新NISAの6ヵ月 インド株式ファンド 好成績アクティブとインデックスとの格差は?

新NISAの6ヵ月 インド株式ファンド 好成績アクティブとインデックスとの格差は?

投資情報部 川上雅人

2024/07/22

新NISAの6ヵ月 インド株式ファンド 好成績アクティブとインデックスとの格差は?

新NISAがスタートして半年が経過しました。今回はインド単一国に投資している株式ファンド(以下、インド株式ファンド)に絞って新NISA期間のパフォーマンスをチェックします。
まず、インドの株価指数等の6ヵ月パフォーマンスを比較したものが図表1となります。
インドの代表的な株価指数でNSE Indices Limitedが算出しているインド国立証券取引所に上場している50銘柄から構成されるNifty50指数は10.5%の上昇、同じくインドの代表的な株価指数でボンベイ証券取引所に上場する銘柄のうち、流動性や取引規模などに基づき選定された30銘柄から構成されるSENSEX指数は9.4%の上昇となりました。また、ファンドの基準価額の計算に使われるインドルピー円(TTM)は12.8%の上昇となっています。
インドの株式市場、為替市場ともに日本の投資家にとっては好環境でした。
こうした投資環境下でインド株式ファンドの6ヵ月リターンを比較したものが図表2となります。
新NISA対象でSBI証券取り扱いのインド株式ファンドは29本あり、うち2本は6ヵ月以上の運用実績がなく、うち2本が販売停止中のファンドとなります。新NISAスタートからの運用実績があり、購入可能なインド株式ファンド25本の中から、6ヵ月リターンの上位7ファンドと下位7ファンドを表示しています。
1位のSBIセレクト対象ファンドとなっているHSBC インド・インフラ株式オープンの6ヵ月リターンは45.66%となり、最下位(25位)のSBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド(愛称:サクっとインド株式)の6ヵ月リターン(20.88%)を24.78%上回りました。
上位7ファンドはすべてアクティブファンドで、下位7ファンドでは4本がインデックスファンドとなっています。
インデックスファンドとアクティブファンドの違いや特徴については、こちらのページをご参照ください。

Nifty50をベンチマーク(対象インデックス)とするインド株式のインデックスファンド3本(20位、23位、24位)に関しては、6ヵ月でベンチマークを2.4%~3.1%下回っています。
同様にSENSEXインデックスファンド(25位)についても6ヵ月でベンチマークを3.4%下回っています。
インド株式に投資するインデックスファンドは、取引コストや売買益に対する課税などからベンチマークよりもリターンが低くなる傾向があります。ベンチマークとのインデックスファンドのリターンの差が小さい傾向にある米国株式のS&P500インデックスファンドなどとは異なります。
一方でインド株式のアクティブファンドは、Nitfy50指数(配当込み、円ベース)のリターンを上回るファンドと下回るファンドの両方が存在しますが、多くのアクティブファンドが6ヵ月と1年でNitfy50指数(配当込み、円ベース)を上回っています。
ファンドのリターンはコスト控除後となっているため、コストにこだわるよりもリターンでの比較が重要で、インド株式ファンドにおいては、アクティブファンドの活用が有効といえます。

図表1 2024年前半 インド株価指数等のパフォーマンス比較 (2023年末~2024/6/28 2023年末=100)

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券作成

図表2 新NISA対象のインド株式ファンド 6ヵ月リターンランキング

順位 ファンド名
(指数名)
特徴
(投資対象)
6ヵ月
リターン
1年
リターン
3年
リターン
(年率)
1年
標準偏差
ファンド
種類
1 HSBC インド・インフラ株式オープン インドの証券取引所に上場しているインフラ関連株式 45.66% 76.00% 41.47% 11.75 アクティブ
2 イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンド インドの金融商品取引所に上場するインフラ関連株式 37.48% 62.17% 32.49% 11.60 アクティブ
3 SBI・UTIインド・インフラ関連株式ファンド インドの証券取引所に上場しているインフラ関連の株式 37.44% 57.83% 37.72% 11.25 アクティブ
4 イーストスプリング・インド・コア株式ファンド(愛称:+αインド) インドの内需成長を牽引する消費関連およびインフラ関連の株式 34.60% 53.22% - 10.24 アクティブ
5 T&Dインド中小型株ファンド(愛称:ガンジス) 中小型株を投資対象、高い成長が期待でき、相対的に割安と考えられる銘柄に投資 34.46% 50.41% 26.39% 11.60 アクティブ
6 東京海上・インド・オーナーズ株式オープン インド企業の株式等のうち、経営者が実質的に主要な株主である企業の株式に投資 34.22% 49.65% 26.97% 14.79 アクティブ
7 ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド インド経済の発展に関連するインドの株式に投資(主にインフラ、消費関連銘柄) 31.75% 44.63% 29.03% 10.46 アクティブ
  (8位から18位までのファンドは省略)            
参考 Nitfy50指数(配当込み、円ベース)   25.4% 39.8% - - -
19 ニッセイ・インド厳選株式ファンド インドの株式の中から、株価上昇が期待される銘柄に厳選して投資 25.00% 37.29% 25.51% 9.83 アクティブ
参考 SENSEX指数(配当込み、円ベース)   24.32% - - - -
20 iFreeNEXT インド株インデックス Nifty50インデックスファンド 23.84% 35.53% - 10.78 インデックス
21 SBI・UTIインドファンド インド国内最大級の投信会社であるUTIグループによる運用 22.97% 31.28% 17.23% 12.64 アクティブ
22 JPMインド株アクティブ・オープン インドの株式の中から、収益性、成長性等を総合的に勘案して選択した銘柄に投資
投資
22.90% 30.60% 19.35% 10.30 アクティブ
23 SMTAMインド株式インデックス・オープン Nifty50インデックスファンド 22.34% - - - インデックス
24 auAM Nifty50インド株ファンド Nifty50インデックスファンド 22.34% - - - インデックス
25 SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド(愛称:サクっとインド株式) SENSEXインデックスファンド 20.88% - - - インデックス
  • ※SBI証券取り扱いで新NISA対象のインド株式ファンドを6ヵ月リターン順に上位7ファンドと下位7ファンドを表示(2024年6月末基準、販売停止ファンドを除く)
  • ※参考としてインデックスファンドのベンチマークとなっているNIfty50指数(配当込み、円ベース)(出所:大和アセット)とSENSEX指数(配当込み、円ベース)(出所:SBIアセット)を表示
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

