アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~決算中盤の注目銘柄!メタ、アマゾン、マイクロソフトほか~

投資情報部 榮 聡
2024/02/05
先週はパウエルFRB議長が市場の早期利下げ期待をけん制して下落する場面がありましたが、大手テクノロジー株の決算は全体として好調と捉えられ、S&P500指数は再び史上最高値を更新しました。今週の株価材料として、金融当局者発言と国債入札、10-12月期決算発表、ISM非製造業景気指数、などが注目されます。
今回は1/26(金)から2/1(木)までに10-12月期決算を発表した銘柄から、メタ プラットフォームズ A(META)、アマゾン ドットコム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、ゼネラル モーターズ(GM)、ボストン サイエンティフィック(BSX)を選んで今週の5銘柄といたします。
図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

1/31(水)は「転換線」まで押したものの、2/1(木)にはすかさず反発、2/2(金)には再び史上最高値を更新しました。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成
図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率
S&P500業種指数騰落 | 5日 | 1ヵ月 | 3ヵ月 |
一般消費財・サービス | 3.8% | 4.4% | 12.7% |
生活必需品 | 2.1% | 3.1% | 8.2% |
ヘルスケア | 2.0% | 1.9% | 11.5% |
資本財・サービス | 1.9% | 3.6% | 13.9% |
コミュニケーションサービス | 1.6% | 12.0% | 20.0% |
S&P500 | 1.4% | 5.6% | 13.8% |
金融 | 0.8% | 3.1% | 15.4% |
情報技術 | 0.8% | 11.2% | 18.9% |
素材 | 0.8% | -1.5% | 5.7% |
公益事業 | 0.4% | -4.8% | -0.5% |
不動産 | -0.5% | -2.5% | 9.3% |
エネルギー | -1.0% | -1.5% | -3.9% |
騰落率上位(5日) | 騰落率 |
メタ・プラットフォームズ | 20.5% |
ゼネラル・モーターズ | 10.6% |
エヌビディア | 8.4% |
アマゾン・ドット・コム | 8.0% |
フォード・モーター | 6.6% |
騰落率下位(5日) | 騰落率 |
チャーター・コミュニケーションズ | -15.3% |
ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS) | -11.0% |
メットライフ | -7.0% |
アルファベット | -6.4% |
クアルコム | -6.0% |
注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
先週の米国株式市場
S&P500指数は週間で1.4%、NYダウは1.4%、ナスダック指数は1.1%の上昇でした。
FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表やアルファベット、AMDの決算を受けて31日(水)は大きく反落しましたが、2/1(木)はすかさず反発、2/2(金)は強い雇用統計の非農業部門雇用者数やメタプラットフォームズ、アマゾンドットコムの決算が好感されたことから、S&P500指数は再び史上最高値更新に進みました。
FOMCの会見でパウエルFRB議長は、「インフレ率が持続的に2%に向かっていると確信できるまで、政策金利の引き下げが適切になると考えていない」「3月に利下げとなる可能性は高くない」と発言して、市場の早期利下げ期待をけん制しました。FOMC前には拮抗していた3月FOMCでのFedWatchの据え置き確率と利下げ確率は、前者が80%、後者が20%と据え置きに傾きました(日本時間2/5(月)午前9時)。
経済指標では、1月雇用統計の非農業部門雇用者数が前月比35.3万人増と市場予想の同18.5万人増を大きく上回りました。雇用市場は鈍化トレンドにあると思われますが、鈍化ペースの低下を示唆していそうです。強い数字を受けて米10年国債利回りは、2/2(金)に3.8%台から4.0%台へ大きく反発しました。
大手テクノロジーの決算は、企業によってまちまちですが、全体としては予想を上回って堅調と言えるでしょう。ただ、AIによる業績拡大に対する市場の期待が高く、市場予想を上回っても株価はマイナスで反応するケースもありました。今月後半に決算発表するエヌビディアを除く「マグニフィセント7」の決算日から2/2(金)にかけての株価騰落率を図表3にまとめています。
業種指数では、アマゾンや自動車株の上昇がけん引した一般消費財・サービスが上昇トップでした。個別銘柄では、先週も8.4%の上昇となり、年初来の上昇率が33.6%に達しているエヌビディア(NVDA)の上昇が目立ちます。1/29(月)に決算を発表したサーバー・ソリューションのスーパー マイクロ コンピューター(SMCI)が、2024年6月期の売上見通しを従来の100~110億ドルから143~147億ドルに引き上げました。AI計算用のサーバー需要が急増しているためで、エヌビディアが供給するGPU(画像処理半導体)に対する投資への楽観を高めました。
今週の米国株式
