米国株はコンビニ並みの23時間取引の時代に
■夜更かししないで、米国株取引
これまでSBI証券で米国株を取引できたのは、レギュラーマーケットだけでした。日本時間でいえば標準時間(冬時間)で23時30分から翌朝6時まで、サマータイム(夏時間)で22時30分から翌朝5時までです。眠い目をこすって画面を見つめるか、注文を出しておいて翌朝に結果を確認するかの、どちらかしかありませんでした。
それが、2026年12月7日(月)午前11時(予定)から変わります。米国ナスダック市場の23時間取引の開始にあわせて、SBI証券の米国株も取引時間が大きく広がり、冬時間なら日本時間の11時から翌朝10時まで、サマータイムなら10時から翌朝9時までとなります。エヌビディアやアップルの株価を、日本の日中にリアルタイムで見ながら、ほぼいつでも取引できる環境が整います。
■23時間は4つの時間帯
拡大後の取引時間は、冬時間の日本時間でいうと、11時から18時がオーバーナイトセッション、18時から23時30分がプレマーケット、23時30分から翌朝6時がレギュラーマーケット、翌朝6時から10時がアフターマーケットです。足し算すると7時間+5時間30分+6時間30分+4時間で、きっちり23時間です。取引時間は、現行の6時間30分と比べれば約3.5倍になります。なお、レギュラーマーケット以外の3つを「時間外取引」と呼びます。
注意点は、取引時間が延びて米国以外の投資家の利便性は増すものの、米国在住の投資家の時間外取引への参加が、すべての時間帯で大きく増えるとは限らないことです。参加者が少ない時間帯は株価が飛びやすくなると予想されるので、慎重に指値(さしね)を設定する必要があります(図表1)。
図表1 SBI証券における米国株の取引時間(変更前・変更後)
日本株と米国株は双方向の影響が強まる?
■米国株から日本株への一方通行から双方向の流れに?
東証と名証の合計売買代金に占める海外投資家のシェアは、2026年8月は65.3%でした。海外投資家の買い越し額も2025年の5.4兆円に対し、2026年は1月から10月第2週までで、すでに11兆円に達しています※。昨年からの日本株の上昇が海外マネーに支えられてきたことがうかがえます。
※JPXデータより転載
今までは、前日の米国株が動けば、翌営業日の日本株が反応する流れが一般的でした。特に、1990年代初めのバブル崩壊後に長期間デフレが続いていた日本では、「米国株から翌日の日本株へ」という一方通行が当たり前となっていました。日本の投資家にとって米国市場は、その日の日本株取引のために毎朝結果を確認しておく場所だったともいえます。
しかし、米国株投資の観点からは、朝起きて株価を確認した時点では、米国市場はすでに閉まっていて打つ手がありませんでした。また、米国株にはストップ高・ストップ安がなく、決算やニュースで株価が大きく動くことも珍しくありません。このため、深夜から早朝にかけて、日本の投資家が手を出しにくいときに株価が動いていること自体がリスクでもありました。
■15時30分以降の日本株の決算発表が、その日のうちに米国株の株価に反映されることも
最近のAI・半導体相場では、日米の関連銘柄が似たような値動きとなっていました。特にAI特需で業界全体が潤った半導体メモリー業界では、米国のマイクロン、サンディスクは、日本のキオクシアと似通った値動きとなっていました。
米国株の23時間取引が始まると、情報と株式取引の流れが双方向になる可能性があります。日本企業は日本時間の昼から夕方、特に15時30分の取引終了直後に決算やリリースを出すことが珍しくありません。これまでその材料は、米国市場が開くまで行き場をなくして待つしかありませんでした。これからは米国株のオーバーナイトセッションで、世界各国の投資家が、日本株を含むアジア株のニュースを見て、すぐに米国の同業他社の株式にアクションを起こすことができるようになります。加えて、日本経済が物価上昇が続く局面に入り、「金利のある時代」へ戻ったことで、日銀の金融政策決定会合の結果が米国株全体に影響する場面も増えそうです。
日米株の値動きの観点から特に注目されるのが、日本株と米国株が同時に取引可能となる時間帯です。冬時間では月曜日だけ3時間30分※でそれ以外の日は4時間30分、サマータイムなら週5日ともに4時間30分あるので、重なる時間帯を覚えておく必要があります(図表2)。
※週5日取引のため、週初の月曜日の朝には前日分のアフターマーケットがありません。
図表2 日本株と米国株が同時に開く時間(日本時間)
投資スタイル別、米国株23時間取引の使いこなし方
■米国株のデイトレード:「23時間戦えます!」
