「インフレ高進でも株急伸」をどうみるか?

投資情報部 鈴木 英之
2022/10/14
株式市場の値動きが荒くなっています。10/13(木)の米国株式市場では、この日発表された米消費者物価(9月)が強い数字だったことを受け、NYダウが一時前日比549ドル安水準まで下落しました。しかし、売り一巡後は上昇に転じ、この日のNYダウ終値は827ドル高と、高低差1,507ドルの動きとなりました。この動きを引き継いだ10/14(金)の東京株式市場では、寄り付き段階から買いが優勢となり、午前中終値は前日比903円高の27,141円18銭と4営業日ぶりに2万7千円台を回復しました。
この動きについてどうみるべきでしょうか。結論から申し上げれば、「米消費者物価が予想を上回ったにもかかわらず、直後の株価が急騰した」という事実は残るため、当面株価は下がりにくくなると考えられます。雇用統計や物価指標の発表が終わり、当面は決算発表が市場の注目材料となりそうです。しかし、米国では決算発表シーズン中は逆に株価が安定しやすい傾向にあり、その面でも株価は戻りを試す可能性が大きいとみられます。
米消費者物価が予想を上回ったにもかかわらず、株価が上昇したことは、消費者物価に大きく影響する住居費が、近い将来ピークアウトしそうなことを市場が織り込み始めたことを示しています。米国市場では、事前にプット・オプション(売る権利)の残高が積み上がっていたとの報道もありますが、要は、消費者物価上昇のリスクをすでに市場が織り込んでいたため、消費者物価の発表により「悪材料出尽くし」になったと考えることができます。
市場では、インフレ・金利上昇は続くとみられる上、今後は景気・企業業績も悪化すると考えられるため反発は限定的とする向きが多いように思われます。ただ、米株式市場が逆金融相場から逆業績相場に移るにしても、一定の中間反騰場面は想定されるため、この反騰劇を過小評価しない方がよいと、筆者は考えています。
なお、日本については、今後インバウンド需要の本格的な回復が見込まれ、内需は底堅く推移し、欧米と比べて経済全般の相対的強さが評価される可能性は大きいとみられます。日経平均株価は当面反発局面に入ると予想されますが、ネックラインである10/6高値27,399円を上回れば、いっそうその確度が上昇するとみられます。
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