【マーケット・フラッシュ】日経平均は大幅安でスタート。円安地合いは変わらず輸出株の買い戻しに期待?

投資情報部 淺井一郎

2023/10/04

10/4(水)の東京株式市場で日経平均は大幅安でスタートし、約4ヵ月ぶりに31,000円割れで推移しています(9時50分時点)。日経平均は9/15(金)に33,533円へ上昇した後、下落基調へ転じています。本日の東京市場で材料視されているのは、(1)米国市場で長期金利の上昇が続いていること、(2)前日の海外時間で為替介入と見られる動きが確認されたこと、(3)米国議会において史上初となる下院議長の解任が決議されたこと、と見られます。

このうち(1)について、昨晩の米国市場では10年国債利回りが約16年ぶりに4.8%台へ到達しました。それでもなお、市場では金利先高観が払しょくされない状況が続いています。米国の政策金利(FFレート誘導目標)が「より高く、より長く」なるとの見方が強まっていることが、長期金利の上昇を促しているとみられます。
加えて、(3)について、本日の早朝(日本時間)にマッカーシー米下院議長の解任が議決されました。先月末の米国議会は、10月から始まる新財政年度の予算について、ぎりぎりのところで暫定予算(23年11月17日まで)を成立させ、政府機関の閉鎖を免れました。その大きな役割を担ったのがマッカーシー氏(共和党議員)なのですが、共和党内の保守・強硬派勢力の強い反発にあい、解任に至りました。今後は後任の下院議長が選出されることになるのですが、新しい議長が下院共和党をまとめ、本予算を含めてスムーズな審議が行われるのか、不透明と言わざるを得ません。市場ではこうした政治面の不透明感もまた、長期金利の上昇を促す要因になると指摘する声も聞かれます。当面、世界の金融市場は、米国長期金利の上昇を意識した展開が続くことが想定されるでしょう。

一方、昨晩の外国為替市場では、23時ころ(日本時間)に昨年10/21以来となる1ドル=150円を突破しました。しかし、その直後に円相場は1ドル=147円台半ばへ急激な円高となりました。この円相場の値動きに政府筋はノーコメントとしていますが、市場では政府・日銀が為替介入(円買い・ドル売り)を行ったとの見方が浮上しています。

もっとも、円相場は足元で再び149円台前半へ揺り戻されています。昨年10月の為替介入時は、その後に米長期金利の上昇が一服したこともあり、円相場は翌年1月にかけて130円割れの水準まで円高が進みました。しかし、今回は、前述したように米長期金利の先高観が強い中、たとえ政府・日銀が為替介入を行ったとしても、本格的な円高転換は難しく、あくまで円安の進行を遅らせるスムージング介入にとどまるとの見方が強いようです。

ここ1・2週間の国内株式市場の動きをみると、円相場が円安で推移していたにも関わらず、円安メリットを受けやすい輸出株を物色する動きが控えられていました。おそらく、為替介入により急激に円高が進むことに対する警戒があったのだと思います。

しかし、円安・ドル高の流れは日本株の輸出株を中心に追い風になると考えられます。このところ貿易面における稼ぎやすさを示した指標である交易条件(=輸出物価/輸入物価)が大きく改善しており、円安を背景に輸出企業が利益を上げやすい環境となっています。また、10/3の225の『ココがPOINT!』「決算発表シーズン前に押さえておきたい!日銀短観の注目ポイントは?」でも指摘したように、企業の為替前提は実勢の為替水準よりも保守的(円高前提)となっており、輸出企業は大幅な円高が進行しない限り、為替前提の変更による業績の上振れが期待できます。米長期金利の上昇と、為替介入への警戒が続くうちは、日本株についても手掛けにくい地合いが続く可能性がありますが、円安地合いが続けば、再び輸出株を買い戻す動きが期待されるでしょう。

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