NEXTインド?! 日本初 インデックスファンド登場のべトナム株式に注目!

NEXTインド?! 日本初 インデックスファンド登場のべトナム株式に注目!

投資情報部 川上雅人

2024/07/01

日本初 インデックスファンド登場のベトナム株式に注目!

日本初のベトナム株式のインデックスファンド「iFreeNEXT ベトナム株インデックス」が6月28日に設定となりました。
ファンドの特徴とベトナム株投資の魅力については特集ページをご参照ください。

今から1年3ヵ月前の2023年3月13日に国内公募投資信託(ETFを除く)初のインド株式インデックスファンドが設定となりました。その後、インド株式ファンドは株式市場のパフォーマンスが堅調だったこともあって急速に残高を伸ばしました(図表1)。2023年3月末では残高1兆円もなかったインド株式ファンドの残高は、2024年5月末に3兆3,766億円まで拡大しました。
インド株式ファンドの残高が急拡大した要因は、インデックスファンドの設定が2023年度も6本設定され、残高が増えたこともありますが、それ以上に残高拡大に貢献したのはアクティブファンドです。図表2に示したように1年2ヵ月間でインド株式ファンドではアクティブファンドの残高が2兆1,557億円増加しています。一方でインデックスファンドの残高増加分は2,699億円であり、アクティブファンドの増加分はインデックスファンドの約8倍となっています。これは、6月3日のコラムでもご紹介したようにこの1年間はインデックスファンドのリターンを大きく上回るアクティブファンドが多数存在し、その人気が高まったことが要因といえます。

ベトナムの経済規模(2023年の名目GDP)はインドのおよそ1/8となっています。ベトナム株式市場の時価総額(2024年5月末)はインドとの比較では1/18程度の約43兆円という小さい市場です。
そのため、日本の投資信託におけるベトナム株式ファンドの残高は1,619億円(ベトナム株式のみを投資対象とした購入可能なファンドで集計、2024年5月末)にとどまっています。
しかし、ベトナムはインドと同様に生産年齢人口の拡大などで年率6%台の高い経済成長が期待できるアジア新興国であるため、中長期の視点で魅力ある投資対象国と考えられます。インデックスファンドの登場をきっかけに、インド株式との比較で出遅れとなっているベトナム株式と、通貨ベトナムドンの新興国通貨の中での相対的な安定性に注目が集まれば(図表3)、直近1年のインド株式ファンドに見られたような残高拡大も期待されます。

こうしたことから、今回はSBI証券取り扱いでベトナム単一国に投資する株式ファンドに注目します。既存のベトナム株式ファンドは8本となっており、比較可能な1年リターン順に並べたものが図表4になります。

図表1 インド株式ファンドの残高推移 (2023年3月末~2024年5月末)(月次)

  • ※ウエルスアドバイザーのデータをもとにSBI証券作成
  • ※国内公募追加型株式投信(ETF等含む)のうち、ウエルスアドバイザーカテゴリー「国際株式・インド(為替ヘッジなし)」に属するファンドを対象に集計

図表2 インド株式ファンドの残高拡大の内訳(インデックス vs アクティブ) 

  • ※ウエルスアドバイザーのデータをもとにSBI証券作成
  • ※国内公募追加型株式投信(ETF等含む)のうち、ウエルスアドバイザーカテゴリー「国際株式・インド(為替ヘッジなし)」に属するファンドを対象に集計

図表3 インド vs ベトナム 株価指数と為替レートの比較 (2019年6月~2024年6月* 月末値 2019年6月=100) 

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券作成(2024年6月は27日迄)

