S&P500が過去最高値! 新NISA 低リスク+長期好成績のバランスファンドは?

投資情報部 川上雅人
2024/05/20
新NISA・成長投資枠のリスクを抑えた運用方法は?
4月の投資信託(追加型株式投信(ETF除く)のカテゴリー別での資金流入(買付金額-売却金額)は、海外株式と国内株式が上位となっていますが、株式や債券など複数の資産に投資しているバランスのカテゴリーについては水準は低いものの、2024年に入ってから安定的な資金流入となっています(図表1)。
新NISAにおいては海外株式ファンドの人気が根強いですが、5月15日には米国主要3指数(NYダウ、S&P500、NASDAQ総合)や欧州の株価指数なども過去最高値を更新しているため、世界の株式市場では高値警戒感が高まっているのも事実です。
今後は日米の金融政策の行方や米大統領選挙の不透明感などで株式市場や為替市場が不安定な局面を迎えるなら、相対的にリスク(値動きの振れ幅を示す標準偏差)が抑えられているバランスファンドのニーズが高まると予想します。
新NISAにおいてバランスファンドはあまり注目されていませんが、運用期間が長くとれない中高年層を中心として価格変動をある程度抑えることができる運用方法の1つとして、バランスファンドは一定の支持を集めていくのではないかと思われます。
また、外国債券に投資するバランスファンドについては、米国や欧州の金融政策によって過去と比べて金利水準が高くなっており(図表2)、外国債券投資の魅力度が相対的に高まっているのもポイントといえます。
そこで今回は、積立投資だけでなく一括投資ができる新NISA・成長投資枠の対象となっている低リスクで長期好成績のバランスファンドをご紹介します。
SBI証券取り扱いのバランスファンドで、リスクとリターンのバランスが優れたファンドといえるレーティングが4ツ星以上、相対的に低リスクといえるリスクメジャー(値動きの振れ幅が全ファンドの中でどの程度の水準にあるのかを示した数値、5段階で1が最小)が「2」以下に絞って、10年リターン順に表示したものが図表3となります。
なお、2月26日のコラムでもNISA口座で資産の取り崩し期間に活用したい低リスク+好成績(3年リターン)のバランスファンドをご紹介していますので、あわせてご参照ください。
図表1 追加型株式投信(ETF除く) 月間資金流入額の推移 (2023年12月~2024年4月)

- ※QUICKデータをもとにSBI証券作成
- ※海外株式、国内株式、バランス以外のカテゴリーの資金流入額は省略
図表2 主要国の10年国債利回りの推移 (2014年5月~2024年5月* 月末値)

- ※QUICKデータをもとにSBI証券作成
- ※2024年5月は16日のデータ
図表3 新NISA 低リスク+10年好成績のバランスファンド一覧
順位 | ファンド名 | 特徴 (基本資産配分など) |
1年 リターン |
3年 リターン (年率) |
5年 リターン (年率) |
10年 リターン (年率) |
5年 標準偏差 |
新NISA |
1 | DCニッセイワールドセレクトファンド(標準型) | 国内株式30%、国内債券30%、外国株式20%、外国債券15%、短期金融資産5% | 19.22% | 8.72% | 8.42% | 6.94% | 7.80 | 成長+つみたて |
2 | 資産形成ファンド | 国内株式28%、国内債券32%、外国株式27%、外国債券10%、短期金融資産3% | 17.87% | 7.65% | 8.36% | 6.84% | 8.49 | 成長+つみたて |
3 | ダイワ・ライフ・バランス50 | 国内株式30%、国内債券40%、外国株式20%、外国債券10% | 17.91% | 8.14% | 8.02% | 6.79% | 7.64 | 成長+つみたて |
4 | 3資産バランスオープンアルファ(愛称:トリプルインカムアルファ) | 国内株式40%、国内REIT 10%、外国債券50% | 16.56% | 5.37% | 6.68% | 6.54% | 9.61 | 成長 |
5 | 楽天 グローバル・バランス(成長型)(愛称:豊饒の木) | 外国株式45%、外国債券45%、外国REIT 5%、コモディティ5% | 23.06% | 10.52% | 9.38% | 6.30% | 9.80 | 成長 |
6 | ハッピーエイジング40(ハッピーエイジング・ファンド) | 国内株式31%、国内債券33%、外国株式19%、外国債券15%、短期金融資産2% | 19.48% | 9.07% | 7.56% | 6.15% | 7.23 | 成長+つみたて |
参考 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 日本を含む全世界株式インデックスファンド(国内株式5.5%、外国株式94.5%) | 40.04% | 17.98% | 17.62% | - | 16.34 | 成長+つみたて |
- ※SBI証券取り扱いの新NISA・成長投資枠対象のバランスファンドでファンドレーティング4ツ星以上、リスクメジャー「2」以下に絞って、10年リターン順に表示(2024年4月末基準)
- ※参考として代表的な株式ファンドであるeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(リスクメジャーは「3」)を表示
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
低リスク+長期好成績 バランスファンドの特徴は?
DCニッセイワールドセレクトファンド(標準型)は、国内株式30%、国内債券30%、外国株式20%、外国債券15%、短期金融資産5%を基本資産配分としたファンドです。外貨建て資産の比率が35%と低く、国内資産の比率が高いのが特徴といえます。
資産形成ファンドは、国内株式28%、国内債券32%、外国株式27%(米国21%、欧州5%、アジア1%)、外国債券10%、短期金融資産3%を基本資産配分としたファンドです。
ダイワ・ライフ・バランス50は、国内株式30%、国内債券40%、外国株式20%、外国債券10%の基本資産配分です。国内資産の比率が70%と高いのが特徴といえます。
3資産バランスオープンアルファ(愛称:トリプルインカムアルファ)は、国内株式40%(高配当株20%、中小型株20%)、国内REIT 10%、外国債券50%を基本資産配分としたファンドです。国内債券と外国株式には投資していません。
楽天 グローバル・バランス(成長型)(愛称:豊饒の木)は、外国株式45%(先進国37.5%、新興国7.5%)、外国債券45%(先進国37.5%、新興国7.5%)、外国REIT 5%、コモディティ5%を基本資産配分としています。国内資産には投資しておらず、外貨の変動の影響を受けやすいファンドのため、一覧にあるバランスファンドの中で標準偏差が最も高くなっています。
ハッピーエイジング40(ハッピーエイジング・ファンド)は、国内株式31%(大型バリュー株と中小型株)、国内債券33%、外国株式19%、外国債券15%、短期金融資産2%を基本資産配分としたファンドです。国内資産の比率が66%と高いのが特徴といえます。
なお、今回は10年好成績ファンドを取り上げましたが、運用期間が10年に達していないバランスファンドも数多く存在します。SBI証券における販売金額上位(2024年4月)のバランスファンドは、
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)
ROBOPROファンド
などとなっています。ファンドの特徴はファンド詳細ページをご参照ください。
新NISAである程度まとまった資金でリスクを抑えた運用をお考えの方は、株式を中心とした運用だけでなく、ファンドの特徴をおさえた上で、バランスファンドの活用を検討されてみてはいかがでしょうか。
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