【マーケット・フラッシュ】日経平均は押し目買いの好機?株価反転のタイミングは?
投資情報部 鈴木 英之
2024/03/11
3/11(月)の日経平均は、寄り付きから大幅に売りが先行し、一時は38,700円割れと前日比で1,000円超下落する場面が見られました(後場寄りつき後時点)。日経平均の下げを主導したのは、東京エレクトロンやアドバンテストといった値がさハイテク株ですが、それ以外にも、金融株や輸送機株などのバリュー株(割安株)にも売りが膨らみました。
日本株が下落した背景は主に、米国の下落、円相場における円高・ドル安の進行が挙げられます。
まず、今年に入ってからの米国株は、AI(人工知能)特需を含めた景気回復期待を背景に株価が堅調に推移してきました。特に、その象徴的な値動きとなったのがAI関連銘柄の筆頭であるエヌビディアでした。しかし、最近は3/1(金)発表の2月ISM製造業景況指数が市場予想に反して前月から悪化したことや、3/8(金)の2月雇用統計で失業率が3.9%と約2年ぶりの水準に上昇するなど、景気の先行きに不透明感を示すデータが相次ぎました。米主力銘柄の一角を売る動きがみられる中、それまで大幅な上昇が続いていたエヌビディアが8日(金)に5%を超えて大幅に下落したことで、米国市場はもちろん、国内市場でも一旦、値がさハイテク株を中心に利益確定の売りが出たと見られます。
また、円相場については、先週に1ドル150円台から一時146円台半ばへ円高が進みました。米景況感の悪化に伴う米金利の低下に加え、国内では日銀のマイナス金利政策の解除観測が強まったことが円買い材料になったと見られます。円高進行を手掛かりに輸送機などの輸出関連株についても、一旦、利益確定が膨らんだと考えられます。
今後の見通しについてですが、当面は株価上昇局面が一服するとともに、上値の重い展開が続く可能性が考えられます。米国市場については、来週の3/19・20のFOMC(連邦公開市場委員会)まで景気の不透明感が根強く意識される可能性があります。同FOMCでFRBから楽観的な景気見通しと共に、年内の利下げ開始の可能性が示唆されれば、景気の不透明感が緩和し、株価の買い戻しのきっかけになると考えられます。
また、米国株を観る上では、引き続きエヌビディアの株価動向にも注視する必要がありそうです。同社については、中長期的な業績や株価の上昇シナリオは変わらないとの見方が多いですが、それでも短期的に見れば株価上昇が行き過ぎとの見方もあります。同社株の調整が長引くようであれば、国内市場においても値がさ株の株価調整が続く可能性があるでしょう。
円相場については、来週3/18・19開催の日銀金融政策決定会合までは円高含みでの推移が想定されます。今週3/13(水)には、春闘の集中回答日になりますが、そこで堅調な賃上げ状況が確認されれば、金融政策決定会合において、マイナス金利政策の解除がいよいよ現実味を帯びることになります。政策転換への思惑から、国内金利が上昇し、円買いの動きを強める可能性があるでしょう。ただ、もし日銀が3月にマイナス金利の解除に踏み切ったとしても、その後の金融政策について日銀が緩和的なスタンスを維持する方針を示せば、円相場の円高基調についても一巡すると見られます。
今年の日経平均は僅か2ヵ月あまりで20%近く上昇し、史上最高値である4万円台に到達するなど、かなり急ピッチな株価上昇となりました。企業業績の改善期待など中長期的な株価上昇シナリオは健在とみられるものの、短期的は過熱感を解消するべく上昇が一服しても不思議ではないように思えます。短期的に見れば、もう少し株価調整余地はありそうですが、長い目で見れば、押し目買いのタイミングと考えることもできるでしょう。
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