損益の半分弱を占める稼ぎ頭で、他に電力、機械、建設機械他を展開。24.3期3Q累計営業利益は、「電力」(営業利益構成比46%)における神戸発電所4号機の稼働等により、前年同期比156%増。24.3通期予想営業利益は1,650億円(前期比91%増)、予想経常利益は前回より50億円上方修正され、1,500億円(同40%増)となりました。配当性向の目安は純利益の30%程度で、会社計画では1株90円配(市場予想は90.5円)を見込みます。

■いすゞ(7202)~世界に展開する商用車の大手企業。配当性向40%がメド

150ヵ国以上に事業展開し、海外売上高比率は7割弱です(23.3期)。トラック・バスを製造するほか、ピックアップにも注力。24.3期は厳しい市況で販売台数は下方修正するも、価格対応、原価低減、資材費の落ち着き、円安等を背景に、2Q決算発表時に営業利益の上方修正を実施。営業利益は24.3期3Q累計が前年同期比28%増と好調で、通期では10%増益の会社予想を堅持した格好です。配当性向平均40%が方針で、今期は1株86円配(市場予想は86.92円)を計画しています。

■UBE(4208)~化学、機械、セメントに展開。今期は1株100円配当の計画

化学事業(基礎化学品から先端分野の高機能品まで)、成形機械、薬品等に展開し、UBE三菱セメントを持分法対象事業としています。24.3期3Q累計業績は化学分野の不振を、セメントの値上げ効果等で補い、営業減益・最終黒字転換でした。中計では、DOE(株主資本配当率)2.5%、総還元性向30%(25.3期まで3年平均)が基本方針です。今期の会社予想1株配当は100円(市場予想も同じ)

■テイ・エス テック(7313)~自動車用内装品を中心とするグローバル企業。26.3期DOE3.5%を計画

四輪車用シートを中心に、自動車用内装品を開発から生産まで一貫して手掛けています。筆頭株主はホンダ(持株比率は23.9末時点で24%)で、全世界のホンダ車のシートの約6割(前期)を同社製シートが占めています。米国を中心に海外売上高比率が85%を占めるグローバル企業です。
2023/11/10(金)に、24.3期業績見通しの上方修正を発表。受取利息増加や円安効果により、純利益は100億円→120億円と上方修正されました。3Qも好調を維持しています。1株配当は23.3期まで11期連続増配となっています。24.3期は会社計画で73円(市場予想も同じ)を見込み、前期の63円から12期連続増配の計画です。中期計画では、DOE(株主資本配当率)を24.3期予想3.1%から、26.3期に3.5%まで高める方針です。3月末時点で100株保有の株主にクオカード500円相当を贈呈する株主優待(保有株式数により内容も変化)も予定しています。

■三菱ケミカルグループ(4188)~総合化学、製薬、産業ガス他に幅広く展開。増配継続を目指す。

国内最大化学メーカーの「三菱ケミカル」、大手製薬(ヘルスケア)「田辺三菱製薬」、産業ガスの「日本酸素」等を中核としたグループ会社です。23.3期のコア営業利益3,256億円のうち、ヘルスケアが43.6%、産業ガスが37.2%と高い比率を占めています。ヘルスケアでは、日本イーライリリーとともに、糖尿病薬であり、やせる効果で注目のGIP/GLP-1受容体作動薬「マンジャロ」について、製造販売承認を受けています。
24.3期3Q累計のコア営業利益は前年同期比3%増でした。産業ガスやヘルスケアの好調が貢献し、純利益も前年同期から509%増と大幅改善しました。通期でも40%増が会社予想です。配当政策については26.3期に配当性向を35%にすることを目標に、増配を目指す方針です。今期は1株配当32円(前期は30円)が会社計画(市場予想も同じ)です。

■小松製作所(6301)~好業績を維持。連結配当性向40%以上が方針

建設機械では米キャタピラーに続く世界2位のシェアを有し、産業機械等にも展開しています。1/30に、24.3期3Q(累計)決算を発表し、前年同期比10%の増収、同30%の営業増益を達成。円安や値上げの浸透が貢献しました。3/8付日経報道によると、今期の値上げ効果で通期業績が上振れする可能性もありそうです。連結配当性向は40%以上とする方針です。今期の会社予想1株配当は144円ですが、市場予想は160.29円と上振れを見込んでいます。

■メイテックグループホールディングス(9744)~技術者派遣大手。手厚い株主還元策

製造業を対象とした技術者派遣が中核事業です。デンソーやソニー半導体部門、三菱重工業等が主要派遣先で、上位10社向け売上高が23%(23.3期)を占めています。24.3期3Q(累計)業績は、大手製造業の次世代を見据えた技術開発投資追い風に、好業績を維持しました。総還元性向100%以内、うち配当性向50%以上が目安です。今期会社予想1株配当は107円(市場予想は110.61円)です。

■アマダ(6113) ~金属加工のグローバルメーカ。今期は業績好調で、配当も増額の見通し

金属加工機械のグローバルメーカー。1946年の創業以来、商社などを通さない直販体制を貫いています。今上期までの業績は堅調で、円安進行やEV関連の加工需要が寄与し、2Q決算発表と同時に業績・配当計画を上方修正しました。3Qも好業績を維持しています。配当政策は連結配当性向50%を目安に、株主資本配当率(DOE)3%から4%程度で年間配当額を決定することが基本方針です。今期会社予想1株配当は57円(市場予想は58.6円)です。

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