アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~米国株は再び買い場到来!?序盤の好決算銘柄をご紹介~

投資情報部 榮 聡
2023/10/23
先週は強い米小売売上高、パウエルFRB議長のタカ派発言を受けて米10年国債利回りが上昇基調となったことに加え、中東情勢が緊迫の度合いを強めたことから、株式は大きく下落しました。今週の株価材料として、7-9月期決算発表、7-9月期実質GDP、中東情勢、などが注目されます。
今回は10/12(木)から10/19(木)に7-9月期決算を発表した主要銘柄から、ネットフリックス(NFLX)、AT&T(T)、ユナイテッドヘルス グループ(UNH)、プロクター & ギャンブル(PG)、JPモルガン チェース(JPM)を選んで今週の5銘柄といたします。
図表1 S&P500指数のローソク足(日足、6ヵ月)

50日、100日移動平均線が上値抵抗となって反落、200日移動平均線にタッチしています。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成
図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率
S&P500業種指数騰落 | 5日 | 1ヵ月 | 3ヵ月 |
生活必需品 | 0.7% | -4.3% | -10.3% |
エネルギー | 0.7% | 0.8% | 7.1% |
コミュニケーションサービス | -0.5% | 2.3% | 5.3% |
ヘルスケア | -1.6% | -1.7% | -6.0% |
公益事業 | -2.1% | -8.4% | -15.3% |
S&P500 | -2.4% | -2.2% | -6.9% |
金融 | -2.9% | -4.5% | -8.6% |
資本財・サービス | -3.0% | -3.1% | -9.9% |
素材 | -3.0% | -4.0% | -10.1% |
情報技術 | -3.1% | -0.2% | -7.1% |
一般消費財・サービス | -4.5% | -5.6% | -10.6% |
不動産 | -4.6% | -5.5% | -15.2% |
騰落率上位(5日) | 騰落率 |
ネットフリックス | 12.7% |
AT&T | 7.1% |
アボットラボラトリーズ | 6.5% |
モンデリーズ・インターナショナル | 4.2% |
マクドナルド | 3.9% |
騰落率下位(5日) | 騰落率 |
テスラ | -15.6% |
エヌビディア | -9.0% |
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス | -8.6% |
キャタピラー | -7.0% |
ブッキング・ホールディングス | -6.6% |
注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
先週の米国株式市場
S&P500指数は週間で2.4%、NYダウは1.6%、ナスダック指数は3.2%の下落でした。
米10年国債利回りが5%前後を付けるなど、直近の高値を更新して上昇基調が続いたことに加え、中東情勢が緊迫の度合いを強めたことから、株式は大きく下落しました。
米10年国債利回りの上昇は、10/17(火)の9月小売売上高が前月比0.7%増と市場予想の同0.3%増を大きく上回ったこと、さらに10/19(木)にはパウエルFRB議長が堅調な経済状況を背景に「一段の利上げが正当化される可能性がある」と述べたことが主因となりました。
イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突は、ガザの病院での爆発がイスラム諸国によるハマスへの支援を引き出す懸念がありますが、現状ではハマス側のミサイル誤爆の可能性が高まっており、最悪の事態は回避されそうな様相です。7-9月期の企業決算は、一部の例外を除いて概ね堅調な結果が出ています。
業種指数は、ディフェンシブの「生活必需品」、原油価格上昇がプラスの「エネルギー」、ネットフリックス、AT&Tがけん引した「コミュニケーションサービス」が騰落率の上位です。
個別では、7-9月期決算を発表したテスラ(TSLA)の下げが目立ちました。7-9月期決算は売上が前年同期比9%増、EPSが同37%減で、それぞれ市場予想を3%、10%下回り、10-12月期の見通しも市場予想を下回りました。さらに、マスクCEOが新製品の「サイバートラック」の生産に関して慎重な発言をしたことも嫌気されました。
今週の米国株式
今週は7-9月期決算発表のピークを迎えます。S&P500指数の株価評価の基準EPSが2023年の216ポイントから、2024年予想の244ポイントにスムーズに移行できるか重要なポイントになると考えられます。主要企業の決算が市場予想を上回って、市場の2024年予想EPSに対する信頼感が増すようだと、反発の展開が想定できるでしょう。