6ヵ月好成績インド株式ファンドへの投資視点は?

1位のHSBC インド・インフラ株式オープン、2位のイーストスプリング・インド・インフラ株式ファンド、3位のSBI・UTIインド・インフラ関連株式ファンドは、揃ってインドのインフラ関連株式に投資するファンドです。インドのインフラ投資はインドが自立した経済的繁栄を達成するために重要な役割を担っており、インド政府による後押しを受けています。インフラ投資は今後複数年にわたる投資サイクルの途上にあることや健全化が進む金融システムなどから、関連企業にとってポジティブな投資環境です。インフラ関連株式への投資は、インド株式の中でも高水準の成長を狙う戦略として位置づけられます。
4位のイーストスプリング・インド・コア株式ファンド(愛称:+αインド)は、前述のインフラに加えて消費にも着目したファンドです。インドの消費は、良好な人口動態、一人当たりの所得の上昇、急速な都市化などに支えられた数十年という長期にわたるテーマといえます。そのため、消費関連株式への投資は長期で安定的な成長を狙う戦略として位置づけられます。このファンドはインドの2大投資テーマといえるインフラと消費にまとめて投資ができるファンドといえます。
5位のT&Dインド中小型株ファンド(愛称:ガンジス)は、インドの中小型株を投資対象とするファンドです。インドの中小型株指数は大型株指数(Nifty50やSENSEX)などと比べて長期で高いリターンを上げていることから、高い成長が期待でき割安と考えられる中小型株を選定することで相対的に高いリターンを狙うファンドです。
6位の東京海上・インド・オーナーズ株式オープンはインド企業の株式等のうち、オーナー企業(経営者が10%以上の持ち分比率を持つ主要な株主であり、かつ、経営の実権を握っている企業)の株式に投資するファンドです。インド企業の約6割がオーナー企業となっており、オーナー企業は相対的に中型企業が多く、業種が多岐にわたっていることから、様々な投資機会があると運用会社は考えているようです。
7位のダイワ・ダイナミック・インド株ファンドは、インド経済の発展に関連するインドの株式に投資しており、主にインフラと消費関連銘柄を組入れています。4位のファンドと類似した運用方針といえます。

インド株式ファンドへの投資においては、これらの好成績アクティブファンドの特徴をおさえた上で、活用することが今後も有効と考えます。

ベンチマークに対する継続的な劣後が予想されるインデックスファンドで市場平均並みまたは市場平均以下のリターンを狙うのか、それとも好成績のアクティブファンドを活用するのか。成熟した米国株式市場などでみられる「アクティブファンドはインデックスファンドに勝てない」ではなく、「インデックスファンドは好成績のアクティブファンドに勝てない」ことが、未成熟なインド株式市場を投資対象とするファンドにおいては、顕著に現れていることを改めて強調したいと思います。

免責事項・注意事項

・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。

【投資信託に関するご注意事項】

・投資信託は、主に国内外の株式や債券等を投資対象としています。投資信託の基準価額は、組み入れた株式や債券等の値動き、為替相場の変動等により上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。
・投資信託は、個別の投資信託毎にご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なります。ファンド・オブ・ファンズの場合は、他のファンドを投資対象としており、投資対象ファンドにおける所定の信託報酬を含めてお客さまが実質的に負担する信託報酬を算出しております(投資対象ファンドの変更等により、変動することがあります)。
・ご投資にあたっては、商品概要や目論見書(目論見書補完書面)をよくお読みください。

【手数料及びリスク情報等】

SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、各商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、商品先物取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。