当レポートでは、S&P500指数が1/19(金)に2022年1月の史上最高値を更新したことを受けて、「株価指数が重要な高値を更新したときには、当該高値から3~4%程度上昇することが多い」と指摘してきました。
今回のケースでは4,960~5,010ポイントのレンジに当たり、2/2(金)終値の4,958.61ポイントはかなり近づいてきました。短期的には先行きの反落の可能性に備えるべきときが近づいているかもしれません。S&P500指数の予想PERは20.6倍に到達しており、今後「AIバブル」が発生するケースを除けば、これ以上の上値は限定的と考えられるでしょう。
今週の株価材料として、金融当局者発言と国債入札、10-12月期決算発表、ISM非製造業景気指数、などが注目されます。
FOMCを終えて金融当局者の発言が増えるタイミングです。アトランタ連銀ボスティック総裁、クリーブランド連銀メスター総裁、クーグラーFRB理事などの発言が予定されています。また、10年債、30年債の入札があります。いずれも、ここ数週間で大きく変動した米10年国債利回りに影響を与える可能性があります。
10-12月期決算発表の山場は越えましたが、今週もパランティアテクノロジーズ、マクドナルド、キャタピラー、イーライリリィ、アームホールディングス、ウォルトディズニー、ペイパルホールディングス、ブリティッシュアメリカンタバコ、フィリップモリスインターナショナルなどの発表が予定されています。
S&P500指数採用銘柄の10-12月期EPS増加率(発表済企業の実績と今後発表予定企業の市場予想の混合)は前年同期比1.6%増の予想です(FactSet社集計、2/2(金)時点)。テクノロジー大手の決算発表が加わったことで、1/19(金)時点の同1.8%減から増益率が改善しています。
1月ISM非製造業景気指数は2/5(月)に発表予定で、前月の50.6から52.0に改善の予想です。同指数は昨年8月にピークを付けて12月は景気拡大・縮小の境目となる50近くまで低下基調となってきました。予想通りの改善となって、低下トレンドが止まる兆しが出るのか注目されます。
今週の5銘柄
今回は1/26(金)から2/1(木)までに10-12月期決算を発表した銘柄から、決算の実績が市場予想を上回った銘柄を中心に、市場予想を上回った要因が今後も続くと期待される銘柄として、メタ プラットフォームズ A(META)、アマゾン ドットコム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、ゼネラル モーターズ(GM)、ボストン サイエンティフィック(BSX)を選んでご紹介いたします。
図表3 「マグニフィセント7」(エヌビディア除く)の決算後の株価反応
銘柄名 | 決算発表日 | 決算発表日 終値(ドル) |
2月2日 終値(ドル) |
株価騰落率 (%) |
メタプラットフォームズ | 2月1日 | 394.78 | 474.99 | 20.3 |
アマゾンドットコム | 2月1日 | 159.28 | 171.81 | 7.9 |
マイクロソフト | 1月30日 | 408.59 | 411.22 | 0.6 |
アップル | 2月4日 | 191.73 | 185.85 | -3.1 |
アルファベット | 1月30日 | 151.46 | 142.38 | -6.0 |
テスラ | 1月24日 | 207.83 | 187.91 | -9.6 |
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表4 10-12月期決算発表、中盤の注目銘柄(対象はS&P500指数採用銘柄)
銘柄(コード) | 売上 予想比 (%) |
EPS 予想比 (%) |
売上 前年同期比 (%) |
EPS 前年同期比 (%) |
メタ プラットフォームズ A(META) | 2.8 | 8.5 | 24.7 | 202.8 |
アマゾン ドットコム(AMZN) | 2.3 | 25.5 | 13.9 | 299.5 |
マイクロソフト(MSFT) | 1.4 | 5.6 | 17.6 | 26.3 |
ゼネラル モーターズ(GM) | 8.7 | 7.0 | -0.3 | -41.5 |
ダナハー(DHR) | 6.5 | 9.7 | -23.5 | -27.2 |
ストライカー(SYK) | 3.8 | 6.0 | 11.8 | 15.3 |
ボストン サイエンティフィック(BSX) | 3.7 | 7.2 | 14.9 | 22.2 |
クアルコム(QCOM) | 4.0 | 16.4 | 4.9 | 16.0 |
MSCI(MSCI) | 4.1 | 12.0 | 19.8 | 29.6 |
クロロックス(CLX) | 11.1 | 97.8 | 16.0 | 120.4 |
ハンチントン インゴール インダストリーズ(HII) | 14.4 | 62.1 | 13.0 | 124.8 |
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
今週の注目銘柄
取引 | チャート | 銘柄 | 株価 (2/2) |
予想PER (倍) |
ポイント |
---|---|---|---|---|---|
買付 | メタ プラットフォームズ A(META) | 474.99ドル | 24.9 | 【初めての配当支払いを発表】 ・10-12月期決算は売上・EPSとも市場予想を上回り、1-3月期の売上見通しは最大370億ドルとし、市場予想の336億ドルを大きく上回りました。また、初の四半期配当として1株50セントを支払うとともに追加で500億ドルの自社株購入枠を設定したことを発表しました。 ・同社は2022年末から、投資の抑制、費用の削減に務め、事業の拡大よりも収益性の改善に重点を置いて経営を進めてきましたが、その成果が現れていると言えそうです。決算発表を受けて2/2(金)の株価は前日比20.3%上昇しましたが、アナリストの目標株価平均は493.92ドルとさらに上です。 | |
