ボックス圏上放れに向け、条件をひとつクリア!?

投資情報部 鈴木英之 栗本奈緒実
2025/02/18
日経平均反発!「相互関税」即時発動されず、ひと安心
2月第2週(2/10-14)の日経平均は、前週末比362円41銭高(+0.9%)と週足ベースで反発。10-12月期の決算発表シーズンで堅調な業績及び見通しが示されたことや、トランプ米大統領が「相互関税*」を即時発動しなかったことなどにより、株価が持ち直した格好です。なお、相互関税は、国ごとに事前調査を行った上、4月からの導入とされています(日本時間2/17時点)。*貿易相手国が米国製品に課している税率と同等の関税を、米国が相手国の製品に課すという内容
日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(2/7~2/14・図表7)は、決算内容が好感された銘柄がほとんどです。首位は、医療事業者向けにプラットフォームの運営などを行うエムスリー(2413)でした。コロナ関連事業の利益剥落により、22.3期以降の業績推移は軟調でした。今期(25.3期)営業利益は3Q累計(24.4‐12月)では前年同期比9%減でした。しかし、3Q(10-12月期)単体では同4%増となり、回復基調が好感されました。6位の電線大手フジクラ(5803)は、10日(月)の決算発表で、通期業績見通しの上方修正と増配実施を公表し、「Deep Seek」ショック前に大幅下落した分を埋め、13日(木)には最高値を更新しました。
日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(2/7~2/14・図表8)は、図表7と打って変わって決算内容が嫌気された銘柄がほとんどです。首位の日揮ホールディングス(1963)は、会社計画の今期(25.3期)予想営業利益と予想純利益を一転、赤字見通しに修正。ランキング内では、業績見通しの下方修正や、事前予想を下振れての着地を、決算発表で示した銘柄が複数ありました。
2月第3週(2/17-21)でも引き続き、トランプ米政権による政策動向に注目が集まりそうです。ロシアとウクライナの停戦合意会議や、鉄鋼やアルミニウムへの25%の一律関税導入などを巡り、様子見ムードが続くでしょう。米露高官による和平会談が、18日(火)に開催予定です。進展の兆しを示すことができれば、リスクオンムードが広がるでしょう。
19日(水)には、FOMC議事要旨(1/28-29)が予定されています。同会合では、追加利下げに対する慎重姿勢が示されました。次回の3月会合では、参加者たちの政策金利予想(ドット・チャート)が公表予定のため、手掛かり材料を探す動きが出てくると予想されます。
図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(2025/2/7~2/14)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(2025/2/7~2/14)

ボックス圏上放れに向け、条件をひとつクリア!?
日経平均株価は引き続き、おおむね38,000~40,000円をレンジとするボックス圏内で推移していると見受けられます。足元の株価はその中心値近辺に位置しているうえ、当面の強弱感を示唆する25日移動平均線(2/17時点で39,089円)を若干上回る程度の位置にあり、強弱感が対立しやすくなっています。
日経平均株価がボックス圏内にとどまりやすくなっている主な理由として、たとえば以下の3点が指摘されます。
(1)トランプ米大統領の関税政策等に関する不透明感
(2)米国・欧州が金融緩和方向であるのに対して、日本は金融引き締め方向
(3)日本の企業業績の伸び悩み
(1)と(2)については機会を改めてご説明したいと思います。上記要因のうち(3)については、日経平均の予想1株利益(EPS)が昨年10/15に2,514円を付けた後はピークアウト状態にあり、11/14には2,425円まで下落してしてしまいました。予想EPSの低下は、日本企業の業績が伸び悩んでいることを端的に示している事象であると考えられます。
そうした中、1月下旬から日本の上場企業の24年10~12月決算発表が本格化し、2/14(金)をもっておおむね一巡した形になりました。日経報道にもあるように、上場企業の24年4~12月期の純利益は前年同期比で15%増の43兆円と、4~12月期としては過去最高を記録した模様です。25.3通期の会社予想業績についても上方修正が目立ちました。企業業績の好調を反映し、日経平均の予想1株利益は2/13に2,564円と過去最高を記録しました。2/17時点でも2,557円と過去最高水準近辺です。
日経平均採用銘柄の予想EPSが過去最高を記録したということは、日経平均の頭を押さえている要因がひとつ解消し、日経平均が過去最高値を更新する要因がひとつできたことを示しているといえないでしょうか。
図表9 日経平均株価と予想EPS(1株利益)の推移(日足)

日経平均採用銘柄の約8割は3月末を決算期末としています。図表10は、3月決算企業のうち、25.3期3Q累計(24年4~12月期)に純利益が前年同期比で大きく伸びた(または黒字転換した)銘柄となっています。
上位には清水建設(1803)を筆頭に、大成建設(1801)、大林組(1802)等のゼネコン株が軒並みランクインしています。第1次トランプ政権(2017年~)以来、米中対立を背景に世界的にサプライチェーンの再構築が進んでいることやAI普及をにらみ、国内で工場やデータセンターの建設が進んでいることが大きな要因のひとつとみられます。ゼネコンと密接な関係にある電気設備工事業、通信設備業、空調設備業等(採用銘柄以外も含む)の業績も好調です。
金利のある世界が復活し、あおぞら銀行(8304)、三井住友トラストグループ(8309)等の銀行株もランクインしています。ランク外でしたが、三菱UFJ(8306)が前年同期比34%増、三井住友(8316)が同43%増、みずほ(8411)が同33%増等、メガバンク3社は例外なく大幅な純利益増となりました。
その他、三菱電機(6503)、日本電気(6701)、富士通(6702)、ソニーグループ(6758)等の大手電機銘柄、川崎重工(7012)やIHI(7013)等の防衛関連銘柄、川崎汽船(9107)、日本郵船(9101)等の海運銘柄等も大幅増益となりました。
図表10 24年4~12月期に純利益が大きく増えた日経平均採用銘柄(黒字転換含む)

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