中国株 ココがPOINT!~200日移動平均線の突破となるか、過去の経験則が示すもの~

投資情報部 李 燕
2022/12/15
12/8-12/14の香港市場は続伸しました。「ゼロコロナ政策」が緩和された後、新型コロナの感染者数が急増しましたが、中国当局が「ゼロコロナ政策」の見直しを続けたほか、香港とマカオもさらに緩和を進め、投資家センチメントを支えました。
ハンセン指数とハンセンテック指数、および米国上場のADRで構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC指数)はともに11月に入ってから反発した後、足元では200日移動平均線の突破を試しています。今回は、ハンセン指数を代表例に200日移動平均線の突破となるかどうか、過去の経験則が示すものについて考察してみたいと思います。
図表1 ハンセン指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

注:12/14(水)までのチャートです。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成。
図表2 香港市場の業種別指数の推移(2021年12月31日=100として指数化)

注:業種別指数はハンセン総合指数のサブ指数です。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成。
図表3 香港市場の個別銘柄の騰落率と関連ニュース等(12/14(水)までの騰落率)
ハンセン指数
騰落率上位 (5日) |
銘柄名 | 騰落率 (5日) |
騰落率 (1ヵ月) |
騰落率 (3ヵ月) |
関連ニュース等 |
01997 | 九龍倉置業 [ワーフ・リアルエステート] | 17.5% | 26.1% | 23.7% | 香港地場の不動産会社。香港政府が新型コロナ対策の規制をさらに緩和し、12/14から入境後の行動制限を撤廃すると発表し、香港地場企業が買われた。 |
00017 | 新世界発展[ニューワールト] | 14.1% | 7.5% | -15.1% | 香港の不動産会社。香港政府が新型コロナ対策の規制をさらに緩和し、12/14から入境後の行動制限を撤廃すると発表し、香港地場企業が買われた。 |
00960 | 龍湖集団 [ロンフォー・グループ] | 10.9% | 20.1% | -8.0% | 中国不動産大手。中国銀行(中国4大銀行の一角)が同社の人民元建て債に対し保証すると表明したほか、ドル建て融資を実施し、買い材料となった。 |
01928 | 金沙中国 [サンズ・チャイナ] | 10.4% | 38.5% | 46.6% | カジノ大手。マカオ政府が中国本土からの入境者に対し、入境後のPCR検査や抗体検査を撤廃すると発表し、買い材料となった。 |
03690 | 美団(Meituan) | 9.1% | 16.8% | 5.2% | 中国フードデリバリー最大手。レストラン予約なども手掛ける。コロナ政策の緩和を受け、レストランの予約が急増し、買い手掛かりとなった。天津市や南京市などが消費喚起に向け、商品券を発行したことも買いを誘ったもよう。 |
騰落率下位 (5日) |
銘柄名 | 騰落率 (5日) |
騰落率 (1ヵ月) |
騰落率 (3ヵ月) |
関連ニュース等 |
00175 | 吉利汽車 [ジーリー・オートモービル] | -0.7% | 14.4% | -11.8% | 大手自動車メーカー。自動車株の不透明感を受けて下落した(詳細は本文をご参照願います)。ただ、傘下のEVブランド「Zeekr」のスピンオフ上場計画について資金調達規模や上場予定時期に関する報道を好感し、下落率は限定的だった。 |
03692 | Hansoh Pharmaceutical | -0.9% | 0.1% | 10.1% | 医薬品大手。RSIが短期的買われ過ぎサインとされる70%に達し、利益確定売りに押された。 |
00881 | 中升集団 | -1.1% | 2.0% | 15.3% | 自動車販売会社。自動車株をめぐる不透明感を受けて下落した(詳細は本文をご参照願います)。ただ、自社株買いを受け、下落率は限定的だった。 |
00241 | 阿里健康信息技術 [アリババ・ヘルス] | -4.0% | 62.6% | 89.1% | アリババ(09988)傘下のインターネットヘルス大手。11月末から急騰し、RSIが短期的に買われすぎサインとされる70%を上回ってからも上昇が続いたが、テクニカル指標のMACDから売りシグナルが示され、利益確定売りを誘発した。 |
06098 | CG SERVICES | -7.5% | 13.5% | 23.1% | 不動産大手カントリーガーデン(02007)傘下の不動産サービス会社。親会社の大株主が親会社の株式を売却したことが判明し、売りに押された。 |
ハンセンテック指数
騰落率上位 (5日) |
銘柄名 | 騰落率 (5日) |
騰落率 (1ヵ月) |
騰落率 (3ヵ月) |
関連ニュース等 |
