「株価急反発」でも残るリスク要因をチェック

投資情報部 鈴木 英之

2025/04/10

4/10(木)の東京株式市場は急反発して寄り付いています。トランプ米大統領が米国時間4/9(水)午後、発動直後の相互関税の上乗せ部分について、一部の国・地域(日本を含む)で執行を90日間停止すると発表したことが要因です。4/9の米国市場ではNYダウが大幅高(2,962ドル高)し、その流れを引き継ぎました。

日経平均株価は、4/7(月)に一時30,792円まで下落しましたが、その時点で日本株は日本に対する「相互関税24%」を織り込んだとみられます。それが継続されるという最悪シナリオが回避されそうなことや、日米交渉によるさらなる税率引き下げへの期待から、4/7の安値水準まで再下落する可能性はかなり小さくなりそうです。日経平均は当面戻りを試す展開でしょう。

ただし、多くのリスク要因が残っていることも確かでしょう。最大のリスク要因は米国・中国の経済が悪化する可能性です。中国から米国への輸入にかかる関税は逆に125%に引き上げられました。米国から中国への輸入にかかる関税も84%に引き上げられています。米中貿易摩擦についてはエスカレートする方向となっています。また、相互関税の上乗せ部分の執行を一時停止するとした一部の国・地域(日本を含む)においても10%の相互関税は残っています。

日本の製造企業については、電子機器や自動車部品、家電、精密機器等の分野で中国で生産し、米国に輸出している製品は数多くあります。米国の製造企業も、スマホ等を中国で生産し、米国に輸出しています。今後、世界的に企業業績が悪化する可能性が大きくなってきそうです。

米中対立が続き、さらに世界的な相互間税10%が長期化されれば、すでに深刻化している米国の物価高が加速し、米国経済が悪化する可能性は大きそうです。朝令暮改的な政策の変更が頻発する米国への投資が敬遠される可能性が大きいでしょう。仮に米国に製造拠点を作るにせよ、その稼働までは長い年月を要します。トランプ大統領が狙う製造大国への復活は逆に難しくなると考えられます。

東京株式市場はいったん、リターンリバーサルが優勢となっているようです。大きく下げていた半導体関連や電線株他の戻りが大きくなっています。しかし中期的には、「トランプ関税」の影響を受けにくいサービス業・情報通信等が物色されやすい展開になるのではないでしょうか。

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