2024年度もインドに注目! インデックスを超える好成績アクティブファンドは?

2024年度もインドに注目! インデックスを超える好成績アクティブファンドは?

投資情報部 川上雅人

2024/06/03

インド総選挙結果公表前 インド株式ファンド インデックス vs アクティブ

インドで1ヵ月余りにわたって続いていた総選挙の投票結果が明日(6月4日)に公表されます。与党であるモディ首相のインド人民党が、2019年の下院選での単独過半数である303議席余りを獲得するかどうかが1つの焦点となっています。
インド株式市場は5月23日に代表的な株価指数であるS&P BSE SENSEX指数、ニフティ50指数がそろって、企業業績やマクロ経済の改善期待を背景として過去最高値をつけました。その後はやや調整局面となっていますが、当面は総選挙結果が短期的な株価の値動きを左右すると思われます。

そのインドですが、株式ファンドにおいては、インデックスファンドがベンチ―マークとなっている株価指数との乖離が取引コスト等の要因でそれなりに大きくなっていることと、5年間でインデックスを上回った好成績のアクティブファンドを4月22日のコラムでご紹介しました。
今回は2023年度以降のインデックスファンドと好成績アクティブファンド(SBI証券取り扱いで4月末基準の1年リターン上位5本)のパフォーマンス比較を図表1で示しました。約1年2ヵ月間の実績では、ニフティ50指数のインデックスファンドであるiFreeNEXT インド株インデックスの2倍の上昇率となったのがHSBC インド・インフラ株式オープンです。イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンドSBI・UTIインドインフラ関連株式ファンドイーストスプリング・インド・コア株式ファンド(愛称:+αインド)東京海上・インド・オーナーズ株式オープンもインド株式の上昇局面でインデックスファンドを大きく上回る実績となりました。

図表1 インド株式ファンド インデックス vs アクティブ (2023年度~) (2023/3/31~2024/5/30 2023/3/31=100)

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は略称)
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

2024年度 インデックスを超える好成績のインド株式ファンドは?

これらの好成績アクティブファンドは2024年度に入っても好パフォーマンスが持続しています(図表2)。2024年度の約2ヵ月間ではHSBC インド・インフラ株式オープンやSBI・UTIインドインフラ関連株式ファンドが上位となっており、この2ファンドはSBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド(愛称:サクっとインド株式)を約10%上回る実績です。他のアクティブファンドもインデックスファンド2本との差を広げています。
インド株式市場において、アクティブファンドがインデックスファンドと比べて好調となっている要因は、インド政府が推進する国家インフラ計画によるインフラ投資の加速などでインフラ関連株の上昇が目立つことや代表的な株価指数に組入れられていない魅力的な企業が多いことが挙げられます。

図表3が1年好成績のインド株式ファンド一覧となります。参考としてインデックスファンドとも比較しました。それぞれのファンドについてコメントします。

図表2 インド株式ファンド インデックス vs アクティブ (2024年度~) (2024/3/29~2024/5/30 2024/3/29=100)

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は略称)
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

図表3 1年好成績のインド株式ファンド一覧

順位 ファンド名 特徴
(資産構成)
6ヵ月
リターン
1年
リターン
3年
リターン
(年率)
1年
標準偏差
1 HSBC インド・インフラ株式オープン インドの証券取引所に上場しているインフラ関連株式に投資 41.32% 82.24% 40.72% 12.19
2 イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンド インドの金融商品取引所に上場するインフラ関連株式に投資 38.51% 73.31% 32.23% 11.52
3 イーストスプリング・インド・コア株式ファンド(愛称:+αインド) インドの内需成長を牽引する消費関連およびインフラ関連の株式に投資 32.39% 64.72% - 10.96
4 SBI・UTIインドインフラ関連株式ファンド インドの証券取引所に上場しているインフラ関連の株式 32.76% 63.08% 35.65% 11.87
5 東京海上・インド・オーナーズ株式オープン インド企業の株式等のうち、経営者が実質的に主要な株主である企業の株式 25.93% 61.21% 25.40% 12.72
参考 iFreeNEXT インド株インデックス ニフティ50指数(50銘柄)への連動をめざすインデックスファンド 22.95% 41.91% - 9.48
参考 SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド(愛称:サクっとインド株式) S&P BSE SENSEX指数(30銘柄)への連動をめざすインデックスファンド 18.62% - - -
  • ※SBI証券取り扱いのインド株式ファンドを1年リターン順に表示(2024年4月末基準)
  • ※参考として2種類のインド株式インデックスファンドを表示
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