09626 | ビリビリ | 21.9% | 85.6% | 30.8% | 動画プラットフォーム大手。大手証券会社数社が目標株価を引き上げた。12/10にリリースした新しい動画作品の閲覧回数が初日で1億を突破したことも好材料となった。 |
09698 | 万国数拠服務 | 19.3% | 52.0% | -13.0% | データセンターを運営。ゼロコロナ政策の緩和による景気回復で、ネット大手は来年設備投資を増やす可能性があると大手証券会社が指摘し、買い手掛かりとなったもよう。 |
00909 | Ming Yuan Cloud Group | 19.0% | 29.6% | 29.6% | 不動産会社向けソフトウェア大手。ゼロコロナ政策の緩和による不動産市場の回復を織り込み、買われた。 |
00772 | 閲文集団(China Literature) | 16.5% | 15.0% | 8.6% | オンライン文学プラットフォームを運営。同社の作品が動画配信プラットフォーム大手のiQIYIで好調な滑り出しになったと報じられ、買われた。 |
01024 | 快手(Kuaishou Technology) | 14.8% | 50.6% | 15.5% | ショート動画大手。早期の黒字転換期待で買われた。大手証券会社が同社は2022年10-12月期あるいは2023年4-6月期(通常1-3月期は低迷期)に黒字転換する可能性があると分析した。 |
騰落率下位 (5日) |
銘柄名 | 騰落率 (5日) |
騰落率 (1ヵ月) |
騰落率 (3ヵ月) |
関連ニュース等 |
09866 | 蔚来汽車 [ニオ] | -2.9% | 4.0% | -44.4% | 新興EVメーカー。中国新エネルギー車最大手のBYD(01211)が中高価格帯の新モデルを発表。競争激化懸念で、EV(電気自動車)関連銘柄が売られた。バークシャーハサウェイが12/8にBYD株を追加売却したことも、EV関連銘柄の売りを誘った。 |
00241 | 阿里健康信息技術 [アリババ・ヘルス] | -4.0% | 62.6% | 89.1% | アリババ(09988)傘下のインターネットヘルス大手。11月末から急騰し、RSIが短期的に買われすぎサインとされる70%を上回ってからも上昇が続いたが、テクニカル指標のMACDから売りシグナルが示され、利益確定売りを誘発した。 |
02015 | 理想汽車[リーオート] | -6.7% | 14.1% | -22.8% | 新興EVメーカー。中国新エネルギー車最大手のBYD(01211)が中高価格帯の新モデルを発表。競争激化懸念で、EV(電気自動車)関連銘柄が売られた。バークシャーハサウェイが12/8にBYD株を追加売却したことも、EV関連銘柄の売りを誘った。 |
09868 | 小鵬汽車[シャオペン] | -7.0% | 17.4% | -35.4% | 新興EVメーカー。中国新エネルギー車最大手のBYD(01211)が中高価格帯の新モデルを発表。競争激化懸念で、EV(電気自動車)関連銘柄が売られた。バークシャーハサウェイが12/8にBYD株を追加売却したことも、EV関連銘柄の売りを誘った。 |
01833 | 平安健康医療 [ピンアン・ヘルスケア] | -7.5% | 37.7% | 28.1% | 平安保険(02318)傘下のインターネットヘルス大手。11月末から急騰し、RSIが短期的に買われすぎサインとされる70%を上回ってからも上昇が続いたが、テクニカル指標のMACDから売りシグナルが示され、利益確定売りを誘発した。 |
注:銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergをもとにSBI証券が作成。
今週の中国株市況
12/8-12/14の香港市場では、ハンセン指数が4.6%上昇、ハンセンテック指数は5.8%上昇しました。米国上場のADRで構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC指数)は、3.7%上昇しました。
「ゼロコロナ政策」が緩和された後、新型コロナの感染者数が急増しましたが、中国当局が「ゼロコロナ政策」の見直しを続けたほか、香港とマカオもさらに緩和を進め、投資家センチメントを支えました。それを受け、上記の3指数はともに12/14に200日移動平均線を小幅に上回って引けました。
業種別では、情報テクノロジー、不動産、生活必需品が上昇率上位でした。
情報テクノロジーは、「ゼロコロナ政策」の見直しによる消費の回復期待が続き、EC大手のアリババ(09988)やJDドットコム(09618)、決済サービス大手のテンセント(00700)が続伸しました。マクロ経済見通しの改善を受け、大手証券会社が目標株価や業績見通しを引き上げた動画サービス大手のビリビリ(09626)や快手(01024)も大幅高となりました。
不動産は、中国本土の不動産デベロッパーに加え、香港地場の不動産会社も上昇しました。中国本土の不動産デベロッパーは、大手国有銀行が中国当局の不動産支援措置に従い、不動産デベロッパーに対して具体的な信用保証や融資を実施したためです。香港地場の不動産会社は、香港政府が新型コロナ対策の規制をさらに緩和し、12/14から入境後の行動制限を撤廃すると発表したことが好材料となりました。
