アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~決算注目銘柄!アプライドマテリアルズ、エアビーアンドビー、ケイデンスデザインほか~

アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~決算注目銘柄!アプライドマテリアルズ、エアビーアンドビー、ケイデンスデザインほか~

投資情報部 榮 聡

2024/02/19

先週の米国株式市場は予想以上の消費者物価で下落、弱い小売売上高で反発も、生産者物価指数も予想を上回ったことで、週間で下落となりました。今週の株価材料として、エヌビディアの決算発表、FOMC議事要旨、金融当局者発言、などが注目されます。

今回は2/9(金)から2/15(木)までに10-12月期決算を発表した銘柄から、アプライド マテリアルズ(AMAT)エアビー アンド ビー(ABNB)ケイデンス デザイン システムズ(CDNS)マーチン マリエッタ マテリアルズ(MLM)レイドス ホールディングス(LDOS)を選んで今週の5銘柄といたします。

図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

5,000ポイントの大台に到達して、短期的には一旦達成感が出やすいとみられます。

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
素材 2.4% 3.5% 6.3%
エネルギー 2.2% 6.1% 0.9%
金融 1.4% 4.4% 13.3%
公益事業 1.3% 0.0% -1.6%
ヘルスケア 1.0% 4.3% 13.6%
資本財・サービス 0.9% 4.8% 12.0%
生活必需品 0.2% 1.8% 6.1%
不動産 -0.2% -0.9% 7.0%
S&P500 -0.4% 3.4% 10.9%
一般消費財・サービス -0.8% 3.0% 8.7%
コミュニケーションサービス -1.6% 5.6% 14.1%
情報技術 -2.5% 2.4% 12.4%
騰落率上位(5日) 騰落率
ウェルズ・ファーゴ 8.0%
ゼネラル・エレクトリック 7.1%
イーライリリー 5.7%
ネットフリックス 4.0%
テスラ 3.3%
騰落率下位(5日) 騰落率
アドビ -12.8%
アルファベット -5.7%
ディア -5.4%
オラクル -4.6%
スターバックス -4.2%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で0.4%、NYダウは0.1%、ナスダック指数は1.3%の下落でした。

2/13(火)は1月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったことを受けて、早期利下げ期待が後退、米10年国債利回りが上昇、相場は大きく反落しました。一方、2/14(水)はCPIへの反応が過剰との見方もあって、押し目買いが入って反発、2/15(木)は小売売上高が前月比-0.8%と弱かったことから、金利上昇を抑えて株は続伸となりました。一方、2/16(金)の1月生産者物価指数が市場予想を上回ると金利は上昇に転じて株価は下落しました。

1月消費者物価指数は、総合指数が前年比+3.1%(前月は同+3.4%、市場予想は同+2.9%)、コア指数が同+3.9%(前月は同+3.9%、市場予想は+3.7%)と、いずれも市場予想を上回りました。1月小売売上高は、前月比-0.8%と市場予想の同-0.2%を大幅に下回りました。年末商戦の反動に加え、悪天候の影響を含みますが、基調も鈍化しているとみられます。

1月生産者物価指数は、総合指数が前年比+0.9%(前月は同+1.0%、市場予想は同0.6%)、コア指数が同+2.0%(前月は同+1.7%、市場予想は同+1.6%)と、いずれも市場予想を上回りました。

業種指数では、先々週に続いて連続で素材が上昇トップです。好決算を受けて株価上昇が続いている産業ガスのリンデ(LIN)の寄与が大きくなっています。また、衛生ソリューションを提供するエコラブ(ECL)も決算発表を受けて上昇に寄与しました。

今週の米国株式

今週はエヌビディアの決算発表が最も大きな株価材料と考えられますが、ポジティブサプライズとなるハードルは高くなっており、やや警戒的にみておいたほうが良いでしょう。先週号の見通しで指摘したとおり、調整に転じやすい地合いとみられます。

今週の株価材料として、エヌビディアの決算発表、FOMC議事要旨、金融当局者発言、などが注目されます。

エヌビディアは2/21(水)の引け後に11-1月期決算を発表予定で、11-1月期の売上は202億ドル(会社ガイダンスの196~204億ドルに沿うもの)、2-4月期は216億ドルというのが現在の市場コンセンサスです(図表3)。

エヌビディアの株価は昨年末終値の495.22ドルから2/12(月)に付けた直近高値746.11ドルまで50%以上の上昇となっています。株価上昇の背景は、以下のようにAI市場の拡大を示唆する情報が関連企業から出たことにあります。

(1)台湾セミコンダクターが2024年12月期の売上は、AI関連がけん引して前年比20%台前半から半ばの伸びを想定する(1月18日)