買付 | アマゾン ドットコム(AMZN) | 171.81ドル | 34.6 | 【年末商戦が好調】 ・10-12月期決算は、年末商戦が好調で売上・EPSとも市場予想を上回りました。また、広告売上が前年同期比26%増とけん引するほか、クラウドサービスは同13%増と7-9月期の同12%増から加速したことも好感されました。 ・1-3月期は売上を1,380億~1,435億ドル(前年同期比8%増~13%増)、営業利益を80億~120億ドル(前年同期は48億ドル)のガイダンスで、営業利益は市場予想を上回りました。決算を受けて2/2(金)の株価は前日比7.9%上昇しました。アナリストの目標株価平均は202.99ドルです。 | |
買付 | マイクロソフト(MSFT) | 411.22ドル | 35.5 | 【AIが業績に貢献し始める】 ・10-12月期決算は前年同期比で大きく伸び、また、市場予想も上回って好調です。クラウド収入は前年同期比24%増で7-9月期の伸びに並び、AI機能を付加した「Office365」(法人向け)の売上は前年同期比17%増と伸びました。 ・部門別売上は、プロダクティビティ&ビジネス・プロセスが前年同期比13%増、インテリジェント・クラウドが同20%増、モア・パーソナル・コンピューティングが同19%増と、全部門が10%以上の伸びを記録しています。 | |
買付 | ゼネラル モーターズ(GM) | 38.91ドル | 4.7 | 【2024年は明るい年に】 ・10-12月期決算が売上・EPSとも市場予想を上回りました。2024年見通しは調整後EBITを120~140億ドルとして、中央値は2023年実績の124億ドル、市場予想の109億ドルを上回りました。 ・2023年は労働者のストライキに加え、EVトラックの不振、自動運転によるロボタクシーに対する当局の調査など、苦しい年になりましたが、2024年は明るい見通しをもっています。CEOは「(同社が独自開発した)『アルティウム』バッテリーによるEVのブレイクスルーの年にする」とコメントしています。 | |
買付 | ボストン サイエンティフィック(BSX) | 64.37ドル | 28.5 | 【売上見通しが保守的な可能性】 ・医療機器の大手で、心臓カテーテル、内視鏡検査装置、冠動脈疾患向け装置、ペースメーカーなどを製造します。世界的にパンデミックが収まったことで、「待機的手術」(医療上の緊急事態を伴わない手術)が回復して予想以上の増収・増益となることが昨年より増えています。 ・2024年12月期のオーガニック売上成長率を前年比8~9%増として市場予想の同8.5%増と一致しました。ただ、「FARAPULSEパルスフィールドアブレーションシステム」(心房細動の治療器)がFDAの認可を受けたことから保守的な見通しとなっている可能性があります。 |
注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、マイクロソフトが2024年6月期、その他はいずれも2024年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
主要イベントの予定
経済指標・イベント | 企業決算・イベント | |
5(月) | ・ISM非製造業景況指数(1月) ・アトランタ連銀ボスティック総裁があいさつ |
パランティアテクノロジーズ、マクドナルド、キャタピラー エアープロダクツアンドケミカルズ、オンセミコンダクター |
6(火) | ・ユーロ圏小売売上高(12月) ・クリーブランド連銀メスター総裁が講演 ・3年国債入札 |
イーライリリィ、リンデ |
7(水) | ・クーグラーFRB理事が講演 ・10年国債入札 ・米貿易統計(12月) |
アームホールディングス、ウォルトディズニー ペイパルホールディングス |
8(木) | ・中国生産者・消費者物価指数(1月) ・ネバダ州党員集会(共和党) ・米新規失業保険申請件数(2月3日に終わる週) ・30年国債入札 |
フィリップモリスインターナショナル |
9(金) | ブリティッシュアメリカンタバコ、ペプシコ | |
11(日) | ・スーパーボウル開催(アメリカンフットボール) | |
12(月) | ・NY連銀1年インフレ期待(1月) | |
13(火) | ・日本工作機械受注(1月) ・ドイツZEW景気指数(2月) ・米NFIB中小企業楽観指数(1月) ・米消費者物価指数(1月) |
コカコーラ、エアビーアンドビー、アップスタートホールディングス |
14(水) | ・ユーロ圏実質GDP(10-12月期、改定値) ・シカゴ連銀グールズビー総裁が発言 ・バーFRB副議長が講演 |
クラフトハインツ |
15(木) | ・日本実質GDP(10-12月期、改定値) ・NY連銀製造業景気指数(2月) ・米小売売上高(1月) ・フィラデルフィア連銀製造業景気指数(2月) ・米新規失業保険申請件数(2月3日に終わる週) ・米鉱工業生産(1月) ・米NAHB住宅市場指数(2月) ・サンフランシスコ連銀デイリー総裁の講演 ・アトランタ連銀ボスティック総裁の講演 |
コインベースグローバル、ロイヤルティファーマ アプライドマテリアルズ |
16(金) | ・住宅着工・建設許可件数(1月) ・米生産者物価指数(1月) ・ミシガン大学消費者信頼感(2月、速報値) |
注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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