生活必需品は、「ゼロコロナ政策」の見直しが続いたことで、ビール大手のバドワイザーAPAC(01876)や華潤ビール(00291)が続伸しました。衛生用品大手の恒安国際(01044)も大幅高となり、指数を押し上げました。世界最大のパルプ企業であるブラジルのSuzanoがユーカリパルプの価格を4.7%引き下げたことが好材料となりました。
半導体も上昇しましたが、ややボラティリティの高い動きとなりました。12/12に、日本とオランダが先端半導体製造装置を対象とした米国の対中輸出規制に加わることで基本合意したと報じられました。それを受け、半導体受託生産(ファウンドリ)大手の華虹半導体(01347)やSMIC(00981)は12/12に下落しました。ただし、日本とオランダの動きはある程度想定内だったこともあり、下落率は限定的でした。
翌12/13に、「中国当局が国内半導体産業を支援するため、1兆元を超える規模の対策を計画している」とロイター通信が報じると、大幅高に転じました。ただ、12/14は反落しました。市場調査会社のGartnerが2023年の世界半導体売上見通しについて今年より3.6%減少すると予想し、売り材料となりました。この3日間の動きからすると、中国当局による産業支援措置が米中対立による影響を相殺しており、当面は需要動向や見通しにより注目が集まりそうです。
業種別でほぼ全面高となったなか、電気自動車(EV)関連株は逆行安となりました。中国新エネルギー車最大手のBYD(01211)が中高価格帯の新モデルを発表し、競争激化懸念が強まりました。著名投資家のウォーレンバフェット氏が率いるバークシャーハサウェイが12/8にBYD株を追加売却したことも、EV関連銘柄の売りを誘いました。BYDだけでなく、新興EV3社(ニオ09866)、シャオペン(09868)、リーオート(02015))も利益確定売りに押されました。
なお、バークシャーハサウェイの追加売却を受けたBYD株の下落率(12/9-12/14)は-3%と限定的でした。過去の売却時に比べると、その影響度はやや低下しているようです。中国当局が「ゼロコロナ政策」を見直したことで、来年は行動制限が完全に撤廃され、販売を下支えるすると見込まれるためです。他方、来年は新エネルギー車向けの補助金が廃止となるため、新エネルギー車の販売は反動減も予想されます。行動制限撤廃による販売回復と補助金廃止による反動減がどう拮抗するか、現時点では予測しがたいと思われます。当面、販売実績や政策動向(補助金廃止後に他の販売支援措置があるかどうか)が注目されます。
今回のトピックス
ハンセン指数とハンセンテック指数、および米国上場のADRで構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC指数)はともに11月に入ってから反発した後、足元では200日移動平均線の突破を試しています。今回は、ハンセン指数を代表例に、過去の経験則が示すものについて考察してみたいと思います。
図表4の上のグラフ(2002年からの推移)を確認してみると、ハンセン指数が約1年(あるいはそれ以上)にわたり200日移動平均線を下回ったのは合わせて3回ありました。1回目は2007-2008年の世界金融危機時、2回目は2015-2016年のチャイナショック時、そして3回目は2021年からの下落局面となります。
今回を除く過去2回では、200日移動平均線を突破した後、上昇相場となりました。したがって、今回も200日移動平均線の突破に成功すれば、上昇が続く可能性がありそうです。
図表4 ハンセン指数の終値と200日移動平均、および予想PERの推移(2002年から)

図表4の下のグラフと合わせて確認してみると、1回目と2回目にハンセン指数が200日移動平均線の突破に成功した際、下記2つの共通点がありました。
1)急落を経て、バリュエーション(株価水準)が歴史的低水準まで下落したこと
2)中国当局が経済減速に対応するため、景気支援策を打ち出したこと
この2点は、足元の状況にも当てはまります。したがって、過去の経験則からすると、ハンセン指数は200日移動平均線の突破に成功する可能性が高いと言えそうです。
ただ、過去2回のうち、2007-2008年の世界金融危機後の一本調子の上昇よりも、20015-2016年のチャイナショック後の少しギクシャクしながらの上昇となるかもしれません。というのは、2007-2008年の世界金融危機時は世界主要国が協調して金融緩和や経済支援を実施しましたが、現在の状況からすると、今回はそれは期待できないかもしれません。また、中国の支援策やそれによる効果に対して、市場で一定の疑問を抱いている点も2015-2016年の状況と似ています。
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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