(2)エヌビディアのAIコンピュータを使って、データセンター向けにサーバーを組み立てているスーパー マイクロ コンピューター(SMCI)が、2024年6月期の売上を従来予想の100~110億ドルから143~147億ドルに引き上げた(1月29日)

(3)ビッグデータ分析のソフトウェアを提供するパランティアテクノロジーズ(PLTR)がAI関連の需要拡大に「顧客の需要にどう対応していいかわからないくらいだ」とコメントした(2月5日)

そういう意味では市場の期待が非常に高くなっており、11-1月期売上実績が202億ドルを若干上回るくらいでは市場を満足させることは難しいとみられます。ポジティブサプライズとなるのは、例えば前四半期比40億ドル程度増加の220億ドルを超えるような数字と考えられます。ハードルはかなり高くなっているとみられ、やや警戒的にみておいたほうが良いでしょう。

FOMC議事要旨については、前回1月31日(水)のFOMC会見でパウエルFRB議長は、「インフレ率が持続的に2%に向かっていると確信できるまで、政策金利の引き下げが適切になると考えていない」「3月に利下げとなる可能性は高くない」と発言して、市場の早期利下げ期待をけん制しました。その後の金融当局者の発言もその流れに沿ったものが多く、議事要旨はダメ押しになるとみられます。

FedWatchによる3月FOMCの政策金利は、据え置きが90%、利下げが10%と、それぞれ1ヵ月前の35%、65%から大きく変化しています。このため、利下げ牽制の内容となってもサプライズにはならないとみられます。

FOMC議事要旨の公表後に、クックFRB理事、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁、シカゴ連銀グールズビー総裁などの発言が予定されており、こちらも注意する必要がありそうです。

経済指標では、2/22(木)に米国の1月中古住宅販売件数(前月比+5.0%の予想)、米国の2月S&Pグローバル製造業PMI(前月の50.7から50.5に悪化の予想)、などが発表予定です。

今週の5銘柄

今回は2/9(金)から2/15(木)までに10-12月期決算を発表した銘柄から、決算の実績が市場予想を上回った銘柄を中心に、市場予想を上回った要因が今後も続くと期待される銘柄として、アプライド マテリアルズ(AMAT)、エアビー アンド ビー(ABNB)、ケイデンス デザイン システムズ(CDNS)、マーチン マリエッタ マテリアルズ(MLM) レイドス ホールディングス(LDOS)を選んでご紹介いたします。

図表3 エヌビディアの四半期売上

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表4 10-12月期、11-1月期決算より注目銘柄(対象はS&P500指数採用銘柄、時価総額順)

銘柄(コード) 売上
予想比
(%)
EPS
予想比
(%)
売上
前年同期比
(%)
EPS
前年同期比
(%)
アプライド マテリアルズ(AMAT) 3.6 11.6 -0.4 4.9
エアビー アンド ビー(ABNB) 2.5 12.3 16.6 58.3
ケイデンス デザイン システムズ(CDNS) 0.7 2.7 18.8 43.8
マーチン マリエッタ マテリアルズ(MLM) -1.0 14.1 8.9 49.7
CBRE グループ A(CBRE) 5.6 16.7 9.2 3.8
ハウメット エアロスペース(HWM) 4.7 13.7 14.4 39.5
アメリカン ウォーター ワークス(AWK) 2.3 6.7 10.9 8.6
レイドス ホールディングス(LDOS) 4.4 14.0 7.7 10.6
トリンブル(TRMB) 2.4 5.6 8.9 5.0
MGMリゾーツ インターナショナル(MGM) 5.7 55.2 21.8 黒字転換
ダヴィータ(DVA) 4.4 18.5 7.9 68.5

注:2/9(金)から2/15(木)までに10-12月期、11-1月期の決算を発表した銘柄を対象としています。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

今週の注目銘柄

取引 チャート 銘柄 株価
(2/16)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートアプライド マテリアルズ(AMAT)199.57ドル24.3

【5四半期連続で業界平均を上回る】

・半導体製造装置の大手企業で、日本の東京エレクトロンに似た事業内容の会社です。11-1月期の売上は前年同期比0.4%減でしたが、5四半期連続で業界平均をアウトパフォームしたとコメントしています。

・2-4月期の売上見通しを65億ドル(前年同期比2%減相当)±4億ドルとして、中央値は市場予想の63.2億ドルを上回りました。半導体製造装置の売上は前年同期比3.5%減の約48億ドルとして、11-1月期の同5.0%減から減少率が縮小して、半導体市場の底入れを示唆するものとなりました。