図表4 ベトナム株式ファンドの特徴とパフォーマンス比較

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
1年
リターン
3年
リターン
(年率)
5年
リターン
(年率)
1年
標準偏差
ファンド
レーティング
1 DIAM ベトナム株式ファンド(愛称:ベトナムでフォー) ベトナム経済の発展に伴い利益成長が期待される銘柄 38.17% 13.87% 14.16% 20.59 ★★★★
2 ベトナム株ファンド 経済情勢や業界動向、個別企業を分析し銘柄を選定 34.19% 13.43% 13.92% 20.66 ★★★
3 ベトナム成長株インカムファンド ベトナム株式等の中から成⻑が期待できる銘柄や配当が魅⼒的な銘柄に選別投資 31.68% 10.40% 13.55% 20.03 ★★★
4 T&D ベトナム株式ファンド(愛称:V-Star) ベトナムの証券取引所に上場・登録等されている銘柄に投資 31.56% 17.06% - 18.24 ★★★★
5 ベトナム・ロータス・ファンド(愛称:ロータス) ベトナム株式とベトナム関連企業の株式等に投資 31.34% 12.87% 16.74% 22.59 ★★★★
6 べトナム株式ファンド ベトナムの取引所に上場している株式、ベトナム企業の株式等に投資 30.78% 13.86% 13.73% 18.62 ★★★★
7 CAMベトナムファンド ベトナムの取引所に上場している株式、ベトナム関連企業の株式 28.06% 7.37% 10.51% 20.02 ★★★
8 イーストスプリング・ベトナム株式ファンド(愛称:+αベトナム) ベトナムで設立または上場している企業、ベトナムで事業展開している企業等に投資 24.50% - - 21.81 -
  • ※SBI証券取り扱いのベトナム株式ファンド(ベトナム単一国投資に限定)を1年リターン順に表示(2024年5月末基準)
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

ベトナム株式ファンドの特徴と投資のポイントは?

1年リターン1位のDIAM ベトナム株式ファンド(愛称:ベトナムでフォー)は、ハノイに本社を置く多国籍ITサービスプロバイダーのFPT、家電・携帯販売とドラッグストアを展開するFPTデジタルリテール、コンピューターと電子機器の小売を展開するモバイル・ワールド・インベストメント、ベトナム外商銀行などが組入上位となっており、組入銘柄数は35銘柄です(※)。
2位のベトナム株ファンドは、FPT、ベトナム外商銀行、ベトナム投資開発銀行、ベトナム産業貿易商業銀行などが組入上位となっており、組入銘柄数は56銘柄です(※)。
3位のベトナム成長株インカムファンドは、FPT、ベトナム外商銀行、ぺトロベトナム・ガス、ベトナム投資開発銀行などが組入上位となっており、組入銘柄数は63銘柄です(※)。
4位のT&D ベトナム株式ファンド(愛称:V-Star)は、FPT、モバイル・ワールド・インベストメント、石油会社にリース、不動産管理などを手掛けるペトロベトナム・テクニカル・サービス、ベトナム外商銀行などが組入上位となっており、組入銘柄数は32銘柄です(※)。ベトナム株式の流動性を考慮して現金の比率をやや高めにしてリスク(標準偏差)を抑えた運用が特徴で、3年リターンでは7ファンドの中でトップとなっています。このファンドのみNISA成長投資枠の対象ファンドではなく、償還日が2025年8月28日となっている点に注意が必要です。
5位のベトナム・ロータス・ファンド(愛称:ロータス)は、FPT、サイゴン商信株式商業銀行、ベトナム投資開発銀行、通信機器・IT関連製品等を販売しているFPTリテールなどが組入上位となっており、組入銘柄数は73銘柄です(※)。リスクは相対的に高めですが5年リターンではトップの実績です。
6位のべトナム株式ファンドは、ベトナム外商銀行、FPT、ベトナム投資開発銀行、FPTデジタルリテールなどが組入上位となっており、組入銘柄数は37銘柄です(※)。相対的にリスクを抑えた運用を行っています。
7位のCAMベトナムファンドは、FPT、ベトナム商業銀行、ペトロベトナム・ガス、ベトナム投資開発銀行などが組入上位となっており、組入銘柄数は71銘柄です。3年リターンが7ファンド中で最も苦戦しています。
8位のイーストスプリング・ベトナム株式ファンド(愛称:+αベトナム)は、鉄鋼、農業、不動産などの事業に従事するホアファットグループ、ベトナム産業貿易商業銀行、FPT、食品、飲料、鉱業、金融事業などを手掛ける複合企業のマッサングループなどが組入上位で、組入銘柄数は39銘柄です(※)。信託報酬が年率0.989%程度(税込)であり、ベトナム株式のアクティブファンドの中では低くなっています。コストを相対的に抑えたファンドですが1年リターンは苦戦しています。

ベトナム株式市場はインド株式市場と同様に未成熟な市場であり、外国人投資家による保有制限等もあることなどから、好成績のアクティブファンドのリターンはインデックスファンドのリターンを上回ることが期待されます。ベトナム株式インデックスファンドの登場によって既存のアクティブファンドもあらためて注目を集めるのではないかと考えます。
なお、ベトナム株式ファンドへの投資においては、前述のように市場規模が小さいことで値動きが大きいことから、新興国投資におけるバランスを意識した上で、少額での時間分散投資が有効といえます。

(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。組入銘柄の情報は2024年5月末基準。

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