日経平均株価は再び上昇基調へ?企業業績の回復がプラス材料

投資情報部 鈴木英之 植田雄也
2025/11/25
米利下げに期待も、投資家心理は慎重
■11月第3週(11/17~11/21)の株式市場動向
・日経平均株価11/21(金)終値は48,625円88銭で、前週末比円1,750円65銭(約3.48%)の下落でした。
・日経平均株価の変動要因
①週初:米国株安を受けて売り優勢。特に半導体関連やハイテク株が軟調。中国関連銘柄への懸念も重なりセンチメントが悪化
②週中:米国の金利動向やエヌビディア決算への警戒感が投資家心理を冷やし、ハイテク株中心に調整が進む
③週末:プライム市場の値上がり銘柄率は8割(11/21)となるも、ハイテク株売りが重しとなる展開
■ 騰落率の傾向(11/14~11/21)
・上昇率上位:小売業は年末商戦への期待や消費関連の堅調さを背景に買われました。建設業は公共投資や都市再開発需要の強さ、さらに円安による海外事業の収益改善が評価されました。
・下落率上位:米国市場の流れを引き継ぎ、半導体関連株やAI関連株に売りが波及しました。
■ 11月第4週のスタート(11/24)
FRBの12月追加利下げ観測が強まるかどうかが、今後一つポイントになりそうです。
図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景
図表2 日経平均株価
図表3 NYダウ
図表4 ドル・円相場
図表5 主な予定
図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定
図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(11/14~11/21)
図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(11/14~11/21)
日経平均株価は再び上昇基調へ?企業業績の回復がプラス材料
■日経平均株価は反発基調へ?
日経平均株価は11/4(火)に取引時間中ベースで 52,636円87銭 の高値を付けた後、米国経済の不透明感やAI関連株の調整に押され、11/18(火)には一時 48,000円台 まで下落するなど調整ムードとなりました。しかし、今後は次第に反発基調を強める可能性があります。主な理由は以下の通りです。
・12/10(水)のFOMC結果発表に向けて、利下げ確率が80%まで回復(1週間前は42%)
・米S&P500指数の調整が、下値支持ラインである100日移動平均線および一目均衡表「雲の下限」まで到達
・高市政権が21兆円規模の経済対策を決定し、「重要6分野」を税制・予算で重点支援
・日本企業の業績回復が鮮明化し、来期の2桁増益を織り込む展開に期待
■上場企業の業績について ~市場は「来期」に2桁増益を予想
11月22日(土)付の日本経済新聞によると、2025年4~9月期における3月決算企業の純利益(最終利益)は前年同期比 7.3%増益 を確保した模様です。2025年4~6月期は 12.1%減益 でしたので、回復基調が鮮明になっています。背景には、トランプ関税への不透明感後退や想定以上の円安(対ドル・ユーロ)が寄与しました。
同報道によると、2026年3月期の純利益は前期比 2.5%減益予想 ですが、2025年4~6月期発表時の 7.4%減益予想 から改善しており、通期見通しも多くの企業で上方修正されています。
図表9では、日経平均採用銘柄のうち時価総額1兆円以上の企業について、今期・来期の予想純利益増減率を示しています。また、日経平均採用銘柄全体の純利益合計も掲載しています。
なお、日本経済新聞社の調査対象は3月決算企業のみで約1,060社ですが、日経平均採用銘柄は225社で決算期が異なる企業も含まれます。ただし、両者の傾向に大きな違いは見られません。
日経平均採用銘柄の今期予想は前期比 1.8%減益 ですが、市場では 3%程度の増益 に転じると予想されています。市場の見方が正しければ、企業業績の上方修正が今後も期待できます。来期はトヨタ自動車(7203)、ソニーグループ(6758)など主力銘柄の多くが 10%以上の純増益 を予想しています。
さらに、日経平均採用銘柄の予想純利益を基に計算される予想EPS(1株利益)は 2,639円(11/21時点) です。市場予想通りであれば、2026年には 2,900円台 への上昇が可能となり、日経平均株価の上昇要因になると考えられます。
図表9 日経平均採用の時価総額上位銘柄の純増益率(11/21時点)
■市場の注目は次第に「今期」から「来期」へ
主力の3月決算銘柄の場合、2026年3月期は残り4カ月、12月決算銘柄であれば残り1カ月となります。「今期」の業績はすでに株価に織り込みが進んでおり、投資家の注目は「来期」に移っていくとみられます。
■「半導体偏重」からのシフトに注目
図表10は、市場で今期・来期に純利益の増加が予想される銘柄について、来期の増益率が大きい順に20銘柄を並べたものです。市場の関心が「来期」に移る過程で、これらの銘柄が投資家の注目を集める可能性があります。
業種的にはバラツキが見られます。足元の日経平均株価は半導体・AI関連銘柄に大きく影響される傾向が強いですが、大幅増益が予想される銘柄への資金シフトが起こるかどうかは、今後の株式相場の重要なポイントになりそうです。
図表10 市場が今期・来期純増益を予想する日経平均採用銘柄(黒字転換を除く)
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日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。
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