日米で株価急落!~それでも日本株に過度な懸念は不要か?

投資情報部 鈴木 英之
2022/09/14
9/13(火)の米国株式市場では、NYダウが前日比1,276ドル安と、本年最大の下げとなりました。米国時間でこの日朝に発表された米消費者物価指数(8月)が市場コンセンサスを上回ったことが要因です。発表された数字の概要は以下の通りです。
・消費者物価指数
前月比・・・前回(7月)+0.0%、今回の市場コンセンサス-0.1%→今回(8月)+0.1%
前年同月比・・・前回(7月)+8.5%、今回の市場コンセンサス+8.1%→今回(8月)+8.3%
・消費者物価指数(食品・エネルギーを除くコア指数)
前月比・・・前回(7月)+0.3%、今回の市場コンセンサス+0.3%→今回(8月)+0.6%
前年同月比・・・前回(7月)+5.9%、今回の市場コンセンサス+6.1%→今回(8月)+6.3%
こうした消費者物価指数の上振れを受けて、9/21(水)に結果発表のFOMC(米連邦公開市場委員会)において、政策金利が1.0%引き上げられるという見方が新たに台頭。政策金利は年末にも4.25%まで上昇し、2023年にはそれ以上で推移する可能性も出てきました。
米消費者物価指数の内訳を見ると、エネルギー価格の上昇率は鈍ってきていますが、サービス価格の上昇が響いています。「インフレの慣性」から、コアの部分で上昇圧力の強い状態が続いています。コロナの影響もあり、移民の増加が鈍ったことや、高齢者が労働市場から退出したことも響き、賃金上昇圧力が構造的に高止まりしやすい面も指摘されています。
米国市場は当面、不安定な状態が続くかもしれません。
ちなみに、米消費者物価指数発表後、米30年国債利回りは前日比0.02%低下、10年国債利回りは0.05%上昇、2年国債利回りは0.18%上昇(いずれも前日の利回りとの差)という反応をみせました。短めの金利は政策金利の予想と連動しやすい傾向がありますが、長めの金利にはインフレや経済成長の予想も織り込まれる傾向があります。市場は、FRB(米連邦準備制度理事会)による金融引き締めの向こうに景気の減速・悪化を予想しているといえそうです。10年国債利回り(9/13は3.40%)が、6/14に付けた当面のピークである3.47%を上回るか否かが当面のポイントになりそうです。仮に、3.47%を上回らなければ、米株式市場の落ち着きが早まる可能性もありそうです。
なお、米国株式市場の急落を受け、9/14(水)の東京株式市場も大きく売りが先行する展開となっています。
ただ、過度の懸念は不要で、東京株式市場の相対的な強さはキープされると考えています。理由は以下の通りです。
(1)政府が水際対策の本格的な緩和を表明しており、日本ではインバウンド需要の回復が期待される。
(2)半導体等の供給制約が緩和される中、自動車・自動車部品の挽回生産が期待される。
(3)円安が定着した場合、日本の上場企業の経常増益率が上振れるとの見方が出ている。
(4)金融庁が要望するNISA拡充等を通じ、将来は東京株式市場への資金流入が期待される。
「株式相場は疑念の中で育つ」という相場格言を想起したい所です。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
おすすめ記事

国内株式
「半導体関連銘柄」急反発!今後はどうなる?
世界の株式市場が波乱色の強い展開になっています。その象徴のひとつが「半導体関連銘柄」とみられ、その中には大きく値下がりする銘柄が目立っています。 図表1は世界の代表的な半導体関連銘柄で構成されるSOX指数(フィラデルフィア半導体指数)...
投資情報部 鈴木 英之
2022/10/21

国内株式
決算発表が終了し、四半期大幅増益の中小型8銘柄
10/11(火)~10/18(火)の東証マザーズ指数は2.3%上昇しました。同期間における日経平均株価のパフォーマンスは+2.9%およびTOPIXのパフォーマンスは+1.6%でした。株式市場全般が反発する中、東証プライム市場の銘柄と遜色ない...
投資情報部 鈴木 英之/栗本 奈緒実
2022/10/19
免責事項・注意事項
・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
【手数料及びリスク情報等】
SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、各商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。