また、このところの株価調整の主因は米10年国債利回りの上昇ですが、この金利上昇には米景気の堅調も重要な要因の一つになっている点は頭に入れておく必要があるでしょう。
金利上昇はその他の条件が変わらなければ、必ず株価の下落要因と考えられますが、金利上昇が経済の堅調を背景としてる場合には、企業利益にプラスとなるため、株価にマイナスの作用ばかりではない点に注意が必要でしょう。
今週の株価材料として、7-9月期決算発表、7-9月期実質GDP、中東情勢、などが注目されます。
今週はS&P500指数採用銘柄の約30%、NYダウ採用銘柄の約40%が決算を発表する、7-9月期決算発表のピーク週になります。アップルを除くGAFAM、ビザ、コカコーラ、ベライゾンコミュニケーションズ、ボーイング、IBM、インテル、ボーイング、エクソンモービルなどの主要銘柄を含みます。
10/25(水)に発表予定の7-9月期実質GDPは、4-6月期の前期比年率2.1%増から同4.3%増への加速が見込まれています。7-9月期実質GDPの好調は、これまでの月次指標などで市場には織り込まれているはずですが、改めて足もとの景気の強さが意識される可能性もありそうです。長期金利の上昇材料となる可能性が懸念されます。
中東情勢については、ガザの病院での爆発後にイスラエル軍とヒズボラ(イスラエルと国境を接するレバノンを本拠とするイスラム組織)との交戦が報じられるなど、懸念は大きくなっています。しかし、米欧主要国が紛争拡大阻止に力を尽くしていること、また、ハマスを公式に支援するイスラム諸国の動きは見られていないことから、小康状態が続く可能性が高まっているとみられます。
経済指標では上記のほか、10/25(水)に米国の9月新築住宅販売件数(前年比1.0%増の予想)、10/26(木)に、米国の9月耐久財受注(前月比1.5%増の予想)、10/27(金)に米国の9月個人消費支出物価指数(総合指数は前年比3.4%増の予想、前月は同3.5%増、コア指数は前年比3.7%増の予想、前月は同3.9%増)、などの発表が予定されています。
今週の5銘柄
今回は10/12(木)から10/19(木)に7-9月期決算を発表した主要銘柄から、好決算で株価の反応も相対的に悪くなかったものから、ネットフリックス(NFLX)、AT&T(T)、ユナイテッドヘルス グループ(UNH)、プロクター & ギャンブル(PG)、JPモルガン チェース(JPM)を選んでご紹介いたします。
図表3 米小売売上高は6ヵ月連続プラス、しかし、さすがにピークをつけたのでは?

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表4 7-9月期決算発表序盤の好決算銘柄
銘柄(コード) | 売上 予想比 (%) |
EPS 予想比 (%) |
売上 前年同期比 (%) |
EPS 前年同期比 (%) |
ネットフリックス(NFLX) | 0.1 | 7.0 | 7.8 | 20.3 |
AT&T(T) | 0.5 | 3.3 | 1.0 | -5.9 |
ユナイテッドヘルス グループ(UNH) | 1.3 | 3.8 | 14.2 | 13.3 |
プロクター & ギャンブル(PG) | 1.2 | 6.3 | 6.1 | 16.6 |
JPモルガン チェース(JPM) | 1.9 | 9.7 | 21.5 | 38.8 |
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
今週の注目銘柄
取引 | チャート | 銘柄 | 株価 (10/20) |
予想PER (倍) |
ポイント |
---|---|---|---|---|---|
買付 | ネットフリックス(NFLX) | 400.96ドル | 25.1 | 【加入者純増と値上げを好感】 7-9月期の売上・EPSは市場予想を上回ったものの、10-12月期ガイダンスは売上・EPSとも市場予想を下回りました。一方、7-9月期の加入者純増は876万人と市場予想の620万人を上回り、共有アカウント対策の効果が引き続き出ているとみられます。また、米、英、仏で一部プランを値上げするとしたことも好感されています。9月半ばの会社説明会でCFOが弱めの発言をして株価が下がっていましたが、市場の悲観が行き過ぎていた可能性がありそうです。 | |
買付 | AT&T(T) | 15.38ドル | 6.2 | 【減配の懸念を払拭】 ・7-9月期業績は売上が前年同期比1%増、EPSは同6%減とやや低調なものの、モバイルのサービス売上が同4%増、携帯電話の後払い契約者純増が46.8万人、光ファイバーの純増数が29.6万人など、重要な指標は堅調でした。フリーキャッシュフロー(FCF)は52億ドルと市場予想の46億ドルを上回り、通期の見通しを160億ドルから165億ドルに引き上げました。株式市場は1-3月期の決算発表後から減配を懸念していたため、FCFの上方修正を受けて安心感が広がりました。 | |
