アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~堅調が目立つ「NYダウ」をけん引する銘柄~

アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~堅調が目立つ「NYダウ」をけん引する銘柄~

投資情報部 榮 聡

2023/12/04

先週は米10年国債利回りが引き続き低下したことから、株式は5週続伸となりました。今週の株価材料として、米10年国債利回りの行方、11月雇用統計、株式物色の広がり、などが注目されます。

今回は先々週末から堅調が目立つNYダウの上昇をけん引している銘柄から、セールスフォース(CRM)ボーイング(BA)アメリカン エキスプレス(AXP)スリーエム(MMM)ベライゾン コミュニケーションズ(VZ)を選んで今週の5銘柄といたします。

図表1 S&P500指数のローソク足(日足、1年)

S&P500指数は終値ベースで年初来高値を更新、7/27(木)に付けた場中の年初来高値4,607.07ポイントにもあと0.3%までに迫ってきました。物色の広がりを伴ってこれを更新するようだと、売り方の買戻しを誘発して3~4%は上に走ると期待できそうです。

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
不動産 4.6% 8.1% 2.6%
素材 2.6% 5.4% -0.6%
資本財・サービス 2.1% 6.8% -0.1%
金融 2.1% 6.8% 4.2%
一般消費財・サービス 1.5% 6.7% 1.2%
公益事業 1.3% 2.1% 1.4%
S&P500 0.8% 5.4% 1.7%
生活必需品 0.6% 2.8% -1.4%
ヘルスケア 0.5% 3.3% -1.3%
情報技術 0.3% 7.5% 4.8%
エネルギー -0.1% -2.8% -6.8%
コミュニケーションサービス -2.5% 3.2% 2.5%
騰落率上位(5日) 騰落率
セールスフォース 15.9%
ゼネラル・モーターズ 14.8%
ペイパル・ホールディングス 7.0%
キャピタル・ワン・ファイナンシャル 6.9%
サイモン・プロパティー・グループ 6.6%
騰落率下位(5日) 騰落率
ファイザー -5.2%
メタ・プラットフォームズ -4.0%
ウォルト・ディズニー・カンパニー -3.6%
アルファベット -3.5%
スターバックス -3.5%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で0.8%、NYダウは2.4%、ナスダック指数は0.4%の上昇でした。

米10年国債利回りが低下する一方、11月の相場大幅上昇に対する利食いも出て高値圏でのもみ合いとなっていましたが、12/1(金)にはもみ合いを上放れました。

金融当局者からは、インフレ動向と政策金利について様々な認識が語られましたが、ウォラーFRB理事による「数ヵ月先に政策金利を引き下げる可能性がある」との発言が市場で取り上げられて、金利の低下につながりました。また、地区連銀経済報告(ベージュブック)では、経済の「減速」が確認されて、金利低下に拍車がかかりました。

業種指数では、長期金利の低下を受けて「不動産」がトップとなったほか、「素材」「資本財・サービス」「金融」など年初来のパフォーマンスが冴えない業種が上位となっている傾向があります。一方、「コミュニケーションサービス」「情報技術」などテクノロジー株を多く含む業種が下位となっています。

個別株では、ゼネラル モーターズ(GM)の上昇が目立ちました。配当を33%引き上げ、100億ドル相当の自社株買いを実施すると発表、ストライキを受けて取り下げていた2023年通期の純利益ガイダンスを再提示しました(従来の93~107億ドルから91~97億ドルに引き下げ)。

今週の米国株式

米国の株式市場には10-12月期に上昇しやすいという経験則がありますが、これは予想PERを計算する基準年が今年から来年に切り替わることで、予想PERが低下するケースが多いことが背景と考えられます。S&P500指数の予想PERは2023年予想では20.8倍ですが、2024年予想では18.7倍に低下する計算です(予想EPSはFactSet社の集計値によります)。

一方、年末にかけて株価上昇を阻害する可能性のあるイベントとして、米10年国債利回りの上昇につながる以下が考えられますが、実現する可能性は高くないとみられます。

(1)12/8(金)の雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比25万人以上など、鈍化トレンドをはずれた増加となる。

(2)12/13(水)のFOMC結果発表で、予想外の利上げとなる。市場では据え置きの確率を97%と読んでいます(FedWatch、日本時間12/4(月)午前9時)。