1年好成績インド株式ファンドの特徴とアクティブファンドの勝率は?

1位のHSBC インド・インフラ株式オープンは、インドのインフラ関連株式に投資するファンドで、インド株式ファンドの中で1年・3年リターンでトップの実績です。組入上位銘柄は建設エンジニアリング大手のラーセン&トゥブロ、石油の開発・生産・精製、小売り、携帯電話事業も展開するリライアンス・インダストリーズ、アジアとアフリカで事業を展開する電気通信事業者のバルティ・エアテルなどとなっており、組入銘柄数は63銘柄です(※)。

2位のイーストスプリング・インド・インフラ株式ファンドは、インドのインフラ関連株式に投資するファンドです。組入上位銘柄はインドの商業銀行大手のICICI銀行、インド最大級の国営電力会社のナショナル・サーマルパワー、ラーセン・アンド・トゥブロなどとなっており、組入銘柄数は74銘柄です(※)。

3位のイーストスプリング・インド・コア株式ファンド(愛称:+αインド)は、インドの内需成長を牽引する消費関連およびインフラ関連の株式に投資するファンドで、アクティブファンドの中で信託報酬率は0.9905%程度と低コストといえるファンドです。投資先の消費関連ファンドの組入上位銘柄はバルティ・エアテル、ジェネリック医薬品を中心に製造・販売するサン・ファーマシューティカル・インダストリーズ、ICICI銀行などとなっています(※)。もう1つの投資先のインフラ関連ファンドはイーストスプリング・インド・インフラ株式ファンドと同じで、消費関連+インフラ関連の組入銘柄数は151銘柄となっています。

4位のSBI・UTIインドインフラ関連株式ファンドは、インドのインフラ関連株式に投資するファンドで、2024年度のリターンが好調です。組入上位銘柄は、ラーセン&トゥブロ、バルティ・エアテル、ナショナル・サーマルパワーなどとなっており、組入銘柄数は37銘柄です(※)。

5位の東京海上・インド・オーナーズ株式オープンは、インド企業の株式等のうち、オーナー企業(経営者が10%以上の持ち分比率を持つ主要な株主であり、かつ、経営の実権を握っている企業)の株式に投資するファンドです。組入上位銘柄はリライアンス・インダストリーズ、バルティ・エアテル、インドの消費者金融サービス会社のシュリラム・ファイナンスなどとなっており、組入銘柄数は37銘柄です(※)。インド企業の約6割がオーナー企業となっており、オーナー企業は相対的に中型企業が多く、業種が多岐にわたっていることから、様々な投資機会があると運用会社は考えているようです。

SBI証券取り扱いファンドで、iFreeNEXT インド株インデックスの1年リターンを上回るインド株式のアクティブファンドは21本ありました。一方で、iFreeNEXT インド株インデックスの1年リターンを下回るアクティブファンドは3本しかありません。対インデックスファンドでアクティブファンドの勝率は87.5%です。
好成績のインド株式アクティブファンドが将来にわたってインデックスファンドのパフォーマンスを上回り続けるという保証はありませんが、代表的な株価指数に組入れられていない魅力的な企業が多いインド株式への投資においては、好成績のアクティブファンドを選択することが中長期のパフォーマンス向上に寄与すると考えます。

(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。組入銘柄の情報は2024年4月末基準。

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