買付チャートエアビー アンド ビー(ABNB)152.51ドル32.4

【コロナ禍後の旅行ブームは衰えない】

・民泊仲介の会社。10-12月期は引き続き旅行需要が好調で、売上は前年同期比17%増(うち3%ポイントは為替変動によるプラス)、調整後EPSは同58%増で、市場予想も上回って好調でした。総予約額も同15%増と伸びています。

・1-3月期の売上見通しは前年同期比12~14%増の20.3~20.7億ドルで、市場予想の20.2億ドルを上回りました。前年同期比17%増の10-12月期から減速となるものの、これは前年同期の成長率が際立って高かったためだと説明しました。海外が好調で、コロナ禍後の旅行ブームは衰えないとみています。

買付チャートケイデンス デザイン システムズ(CDNS)290.30ドル49.0

【AIや3次元ICで事業機会が拡大】

・半導体・電子回路の設計自動化(EDA)ツール開発大手で、モバイル、クラウド、自動車、航空向けカスタムIC、システム開発が主力です。2024年12月期ガイダンスは、売上が前年比11~13%増、調整後EPSが同14~16%増と順調な拡大が見込まれています。人工知能(AI)や3次元ICなどが同社の事業機会を拡大しています。

・一方、1-3月期ガイダンスは、売上が前年同期比3~5%増にとどまり、市場予想を下回りましたが、一時的な減速とみられます。

買付チャートマーチン マリエッタ マテリアルズ(MLM)539.87ドル25.5

【住宅市場の回復に期待】

・砕石や砂利などの建設骨材大手で、売上高では同業のバルカンマテリアルズ(VMC)に次ぐ規模です。2024年12月期のガイダンスは、売上が前年比0.5減~6.0%増、調整後EBITDA(利払い、税金、償却前利益)が同0.5増~10%増。建設骨材の数量は前年比2%減~2%増、平均価格は同10~12%増の前提です。

・昨年10月には5%に達した米10年国債利回りが落ち着き、住宅建設市場の回復が見込まれていることから、その回復の度合いによっては上振れの可能性も考えられます。

買付チャートレイドス ホールディングス(LDOS)123.83ドル16.0

【防衛に強いITサービス大手】

・ITサービスの大手。航空、防衛、ヘルスケアなどの分野に展開、特に防衛では米国でトップクラスです。2023年7月にはマイクロソフトと公共部門の組織効率化や生産性向上での生成AI活用で戦略提携しています。

・2024年12月の見通しを売上は前年比2~4%増、調整後EPSは同3~8%増としましたが、2023年12月の売上が前年比7%増となっているため、市場では保守的との見方があります。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、アプライドマテリアルズが2024年10月期、その他はいずれも2024年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
19(月) ・米国市場休場(ワシントン誕生日)
・日本機械受注(12月)
 
20(火) ・EU27ヵ国新車登録台数(1月) ウォルマート、ホームデポ、メドトロニック
21(水) ・アトランタ連銀ボスティック総裁のあいさつ
・FOMC議事要旨(1月30日、1月31日開催分)
エヌビディアリビアンオートモーティブ
22(木) ・HCOBユーロ圏製造業PMI(2月)
・シカゴ連銀全米活動指数(1月)
・新規失業保険申請件数(2月17日に終わる週)
・S&Pグローバル米国製造業PMI(2月)
・米中古住宅販売件数(1月)
・クックFRB理事が講演
・ミネアポリス連銀カシュカリ総裁が討論に参加
・シカゴ連銀グールズビー総裁の講演
・5年国債入札
ブロック、ブッキングホールディングス
23(金) ・ドイツIFO企業景況感(2月) ワーナーブラザーズディスカバリー
24(土) ・サウスカロライナ州予備選挙(共和党)  
26(月) ・米新築住宅販売件数(1月) ユニティソフトウェアズームビデオコミュニケーションズ
27(火) ・米耐久財受注(1月)
・S&PコアロジックCS住宅価格(12月)
・米コンファレンスボード消費者信頼感(2月)
ビヨンドミートヴァージン ギャラクティック
28(水) ・米実質GDP(10-12月期、改定値) シースリーエーアイマルケタ、セールスフォース
ロスストアーズ、TJX
29(木) ・日本鉱工業生産(1月)
・中国製造業・非製造業PMI(2月)
・米個人所得・個人支出(1月)
・米個人消費支出物価指数(1月)
・米新規失業保険申請件数(2月24日に終わる週)
・米中古住宅販売成約(1月)
・シカゴ連銀グールズビー総裁の講演
ベストバイ
3月
1(金)
・財新中国製造業PMI(2月)
・ワーズ自動車販売台数(2月)
・ミシガン大学消費者信頼感(2月、確報値)
・米ISM製造業景気指数(2月)
・サンフランシスコ連銀デイリー総裁の講演
ニオ(E)

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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