アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~ナスダック指数の上昇をけん引するテクノロジー大手~

アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~ナスダック指数の上昇をけん引するテクノロジー大手~

投資情報部 榮 聡

2023/03/27

先週は米銀行の破綻連鎖に対する懸念が残って神経質な展開となる中、長期金利の低下を背景としたテクノロジー株に対する物色が相場を支えました。今週の株価材料として、米国の銀行不安の行方、個人消費支出物価指数、中国の企業景況感、などが注目されます。

今回は年初来のナスダック指数の上昇をけん引した銘柄から、アップル(AAPL)エヌビディア(NVDA)マイクロソフト(MSFT)テスラ(TSLA)メタ プラットフォームズ A(META)を選んで今週の5銘柄といたします。

図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

「雲」の下限付近で上値抵抗を受けている形です。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
コミュニケーションサービス 3.4% 9.0% 19.8%
エネルギー 2.3% -7.6% -11.5%
素材 2.1% -5.6% -2.3%
情報技術 2.0% 7.0% 18.5%
ヘルスケア 1.5% -0.4% -6.3%
生活必需品 1.4% 0.5% -3.6%
S&P500 1.4% -0.3% 3.7%
資本財・サービス 0.7% -3.9% -1.8%
金融 0.6% -12.8% -8.8%
一般消費財・サービス 0.4% -2.5% 11.2%
公益事業 -1.2% -0.2% -8.0%
不動産 -1.4% -6.9% -4.4%
騰落率上位(5日) 騰落率
アクセンチュア 8.8%
ネットフリックス 8.2%
USバンコープ 5.9%
テスラ 5.7%
メタ・プラットフォームズ 5.3%
騰落率下位(5日) 騰落率
エクセロン -4.5%
フィリップ・モリス・インターナショナル -4.3%
ウェルズ・ファーゴ -4.1%
ロウズ -4.0%
アルトリア・グループ -3.0%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で1.4%、NYダウは1.2%、ナスダック指数は1.7%の上昇でした。銀行不安は継続しているものの、政策対応への期待で懸念がやや後退したことが株価上昇の背景とみられます。

3/20(月)、3/21(火)は金融不安の後退で上昇しました。UBSによるクレディスイスの買収、主要6中銀による流動性供給での協調、米大手行によるファーストリパブリックへの支援検討、イエレン財務長官が新たに銀行破綻が起こった場合にも預金が全額保護される可能性があると発言したこと、などが相場にポジティブに捉えられました。

一方、22日(水)は、イエレン財務長官が預金保護の上限を引き上げる案は検討していないとして、金融不安が再び浮上して大幅安となりました。注目のFOMCでは0.25%ポイントの利上げが決まり、パウエルFRB議長は「必要であればさらに利上げする」「年内の利下げを考えているFOMCメンバーはいない」とややタカ派と捉えられるコメントでした。

3/23(木)は前日の下げの反動で上昇して始まるも、午後に銀行不安が再び浮上して小幅上昇、3/24(金)は欧州の銀行株安を受けて下落して始まったものの、米金融当局者の発言を受けて銀行不安は行き過ぎとみる買いによってプラスに浮上して引けています。

業種指数では、ネットフリックス、メタプラットフォームズの上昇が効いた「コミュニケーションサービス」、原油価格の反発を受けた「エネルギー」が上昇上位でした。個別銘柄では12-1月期決算を発表したアクセンチュア A(ACN)がトップでした。実績は売上・EPSとも市場予想を上回り、需要鈍化に対応して従業員数の2.5%にあたる19,000人を今後1年半で削減すると発表して好感されました。

経済指標では、2月中古住宅販売件数が前月比14.5%増と13か月ぶりの増加となり、住宅市場底入れの可能性を示唆しました。景気減速が進みつつある中、需要サイクルの異なる分野があることは、景気の底を浅くする効果が期待されます。

