決算発表が一巡へ!好決算発表の中小型株を探る《前編》

決算発表が一巡へ!好決算発表の中小型株を探る《前編》

投資情報部 鈴木 英之

2024/02/14

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決算発表が一巡へ!好決算発表の中小型株を探る《前編》

東京株式市場が上昇基調です。特に日経平均株価は2/6(火)~2/13(火)の期間も5.0%上昇し、年初来の上昇率が13.4%に達しました。2/13(火)には、アーム株の上昇を背景とするソフトバンクグループ(9984)や、業績予想を上方修正した東京エレクトロン(8035)など、高寄与度銘柄が急騰し、日経平均株価は1,066円も上昇しました。

これに対し、中小型株のパフォーマンスは勢いに欠ける状態です。2/6(火)~2/13(火)に、東証グロース市場指数は0.2

%、東証スタンダード指数は0.4%の上昇にとどまっています。大型株のボラティリティが大きくなっており、中小型株のお株を奪っている状態です。下図は日経平均株価と東証グロース市場指数の値動きを比べたものですが、昨年10月頃から開き始めた、2つの指数の格差は日経平均株価優位のまま、開き続けています。

もっとも、中小型市場の劣後が長く続くほど、中小型株の出遅れ感が強くなることも確かでしょう。もともと「玉石混交」の市場であり、今後大きく上昇する銘柄が潜んでいる可能性もあります。決算発表は2/14(水)でおおむね一巡ですが、「業績」を尺度に、銘柄を選別しておき、今後の「追い上げ」に備えたいところです。

そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、決算発表を終えた銘柄から好業績銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。

(1)東証スタンダード市場、またはグロース市場上場銘柄

(2)2/9(金)までの20営業日で1日当たり平均出来高が2万株以上

(3)本年1/22(月)~2/9(金)に決算発表を終了

(4)直近四半期(23.10~12期)・・・前年同期比で50%超の営業増益、かつ最終黒字

(5)四半期累計・・・前年同期比で50%超の営業増益、かつ最終黒字

(6)通期業績予想が下方修正されていない

(7)信用規制銘柄に該当していない

図表の銘柄は、上記(1)~(7)の条件をすべて満たしています。掲載の順番は、(4)にある直近四半期の営業増益率が高い順となっています。

【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 2/6(火)~2/13(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 決算発表が一巡へ!好決算発表の中小型株を探る《前編》

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(2/13・終値)
23.10~12期営業増益率 四半期累計営業増益率
4475 4475 4475 4475 HENNGE(9) 1,463 309.4% 309.4%
4414 4414 4414 4414 フレクト 5,940 211.5% 279.5%
9229 9229 9229 9229 サンウェルズ 2,417 129.5% 161.8%
7687 7687 7687 7687 ミクリード 1,618 62.4% 95.8%
3900 3900 3900 3900 クラウドワークス(9) 1,692 53.6% 53.6%
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成
  • ※銘柄名右横に(9)とある銘柄は9月決算銘柄。無印は3月決算銘柄
  • ※9月決算銘柄は、23.10~12月期が直近四半期(3ヵ月:23.10~12期)で、かつ四半期累計でもあるため、数字が同じになります。
  • ※3月決算銘柄の四半期累計は、23.4~12期が対象です。

掲載銘柄を詳細に解説!

■HENNGE4475)~クラウド利用時の障害を取り除くサービスをワンストップで提供。1Qは好調なスタート

クラウドセキュリティーサービス「HENNGE One」等を提供しています。同サービスは、単一のID・パスワードで複数のクラウドサービスに、横断的にログインできる利便性をもちつつ、アクセス制限、誤送信対策他、セキュリティ機能も備えているのが特徴です。23.12末現在、大手企業を中心に2,678社、240万人弱が利用しています。同社事業は基本的にサブスクリプションビジネスで、当期中に獲得された契約は解約(解約率は23年1Q=0.30%)されない限り積み重なって、次期以降の業績に寄与が期待されるという特徴があります。

