「日経平均4万円」で再評価したい取引手法とは?

「日経平均4万円」で再評価したい取引手法とは?

投資情報部 鈴木 英之

2024/06/05

3/4(月)の東京株式市場では、日経平均株価終値が史上初めて4万円台となりました。米国で、AI(人工知能)向け半導体市場の拡大に期待し、ハイテク株の上昇が続いていることが追い風になっています。

半導体市場の拡大が続きそうなこと、日本では来期も上場企業の増益が見込めそうなことから、日経平均株価が4万円以上で推移するとの見方は少なくありません。しかし、テクニカル的には過熱感が目立ってきたことも確かです。今後は、上下に株価が振れる可能性に注意したいところです。

日経平均株価が2万円の時、その1%は200円です。しかし、日経平均株価が4万円では、その1%が400円です。同じ変動率でも株価変動の幅が大きくなり、相場の振れを大きく感じる場面も増えてきそうです。

そこで、再評価したい「取引手法」として、「SBI株オプション」をご紹介したいと思います。今回は「コールの買い」と「プットの買い」をご紹介したいと思います。「SBI株オプションの1DAYオプション(コール・プット)」は、ターゲット価格を決めた「約定日」の翌営業日終値が、ターゲット価格よりも上昇するか、下落するかを予想して行う取引です。

(1)取引動機(例)・・・決算トレード
ホンダ系自動車部品メーカーであるジーテクト(5970)の2024年3月期第3四半期の決算発表を2/2(金)取引終了後に控え、「好決算を受け、2/5(月)に株価が大きく上がる」ことを予想した取引が想定されます。

(2)取引・・・
○2/2(金)の午前8時30分までに「ジーテクト」の「コールの買い」をターゲット価格102%で発注します。
○2/2(金)の始値1,854円が「コールの買い」の約定価格になります。
 約定価格の102%(1891円08銭)がターゲット価格です。
 また、約定価格の0.36%=6.6744円が支払うべきプレミアム価格(コスト)です。

○結果・・・2/2(金)の取引終了後にジーテクト社は業績見通しの上方修正を発表し、2/5(月)終値は2,047円となりました。この価格が、今回取引の評価価格になります。
 (1株当たり差損益)=2,047円-1,891.08円-6.6744円=149.2456円(利益)

ポイント

(1)決算トレードは成功し、1株当たり149円24銭の利益が実現しました。実際の取引では最低取引単位100株で14,924円の利益が出る計算です。

(2)残念ながら、仮に2/5終値が1,897.7円(1891.08+6.6744)以下の場合は損失が出ます。しかし、2/5(月)終値がターゲット価格(1,891円)をいくら下回っても、最大損失は、最低取引単位100株でプレミアム料の667円になります。

(1)取引動機(例)・・・チャート等警戒
2/9(金)取引時間中の決算発表を前に、株価はじり安傾向で、2/6(火)頃に25日移動平均線割れも懸念される水準でした。
同移動平均線を割り込んだ後に株価下落が加速する可能性を予想した取引が想定されます。

(2)取引・・・
○2/5(月)の午前8時30分までに「ENEOSホールディングス」の「プットの買い」をターゲット価格100%で発注します。
○2/5(月)の始値601円が「プットの買い」の約定価格になります。
 約定価格の100%(601円)がターゲット価格です。
 また、約定価格の0.8%=4.808円が支払うべきプレミアム価格(コスト)です。

(3)結果・・・2/6(火)終値はターゲット価格(601円)から10.7円安い590.3円でした。
 (1株当たり差損益)=601円-590.3円-4.808円=5.892円(利益)

ポイント

(1)チャート形状を懸念してのトレードは成功し、1株当たり5円89銭の利益が実現しました。実際の取引では最低取引単位100株で589円の利益が出る計算です。

(2)残念ながら、仮に2/6終値が596.2円(601-4.808)以上の場合は損失が出ます。しかし、2/6(火)終値がターゲット価格(601円)をいくら上回っても、最大損失は、最低取引単位100株でプレミアム料の480円だけになります。

【株オプションの利点とリスク】

★想定される利点

(1)損失の限定・・・「コールの買い」にせよ、「プットの買い」にせよ、想定される最大損失額が「プレミアム価格×株数」に限定されることです。「実例1」では、最大損失額は1株当たり6.6744円ですから、100株で667.44円、1,000株で6,674.4円、10,000株で66,744円に限定される計算です。

(2)1株当たりのプレミアム価格を投資金額とすれば、投資する間に固定される資金も抑えられることになります。

(3)投資額に対して高いパフォーマンスも・・・「実例1」において、利益は1株当たり149.2456円でした。したがって100株で14,924円、1,000株で149,240円、10,000株で1,492,400円の利益が出る計算です。(1)のプレミアムを投資金額とすれば、それに対し高い利益が出る可能性もあります。

(4)「SBI株オプション」では、取引期間が「1日(1Day)」に単純化されていますので、オプション取引でプレミアム評価に関係する「時間的価値」を考慮する必要がありません。

(5)ETF(上場投信)も投資対象ですので、日経平均株価や米国株、REIT価格等、幅広い商品を投資対象とし、リスクを限定して投資することが可能です。

★注意すべきリスク

(1)リスクを大きく取ろうとすれば、投資する株数を大きくすればよい訳ですが、現物株式と異なり、投資資金(プレミアム)がすべて失われるケースもあります。

(2)取引期間が短いため、想定していた相場観が、その分実現されない可能性が大きくなりそうです。経済指標や個別企業のイベント等をしっかり把握して活用するようにしましょう。

(3)現物株投資では、買付価格を上回った部分がそのまま利益(税込み)になりますが、株オプションでは、評価価格とターゲット価格の差がそのまま利益ではなく、プレミアム価格を引いた金額が利益の計算です、現物株取引の同数量の取引よりも利益が圧縮される計算になります。


株価の乱高下が想定される株式市場への対応力を増すためにも、利点とリスクを十分ご理解いただいて取引をご検討ください。慣れない間は、投資株数を抑えて参加することも重要かと思われます。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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【クーリング・オフの対象にはなりません】

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