買付 | ユナイテッドヘルス グループ(UNH) | 527.03ドル | 36.6 | 【好決算を発表】 7-9月期決算は、売上・営業利益とも前年同期比14%増で、いずれも市場予想を上回って好調でした。医療保険のユナイテッドヘルス部門の売上が同13%増、医療サービスのオプタム部門が同22%増と良好です。会社では、両部門ともサービスを提供する人数の増加に加え、サービスの範囲を広げていることがこのような好調につながっているとコメントしています。通期のEPSガイダンスを24.75~25.00ドルから24.85~25.00ドルへ下限を引き上げています。 | |
買付 | プロクター & ギャンブル(PG) | 148.05ドル | 23.1 | 【値上げで堅調な決算】 7-9月期決算は、売上・EPSとも市場予想を上回りました。前年比6%増となった売上の要因は、平均価格が前年比7%増、製品ミックスが同1%増、平均数量は同1%減、為替変動が同1%減でした。部門別売上の伸びは、ヘルスケア、ファブリック&ホームが高く、ビューティが低いものの、オーガニック売上成長は全部門が5%を上回って堅調です。 | |
買付 | JPモルガン チェース(JPM) | 142.95ドル | 9.4 | 【金利収入の増加と信用コストの低下で好調】 7-9月期はファースト・リパブリックの買収効果を含みますが、売上が前年同期比22%増、EPSが同39%増と、市場予想を上回って好調です。市場予想を上回るEPSに寄与したのは、市場金利の上昇を受けて純金利収入が市場予想を上回り、市場予想を下回った信用コストです。部門別の増収率は、コンシューマー&コミュニティが前年同期比29%増、コーポレート&インベストメント・バンクが同2%減、コマーシャル・バンクが同32%増、アセット&ウェルスマネジメントが同10%増です。 |
注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、プロクター&ギャンブルが2024年6月期、その他は2024年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
主要イベントの予定
経済指標・イベント | 企業決算・イベント | |
23(月) | ・シカゴ連銀全米活動指数(9月) | |
24(火) | ・auじぶん銀行日本製造業PMI(10月) ・HCOBユーロ圏製造業PMI(10月) ・S&Pグローバル米国製造業PMI(10月) |
マイクロソフト、アルファベット、ビザ、コカコーラ ベライゾンコミュニケーションズ、ゼネラルエレクトリック |
25(水) | ・ドイツIFO企業景況感(10月) ・米新築住宅販売件数(9月) |
メタプラットフォームズ、ボーイング、IBM |
26(木) | ・ECB主要政策金利 ・米実質GDP(7-9月期、速報値) ・米耐久財受注(9月) ・米新規失業保険申請件数(10月21日に終わる週) ・米中古住宅販売成約(9月) |
アマゾンドットコム、インテル、アルトリアグループ、メルク |
27(金) | ・米個人所得・個人支出(9月) ・米個人消費支出物価指数(9月) ・ミシガン大学消費者信頼感(10月、確報値) |
エクソンモービル、アッヴィ |
30(月) | ・ユーロ圏景況感(10月) | マクドナルド、ズームインフォテクノロジーズ |
31(火) | ・日本鉱工業生産(9月) ・日銀政策金利 ・中国製造業・非製造業PMI(10月) ・ユーロ圏実質GDP(7-9月期、速報値) ・米S&PコアロジックCS住宅価格(8月) ・コンファレンスボード消費者信頼感(10月) |
アドバンストマイクロデバイセズ、ファイザー キャタピラー、アムジェン |
11月 1(水) |
・中国財新製造業PMI(10月) ・米ADP雇用統計(10月) ・米求人労働異動調査(9月) ・米ISM製造業景気指数(10月) ・米FOMC政策金利 |
ペイパルホールディングス |
2(木) | ・米チャレンジャー人員削減(10月) ・米新規失業保険申請件数(10月28日に終わる週) ・米製造業受注(9月) |
アップル、コインベースグローバル パランティアテクノロジーズ、スターバックス、イーライリリィ |
3(金) | ・米雇用統計(10月) ・ISM非製造業景気指数(10月) |
バターフライネットワーク、ブッキングホールディングス |
注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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