今週の米国株式市場

年前半の米国市場については、バリュエーションに割安感がないため持続的な株価上昇は難しく、景気減速の程度が確認できるまではレンジ相場になりやすいと見ています。相場が高いところでは売り、十分な押し目を入れたところでは買うという投資行動が有効と考えられます。米国の銀行不安は徐々に沈静化すると想定され、大手テクノロジー株を中心に戻りを試す展開が想定されます。

今週の株価材料として、米国の銀行不安の行方、個人消費支出物価指数、中国の企業景況感、などが注目されます。

地方銀行の預金移動に関する緊張は続きそうです。シリコンバレーバンク、シグネチャーバンクの破綻を受けて、預金者がより高い安全を求めて預金を動かしつつあり、または、動かそうとしています。株式市場ではその過程で破綻する銀行が出る可能性が気にされています。

3/24(金)に公表されたFRBによる銀行に関する統計では、国内小銀行の預金は3/8(水)の55,759億ドルから3/15(水)の54,559億ドルへ1,200億ドルの減少(比率にして2.2%の減少)となっています。一方、国内大銀行の預金は同じく106,734億ドルから107,400億ドルへ666億ドルの増加となっています。

金融当局の側からすれば、2022年末で1,282億ドルの預金保険基金で16兆ドルに及ぶ銀行預金に安心をもたらすのは容易でなく、抜本的対策には銀行監督制度の改革や大規模な予算措置が必要と考えられるため、短期間では難しいとみられます。銀行に対する信用不安がスパイラル的に拡大しないことを祈りつつ、当面は泥縄式に預金が流出して不安定な銀行に対処していくしかないというのが本音とみられます。3/28(火)、3/29(水)に開催される議会公聴会でのFRBバー副議長(金融監督担当)の証言が注目されます。

スパイラル的な状況悪化がないとしても、預金者の動きが落ち着くにはあと数週間は必要とみられ(預金を動かすにしても情報を収集する時間が必要です)、株式の市場参加者はその間はリスクを意識しながら対処していかなければならないでしょう。ただ、大規模な金融不安に深刻化する可能性は小さいと考えられます。

米国の2月個人消費支出物価指数は、総合指数が前年比5.1%増の予想(前月は同5.4%増)、コア指数は前年比4.7%増の予想(前月も同4.7%増)です。コア指数は前月から横ばいの予想で、サービス物価の下がりにくさが意識されそうです。

中国経済の「ゼロコロナ政策」撤廃を受けた立ち上がりは、市場の期待をやや下回って推移しているようです。3/31(金)に発表予定の中国3月製造業PMIは前月の52.6から51.2に悪化の予想、同非製造業PMIは前月の56.3から54.9に悪化の予想です。   

経済指標では上記のほか、3/28(火)に米国の3月コンファレンスボード消費者信頼感(前月の102.9から101.0に悪化の予想)、などの発表が予定されています。

企業イベントでは、カーニバル、マイクロンテクノロジーなどの決算発表が予定されています。

今週の5銘柄

今回は年初来S&P500指数に対するアウトパフォームが目立っているナスダック指数の上昇寄与上位銘柄から、アップル(AAPL)、エヌビディア(NVDA)、マイクロソフト(MSFT)、テスラ(TSLA)、メタ プラットフォームズ A(META)を選んで今週の5銘柄といたします。

これらのテクノロジー大手がアウトパフォームしている背景として、以下が考えられます。景気減速、金融不安が解消されない間はアウトパフォームしやすいと考えられます。

(1)長期金利上昇によって昨年来進んだPERの水準調整が十分となっている可能性

(2)経済の減速局面では、構造的な成長要因をもつ銘柄が物色される傾向がある

(3)銀行の信用不安が「質への逃避」(flight to quality)の機運を生んでいる可能性

ただし、テクノロジー大手の10-12月期決算はおしなべて低調であったため、4月下旬の1-3月期決算の発表に向けては市場の警戒感が高まる可能性には注意が必要でしょう。