(3)12/14(木)の11月小売売上高が前月比で大きなプラスとなる。

今週の株価材料として、米10年国債利回りの行方、11月雇用統計、株式物色の広がり、などが注目されます。

米10年国債利回りは過去6週間にわたり4.9%台から4.2%台へ急低下してきました。一方、11/30(木)の10月個人消費支出物価指数が目先の材料出尽くしとなって低下一巡となる可能性がありそうです。過度な金利低下は「債券市場ではリセッションが想定されているのではないか」との疑念から株式市場が動揺する可能性があります。株式市場にとっては、4.2~4.5%くらいでもみ合ってくれるのが最も都合がよさそうです。

11月雇用統計の非農業部門雇用者数は前月比18.0万人増が予想されています。予想並みなら、雇用市場の鈍化傾向継続と捉えられるでしょう。一方、数字があまり強いと金利上昇を通じて株価にマイナスとなる懸念もあるため要注目です。

先週はNYダウがナスダック総合に先んじて年初来高値を更新するなど、ここ1週間余りはテクノロジー株の「マグニフィセント7」以外に物色が広がる気配をみせています。物色対象の広がりをともなって株価上昇が続くようだと、これまで我慢してきた売り方も降参する可能性が高く、売り方の買戻しを誘発する可能性がありそうです。

経済指標では上記のほか、12/4(月)に米国の10月製造業受注(前月比-3.0%の予想)、12/5(火)に米国の11月ISM非製造業景気指数(前月の51.8から52.3に改善の予想)、12/6(水)に米国の11月ADP雇用統計(前月比+12.0万人の予想)、12/8(金)に米国の12月ミシガン大学消費者信頼感(前月の61.3から62.0に改善の予想)、などの発表が予定されています。

今週の5銘柄

今回は先々週末から堅調が目立つNYダウの上昇をけん引している銘柄をご紹介いたします。

図表3の通り11/24(金)あたりからNYダウはS&P500指数やナスダック総合に対してアウトパフォームしています。11/24(金)というのは、10月末からの相場大幅上昇を受けて、上昇一服感が出たタイミングであるため、銘柄選別の要素としてバリューが重視されてきた可能性があるでしょう。

図表4ではNYダウ採用の30銘柄について、11/22(水)終値~11/30(木)終値の株価騰落率上位15銘柄を抽出しました。上位銘柄を見ると、セールスフォースを例外としてオールドエコノミーの銘柄で、年初来の株価パフォーマンスが高くないものが多くなっています。バリューが意識されて株価が上昇している銘柄と言えそうです。

ここからセールスフォース(CRM)、ボーイング(BA)、アメリカン エキスプレス(AXP)、スリーエム(MMM)、ベライゾン コミュニケーションズ(VZ)を選んでご紹介いたします。

図表3 11/24(金)から堅調が目立つNYダウ(NYダウ、S&P500指数、ナスダック指数の比較)

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表4 NYダウの上昇をけん引する銘柄(11/22(水)終値~11/30(木)終値)

コード 銘柄名 株価騰落
(11/22~11/30)
(%)
目標株価
乖離率
(%)
株価
(11/30)
(ドル)
予想PER
(来期予想)
(倍)
EPS増加率
(来期予想)
(%)
CRM セールスフォース 12.5 9.0 251.90 26.5 16.2
BA ボーイング 5.3 5.8 231.63 55.9 黒字転換
AXP アメリカン・エキスプレス 4.3 1.9 170.77 13.8 10.0
MMM 3M 3.9 7.0 99.07 10.1 7.3
VZ ベライゾン・コミュニケーションズ 2.6 5.1 38.33 8.3 -1.7
TRV トラベラーズ 2.6 5.8 180.62 10.4 57.1
JNJ ジョンソン・エンド・ジョンソン 2.5 12.6 154.66 14.3 7.2
INTC インテル 2.4 -15.0 44.70 23.9 97.1
IBM IBM 2.2 -9.3 158.56 16.0 4.2
NKE ナイキ 2.2 7.7 110.27 25.3 16.7
HD ホーム・デポ 2.1 4.6 313.49 20.0 3.9
DOW ダウ 2.1 7.4 51.75 15.4 54.9
CAT キャタピラー 1.9 7.7 250.72 12.2 -0.1
AMGN アムジェン 1.9 3.3 269.64 13.6 6.7
HON ハネウェルインターナショナル 1.9 9.3 195.92 19.6 8.9

注:銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

今週の注目銘柄

取引 チャート 銘柄 株価
(12/1)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートセールスフォース(CRM)260.00ドル27.2