24.9期1Q(2/9発表)は売上高19億円(前年同期比23%増)、営業利益3.8億円(同309%増)と順調な滑り出しでした。契約企業数は前期末から68社増え、ユーザー数も同1.8万人増えました。24.9通期では、売上高83億円(前期比22%増)、営業利益9.4億円(同33%増)が会社計画です。

■フレクト(4414)~あるべき未来をクラウドで形に。通期業績予想を上方修正

企業が収益を獲得するために、あるいは顧客満足度を高めるために行うシステム開発を受託し、企業のDXを支援しています。最終ユーザーが直接利用する顧客接点となるシステムの開発が得意です。大手を中心とし安定した顧客基盤が強みです。たとえば、コマツ(6301)向けには、ダンプトラックの動態管理アプリを開発し、効率的かつ安全な運行を支援。ANA(9202)向けには、顧客データ等とシステムを連携させるシステムを開発しています。

24.3期3Q累計業績は、売上高49億円(前年同期比30%増)、営業利益5.4億円(同279%増)と好調。旺盛なDX支援の引き合いを背景に基盤事業が伸長。売上・利益ともに四半期ベースで過去最高益となりました。大手企業との契約数も伸びています。会社側は24.3通期業績計画について、売上高63.9億円→68.3億円(前期比28%増)、営業利益5.5億円→6.6億円(同158%増)と上方修正しました。

■サンウェルズ(9229)~パーキンソン病に特化した介護施設を運営。新規施設開発は予定通り進捗

パーキンソン病は、2020年度末時点で患者数は約14.2万人と推定され、高齢化の進展に伴い患者数も増加傾向にあります。同社は、そんなパーキンソン病に特化した介護施設「PDハウス」を運営する会社です。他疾病と比べ、リハビリと専門医の治療がより効果的である点に着目。世間のニーズと合致したことで、施設数及び業績が右肩上がりとなっています。

24.3期3Q累計では、売上高153億円(前年同期比58%増)、営業利益23.9億円(同161%増)と会社見込みを上回る業績です。10~12月に計画通りPDハウスを4施設開設(計31施設運営)。集客も好調で10~12月期の既存施設稼働率は96%と過去最高を記録しました。通期は売上高210億円(前期比53%増)、営業利益33.5億円(同133%増)を計画。中期計画の営業利益は、25.3期48億円、26.3期73億円と成長を見込みます。

■ミクリード(7687)~全国1万件の中小飲食店に食材を販売。四半期ベースで過去最高売上高・営業利益

居酒屋を中心に、個人事業の中小飲食店を対象とした業務用食材の通信販売を行っています。全国で1万件を数える中小小売店を主要顧客とし、肉・野菜・串・揚げ物・デザートなど4千品目について即日出荷で対応。飲食店が閉店後に発注できるよう受注センターを午前2時まで営業しています。中核事業以外は専門業者に事業を委託しており、従業員数は29名(23.9末時点)と軽量経営になっています。

24.3期3Q累計業績は、売上高44.9億円(前年同期比31%増)、営業利益3億円(同93%増)と好調で、ともに四半期ベースで過去最高。飲食店が繁忙期で、カタログ関連費用がない等の季節要因も追い風になりました。24.4期は売上高59億円(前期比26%増)、営業利益3億円(同54%増)が引き続き会社計画ですが、達成確度は高まっていると会社側ではみています。

■クラウドワークス(3900)~クライアントとワーカーを結ぶ最大級のプラットフォーム。1Qも順調にスタート

企業など仕事を委託したいクライアントと、それを受託するワーカーを結びつけるプラットフォームを運営しています。23年12月末現在、95万社のクライアント、ワーカー606万人が登録する国内最大級のプラットフォームとなっています。

24.9期1Q(23.10~12期)は流通取引総額69億円(前年同期比27%増)、売上高40億円(同37%増)、営業利益3.4億円(同53%増)と順調な滑り出しでした。開発工数を99%削減するなど生成AIによる業務効率化が実現されていることも心強い材料です。通期では引き続き、売上高158億円(前期比20%増)、営業利益12.7億円(同10%増)を目指します。

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