図表3 年初来ナスダック指数はS&P500指数に対してアウトパフォーム

注:最後のデータは3/24(金)です。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表4 ナスダック指数の年初来上昇寄与度上位10銘柄

コード 銘柄名 株価
(3/23)
(ドル)
株価変化率
(年初来)
指数寄与度
AAPL アップル 158.93 22.5 % 21.7 %
NVDA エヌビディア 271.91 86.1 % 14.5 %
MSFT マイクロソフト 277.66 16.1 % 13.4 %
TSLA テスラ 192.22 56.0 % 10.2 %
META メタ・プラットフォームズ 204.28 69.8 % 8.8 %
AMZN アマゾン・ドット・コム 98.71 17.5 % 7.0 %
GOOGL アルファベット 105.60 19.7 % 4.8 %
AMD アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD) 100.28 54.8 % 2.7 %
AVGO ブロードコム 639.23 15.1 % 1.6 %
AMAT アプライド・マテリアルズ 122.78 26.4 % 1.0 %

注:3/23(木)までのデータによります。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

今週の注目銘柄

買付 チャート 銘柄 株価
(3/24)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートアップル(AAPL)160.25ドル26.9

【製品の更新サイクルとサービス売上で成長続く】

・同社は製品の更新サイクルに支えられた売上増と20億台を超える稼働デバイスを通じたサービス売上により、中期的な売上成長は1桁台半ばの伸びが維持されると期待されます。米国の「Z世代」(18~24歳)に対するスマホに関するアンケートでは、79%がiPhoneを選好して、現在の市場シェアである41%を大幅に上回っており、先行きの安定が示唆されています。

・10-12月期決算は、売上が前年同期比6%減、EPSが同11%減で、市場予想も下回る不振な決算でした。製品別売上は、iPhoneが前年同期比8%減、マックが同29%減と不振の一方、サービスは同6%増を維持しました。地域別には、米州が同4%減、中華圏が同7%減でした。CEOは「足もとの事業環境は厳しいが、長期的な成長に集中している」とコメントしました。

買付チャートエヌビディア(NVDA)267.79ドル61.0

【生成AIの利用の広がりに期待】

・11-1月期決算は売上が前年同期比21%減、EPSが同33%減となりましたが、同46%減となったゲーム向けの落ち込みが予想より小さく、市場予想を上回りました。前四半期比では売上が2%増、調整後EPSが同52%増でした。2-4月期の売上ガイダンスは65億ドル±2%で中央値は前年同期比22%減ながら、前四半期比では2期連続の増収で、業績底入れを確認する形です。

・市場で注目を集めているのが、「生成AI」の利用の広がりの可能性です。チャットボット「ChatGPT」の優秀さが明らかになることで、生成AIの利用の広がりが期待されています。同社はAI計算に使われるGPUコンピュータの市場を支配していることから、恩恵が非常に大きくなる可能性があります。ファンCEOは、「AIは、あらゆる産業で広く利用されるようになる“変曲点”にある」として、市場の期待を追認しました。

買付チャートマイクロソフト(MSFT)280.57ドル30.1

【AIを使って既存事業をテコ入れ】

・オープンAI社が開発したAIモジュールを既存事業に組み込んでテコ入れを行っています。ネット検索の「Bing」、ブラウザーの「エッジ」ではチャットボットの「ChatGPT」を導入しています。さらに、ビジネスソフトウェアの「Office」には「GPT-4」を導入予定と発表しており、中期的にプラスの効果が期待されます。また株式市場では、オープンAI社にマイクロソフトが出資している点にも注目しています。

・ただし、足もとの業績はパンデミックによる需要盛り上がりの反動を受けて売上・利益とも伸びの鈍化傾向が続いている点には注意が必要です。10-12月期の業績は売上が前年同期比2%増(為替の影響を除いて同7%増)、EPSは同11%減(同じく同3%減)と低調でした。成長をけん引している企業向けクラウドの「Azure」売上も同31%増まで低下、1-3月期の伸びはさらに低下する見込みです。

