クオンツ・ESGボラティリティが高まる想定での株式市場、2022年ディフェンシブ戦略

外れても大きく負けない宝くじは買い、低勝率でも当たれば大きい「宝くじ効果」

「100年に1度の感染症危機」と言われただけに、2021年の新型コロナウィルスの猛威は世界的需給や物流に歪みを発生させ、業種ないしは個別株にも異常リターンとして影響した。かねてより、株価リターンの異常値を捉える『低勝率でも当たれば大きい「宝くじ効果」』を投資戦略として紹介してきたが、2021年は過去30年間で最も高い効果があったと分析している。「宝くじ効果」は、長期的に低勝率でも当たれば大きいという概念になり、当たり業種といえば今年の海運株だろう。長らく続いたコロナ禍の低迷に出口が見え始めてくると、軟調推移してきた株価リターンの急反発も多くみられ、決算期にかけて利益の上方修正を受けて大幅高になる銘柄も多く見受けられた。来年も「宝くじ効果」の魅力度が高いと考えるもう1つの理由に、世界的ショックや大幅下落局面において狼狽売りされる可能性が低く、下方リスクに強い点が挙げられる。2022年も一発逆転銘柄を狙わない理由はなさそうだ。

「成長と分配」キャピタリズム志向に合うイノベーション・健康経営銘柄

2021年は、コーポレートガバナンスコードで人的資本・知的財産の情報開示が採用されたのは非常に新しい動きであった。イノベーション創出力が低下していると言われる日本で、これらの情報開示が進むことは、技術競争力・革新力の高い企業への関心や注目が集まり、企業側のモチベーションに繋がると期待できる。また、生産性が低く、労働過多と言われる日本においては、従業員の健康や生産性に投資を行う健康経営にも注目できよう。経営の優先課題としてソーシャル面での取組や投資を強化できる経営クオリティは、生産性の向上を梃子にイノベーション創出を後押しできる企業基盤になる。2022年では、人材投資に積極的な企業、イノベーションは環境問題解決においてグローバルな技術競争力、或いは取組を展開できる企業に注目する。

波多野 紅美
SBI証券 金融調査部 チーフクオンツアナリスト

事業会社、外資系証券会社を経て、2010年MSCI入社、2019年6月に三菱UFJモルガン・スタンレー証券より転籍。日経ヴェリタス誌ランキングは、2019年はテクニカルアナリスト7位とクオンツアナリスト8位。セールストレーディングや定量リサーチ分野で実務経験を積む。アナリスト業務では、主にESG投資や定量分析に従事する。ロンドンImperial College工学部、東京工業大学総合理工学部修士課程卒業。

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