過熱感を乗り越え、日経平均の上昇基調は不変?

過熱感を乗り越え、日経平均の上昇基調は不変?

投資情報部 淺井一郎 栗本奈緒実

2024/03/05

日経平均ついに4万円の大台突破!一部銘柄に物色集中!?

2月第4週(2/26-3/1)の日経平均は、前週末比812円14銭高(+2.08%)となり、前週に続き順調に史上最高値を更新。3/4(月)には4万円の大台を突破するなど破竹の勢いが続いています。上昇のけん引役は、引き続き半導体関連株や値がさ株が担っている格好です。それら以外の銘柄は、同日広く売られており、プライム市場の値上がり銘柄数425に対し、値下がり銘柄数は1,195と物色傾向が顕著に現れる結果となりました。

米国市場でも現地時間3/1(金)に、S&P500やナスダックが史上最高値を更新するなど好調な株価推移が続いています。前半は利益確定売りが発生していました。後半は、FRBが重視するインフレ指標が想定内に収まったことで、エヌビディアやAMDなど主力半導体株が買い戻され、同期間の米フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は+6.8%となりました。

日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(2/22~3/1・図表7)の首位は、ディー・エヌ・エー (2432)でした。ポケモンが同社と共同開発で、『ポケモンカード』のスマホ向けゲームアプリ 『Pokémon Trading Card Game Pocket(ポケモン トレーディングカードゲーム ポケット)』を2024年中に発売すると発表。ポケモンカードは、取引金額が1枚で数億円に上るなど、既に世界各地で人気を獲得しているため、同スマホゲームにも期待感が募った形です。他にも、業種別では機械から5銘柄がランクイン。半導体関連株以外に分散投資をするため選好された面もありそうです。

日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(2/22~3/1・図表8)の首位は、サッポロホールディングス(2501)でした。期間内に大きな動意材料はなかったものの、市場の主役であった半導体関連株などのハイテク株に資金が流れた影響もありそうです。同業のアサヒグループホールディングス(2502)や、食品大手の味の素(2802)など食料品セクターから3銘柄がランクインしました。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(2/22~3/1)

図表8  日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(2/22~3/1)

過熱感を乗り越え、日経平均の上昇基調は不変?

日経平均は3/4(月)、遂に4万円の大台に到達しました。昨年末の日経平均の終値は33,464円であり、2ヵ月余りが経過したばかりですが、上昇幅は約6,500円、上昇率は+19.86%に達しました。

今年の日経平均の値動きを簡単に振り返ると、まず34,000円の大台に終値ベースで到達したのが1/10(水)でした。以下、1,000円刻みで節目に到達した日を見ると、

35,000円台到達(1/11 1営業日)

36,000円台到達(1/22 7営業日)

37,000円台到達(2/13 15営業日)

38,000円台到達(2/15 2営業日)

39,000円台到達(2/22 5営業日)

40,000円台到達(3/4 6営業日)

でした。37,000円台の到達にやや時間がかかりましたが、それでも15営業日(約3週間)に過ぎず、日経平均はここまでほぼ一本調子の上昇が続いていると言えるでしょう。

図表9は東京証券取引所が発表している東証上場銘柄の空売り比率(売買代金に占める空売りの割合)と日経平均の推移を見たグラフです。空売りとは、証券会社などから特定の株式を借りて“売り”から入り、株価の値下がりを見越した取引。思惑通りに株価が値下がりすると、市場で買い戻して利益を得ることになります。相場の先安観が強まると空売り比率は上昇し、逆に先高観が強いと比率が低下する傾向があります。

今年に入り、空売り比率は低下傾向を辿っており、特に2/13の空売り比率は35.48%と約3年ぶりの低水準となりました。その後、空売り比率は短期的に上昇する場面がありますが、株式相場の先高観は健在しており、日経平均が十分に下落する前に損失覚悟で買い戻す動きが見られます。空売り比率が低下する中、日経平均は踏みあげられる格好で一段高の値動きとなっています。

図表9 日経平均と空売り比率

また、物色動向に注目すると、従前から指摘されてきたことですが、ここもとの日本株の上昇を支える大きな買い手となっているのは海外投資家です。世界的に著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏をはじめ、海外投資家は割安な日本株に注目し、投資をする動きが強まっていると言われています。

こうした海外投資家の買いの動きに加え、最近に変化し始めたのが個人投資家の動きでしょう。個人投資家は相場の動きに対して“逆張り”の傾向があり、相場上昇時に株の売り手になると言われています。実際、昨年は日経平均が年間+28.2%上昇する中、海外投資家は日本株を約6.3兆円強、買い越したのに対し、個人投資家は約3.2兆円売り越しました(現物取引と先物取引の合計)。

今年に入っても、日経平均が週間で+6.6%上昇した1月第2週(1/15-19)に、海外投資家は日本株を1兆4,439億円買い越したのに対し、個人投資家は1兆2,128億円売り越していました。ところが、2月に入ると、第1週(1/29-2/2)から第4週(2/19-22)まで日経平均は4週連続で上昇し、合計の上昇率は+9.4%に達したのですが、この間の個人投資家は売り越しではあったものの、売り越し額は合計でわずか877億円に留まりました。相場上昇時において“逆張り”の売り圧力が低下したことも、日経平均の上値を軽くしたと考えられます。

図表10 投資部門別日本株売買動向(海外投資家、個人投資家)

このように大きく上昇してきた日経平均に対し、一部の市場参加者からは相場の過熱感を懸念する声も出てきています。たしかに、日経平均は3/4時点の5週移動平均乖離率が6.44%と、過熱圏とされる5%を大きく超え、RSI(14日間の合計上昇幅/14日間の合計値動き幅)は87.1%と過熱圏とされる70%を超過しており、短期的にスピード調整が入りやすい局面にあることは否めません。

また、海外に目を向けると、今週はパウエルFRB議長の議会証言(3/6に下院金融サービス委員会、3/7に上院銀行委員会)や、米2月雇用統計の発表(3/8)などが控えています。日米株式市場としても、注目イベントを控えて様子見ムードが強まりやすいと考えられます。

もっとも、それでも国内株式市場に対する先高観が大きく崩れる兆候は見当たらず、個人投資家を中心に強気姿勢が維持されるうちは、株式市場の上昇傾向は継続することが期待できそうです。

図表11 日経平均と5週移動平均乖離率

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