買付チャートテスラ(TSLA)190.41ドル47.7

【マスクEOが需要に自信を示す】

・10-12月期決算は売上・EPSは市場予想を上回ったものの、自動車事業の粗利率とフリーキャッシュフローは予想を下回って、好悪まちまちでした。一方、マスクCEOは決算説明会で「投資家は需要に対する疑問を抱いているが、懸念を払拭したい。1月現在では過去最高水準の引合い、生産能力の2倍のオーダーがある。」「年初の値下げは当社の製品を求める一般顧客に手の届く価格にする必要性を踏まえたものでもある。」と発言して好感されました。

・2022年は、130万台を上回る出荷台数と営業利益率は前年比17%を達成しました。今後複数年にわたり年平均50%の成長を目指す従来計画に沿う形で増産を進め、2023年は約180万台の納車を見込みます。ピックアップトラック「サイバートラック」の組み立てをテキサス州オースティンの工場で年内に開始する計画です。注目された3/1(水)のインベスターデイでは、将来計画の話が中心で、次世代車両が明らかにされなかったことから、市場には失望を招きました。

買付チャートメタ プラットフォームズ A(META)206.01ドル17.0

【コスト削減、投資抑制を打ち出す】

・10-12月期決算は減収減益、EPSは市場予想を下回りましたが、コスト削減、投資抑制の方向を明確に打ち出したことから業績見通し・目標株価とも上方修正されました。10-12月期の広告単価は前年同期比22%減と厳しい一方、アドインプレッション(広告表示回数)は同23%増と予想以上に良好だったことも見通しの上方修正に貢献したとみられます。

・10-12月期の売上は前年同期比4%減ですが、ドル高の影響を除くと同2%増でした。オフィスの集約や約1.1万人のレイオフなどのリストラ費用を含む営業費用が同22%増となったため、純利益は同55%減に落ち込みました。ファミリー・デイリー・アクティブ・ピープル(各種サービスのユーザー数合計)は、29.6億人で前年同期比5%増と堅調でした。2023年12月期の費用見通しは、従来予想の940~1000億ドルから890~950億ドルへ、資本的支出は従来予想の340~370億ドルから300~330億ドルへレンジが引き下げられました。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、アップルが2023年9月期、エヌビディアが2024年1月期、マイクロソフトが2023年6月期、その他は2023年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
27(月) ・中国工業部門利益(2月) カーニバル
28(火) ・FRBバー副議長が議会証言(上院銀行委員会)
・米S&PコアロジックCS住宅価格指数(1月)
・米コンファレンスボード消費者信頼感(3月)
マイクロンテクノロジー
29(水) ・FRBバー副議長が議会証言(下院金融サービス委員会)
・米中古住宅販売成約(2月)
 
30(木) ・ユーロ圏景況感(3月)
・米新規失業保険申請件数(3月25日に終わる週)
・米実質GDP(10-12月期、確報値)
 
31(金) ・中国製造業・非製造業PMI(3月)
・ユーロ圏消費者物価指数(3月)
・米個人所得・個人支出(2月)

・米個人消費支出物価指数(2月)

・米ミシガン大学消費者信頼感(3月、確報値)
 
4月
3(月)
・日銀短観(1-3月期)
・財新中国製造業PMI(3月)
・米ISM製造業景気指数(3月)
・ワーズ米自動車販売台数(3月、4日までに発表)
 
4(火) ・米求人労働異動調査(2月)  
5(水) ・米ADP雇用統計(3月)
・米貿易統計(2月)
・米ISM非製造業景気指数(3月)
 
6(木) ・米チャレンジャー人員削減数(3月)
・米新規失業保険申請件数(4月1日に終わる週)
ラムウェストンホールディングス、コンステレーションブランズ
7(金) ・米国市場休場(グッドフライデー)
・米雇用統計(3月)
 

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

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