SBI証券の米国株式信用取引では、デイトレードが実質0円(取引手数料が無料、買方金利と貸株料はキャッシュバック)※です。デイトレードに使われることが多い日本株の「日計り信用」が使えるのは、東証の取引時間の前場(9:00-11:30)と後場(12:30-15:30)の合計5時間30分だけですが、米国株なら同じ1日で23時間もあります。時間が長いほど、世界中のニュースに株価が反応する機会も増えていきます。米国株なら日本株に比べて、コストを抑えてデイトレードの収益機会が狙える時間が約4.2倍に広がることになります。
※対象は「インターネットコース(プランC含む)」のお客さまです。
(参考)米国株式 信用取引手数料&デイトレード時の金利・貸株料実質0円(SBI証券)
■米国株のスイングトレード:米国株の決算トレードがやりやすく
数日から数週間の投資期間の取引を行うスイングトレード派にとっては、米国株の決算トレードのハードルが下がると思われます。米国株は四半期ごとに決算があり、レギュラーマーケット終了後の発表も多いので、決算発表前に買って直後に売る取引は、時間外取引にアクセスしにくい日本の個人投資家にとって、やりにくいものでした。
これからは、米国株でもイベントが終わったら日本時間に手仕舞うことができるようになります。なお、決算などのイベントに対して行うスイングトレードでは、イベントを通過したら、投資結果にかかわらずポジションを手仕舞うことが基本となるので、淡々とトレードすることを心がけましょう。
■米国個別株の長期投資:「釣り堀」のイメージで株価を拾う?
長期投資の方にも、米国株23時間取引のメリットがあります。SBI証券では注文ごとに時間外取引を「含む」か「含まない」を選べるようになります。時間外取引を含めなければ、従来どおりレギュラーマーケットだけで取引されるので、どちらを使うかはご自身で決められます。当然ながら、レギュラーマーケットでも時間外取引でも取引するのは同じ株式なので、有利な価格となる可能性があるなら使わない理由はないでしょう。
具体的には、時間外取引を「含む」としたうえで、かなり安めの買い指値や、ちょっと欲張った売り指値を置いておく利用法が考えられます。参加者の少ない時間帯は価格の振れ幅が大きくなりやすいので、思わぬ好条件で約定する可能性もあります。長期投資であれば、じっくり待てるので、この「仕掛けを作って静かに待つ」という「釣り堀」投資法が役立つ場面が増えると思われます。
■米国上場ETFの長期投資:前日終値を基準に日本時間で取引
米国上場のETFであれば、投資対象が分散されているので、個別株に比べればニュースで急に値が飛ぶ可能性は少なくなります(レバレッジETFやテーマ型ETFなどを除く)。また、日本の個人投資家の利用が多く、当社保有人数ランキングなどに出てくるようなETFであれば、時間外取引でも一定量の取引があると想定されます。
(参考)SBI証券の「当社週間保有人数ランキング」(米国ETF)
■日米株のペアトレード:信用取引を活用
日本経済はグローバル経済に組み込まれ、AI・半導体関連株や資源株など業績が国内外の取引先や同業他社との連動性が高い銘柄が多くあります。このため、例えば、日本時間で日本のAI・半導体銘柄だけ上がり過ぎと思われるような局面では、日本のAI・半導体を信用取引で売建てし、米国株を時間外取引の米国株信用取引で買建てする、ペアトレードが可能となります。 一般的に、ペアトレードでは、同時に両方のポジションを立てないと、時間差による価格変動リスクが発生してしまいます。このため、従来は個人投資家による日米株のペアトレードは難易度が高い取引でした。米国株の23時間取引開始によって、日本の個人投資家にとって、日米株のペアトレードが身近になると思われます。
■日本株の短期トレード:米国株から目を離せない?
米国株の23時間取引が始まると、日米の取引時間が重なる時間帯では、米国株の時間外取引の動向で日本株が動く場面も多くなると予想されます。このため、日本株の短期トレードを行う投資家にとっても、米国株の時間外取引から目を離せなくなる可能性があります。図表2で日米株の取引が重なる時間帯をしっかり頭に入れて、影響を与えそうな米国株の動向を随時チェックする必要がありそうです。
■まとめ
・米国株を取引できる時間が6時間30分から23時間に拡大(SBI証券の場合)
・日米株の連動が双方向に?
・日本株と米国株が同時に取引可能な4時間30分(冬時間の月曜日は3時間30分)は要注目
・米国株のデイトレード、スイング、長期投資、日米株のペアトレードから、日本株の短期トレードまで活用の余地
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