【コスト削減が効いて利益率改善】

顧客関係管理ソフトウェアの大手です。8-10月期決算で調整後EPSが前年同期比51%増となって市場予想を19%上回り、通期の調整後EPSガイダンスを引き上げたことが好感されています。マーケティング&販売費用等の抑制により、調整後営業利益率は前年同期の22.7%から31.2%に改善しました。同社は昨年末より経営方針の優先順位を規模拡大の追及から収益性の改善に転換すると宣言しており、その成果が出ています。

買付チャートボーイング(BA)233.87ドル56.5

【業績最悪期脱出の期待】

業績の最悪期脱出への期待から、先週もアナリストの投資判断引き上げが相次ぎました。11/20(月)にはドイツ銀行のアナリストが投資判断を「買い」に引き上げ、目標株価を従来の204ドルから270ドルに引き上げました。「航空機の納入が加速し始めており、改善を見せている業績を維持できる可能性を示唆、その場合フリー・キャッシュフロー(FCF)も黒字に転じるはず」とコメントしています。市場コンセンサスでは、予想EPSは今期の6.1ドルの赤字から来期は4.1ドルの黒字に転換する見通しです。

買付チャートアメリカン エキスプレス(AXP)173.76ドル14.1

【銀行の要素が強いクレジットカード会社】

同社はビザ、マスターカードと異なり、自社で与信を行うため、銀行の要素が強いクレジットカード会社です。銀行株はバリュエーションが低いものが多く、市場でバリューが意識される局面では買われやすくなっています。その一環として買われているとみられます。7-9月期決算は、個人消費の好調を受けて売上は前年同期比13%増、調整後EPSは同34%増と好調でした。10-12月期は消費の減速が見込まれますが、それ以上にバリュエーションの低さに魅力があるとの判断でしょう。

買付チャートスリーエム(MMM)99.85ドル10.2

【最悪期脱出への期待】

7-9⽉期の部門別オーガニック売上成⻑は、2024年1-3⽉期にスピンオフ計画のヘルスケアが前年同期⽐2.4%増のほかはいずれも同マイナスで、事業環境は厳しい状態が続いています。ただ、最悪期脱出への期待があるようです。7-9月期の売上は前年同期⽐4%減、調整後EPSが同3%増で、市場予想に対してはそれぞれ4%、14%上回りました。⾼機能マスクの反動減を除くオーガニック売上成⻑は同2%減でした。通期の調整後EPSガイダンスは、コスト削減の効果が出ていることを受けてレンジ中央値を2%引き上げました。

買付チャートベライゾン コミュニケーションズ(VZ)38.58ドル8.4

【重要指標に改善の兆し】

7-9⽉期は売上が前年同期⽐3%減、調整後EPSが同8%減と引き続き低調でしたが、ワイヤレス・サービス収入は同3%増となり、また、携帯電話の後払い契約の純増が10万人で市場予想の6.8万人を上回り、重要指標には改善の兆しが見られます。ブロードバンドの契約純増(家庭+企業)は4四半期連続で40万以上と好調です。通期ガイダンスは売上とEPSで従来⾒通しを維持する一方、フリーキャッシュフローは従来の170億ドルから180億ドルに引き上げて好感されました。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、セールスフォースが2025年1月期、その他は2024年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
4(月) ・米製造業受注(10月)  
5(火) ・米求人労働異動調査(10月)
・ISM非製造業景気指数(11月)
ニオ
6(水) ・米ADP雇用統計(11月) シースリーエーアイ
7(木) ・中国貿易統計(11月)
・米チャレンジャー人員削減数(11月)
・米新規失業保険申請件数(12月2日に終わる週)
・米家計純資産変化(8-9月期)
ブロードコム、ルルレモンアスレティカ、ダラーゼネラル
8(金) ・日本実質GDP(7-9月期、確報値)
・米雇用統計(11月)
・米ミシガン大学消費者信頼感(12月、速報値)
 
11(月) ・NY連銀1年インフレ期待(11月)  
12(火) ・NFIB中小企業楽観指数(11月)
・米消費者物価指数(11月)
オラクル
13(水) ・日銀短観(10-12月期)
・米生産者物価指数(11月)
・米FOMC政策金利
アドビ
14(木) ・日本機械受注(10月)
・ECB主要政策金利
・米小売売上高(11月)
コストコホールセール、レナー
15(金) ・中国鉱工業生産・小売売上高(11月)
・HCOBユーロ圏製造業PMI(12月)
・トリプルウィッチング
(株価指数先物・オプションの取引期限満了日)

・ニューヨーク連銀製造業景気指数(12月)
・米鉱工業生産(11月)
・S&Pグローバル米国製造業PMI(12月)
ダーデンレストラン

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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