ここ数年、働き方が多様化しています。今、注目を浴びている働き方のひとつにフリーランスがあります。フリーランスと聞くと、会社員とは違い時間に拘束されず、自由なイメージがありますが、社会保障制度などは会社員のように手厚くは受けられません。フリーランスになるなら「自分を守るのは自分」という意識を持つことが大事です。
フリーランスの場合、自分自身でカバーしておくべき範囲はとても大きいのです。フリーランスが将来のために備える制度としておすすめなのが、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」です。今回は、フリーランスに転身した場合のiDeCoの取り扱いについて解説していきます。
そもそもフリーランスって？
まず、フリーランスとはどのような職業なのかを確認しましょう。明確な定義はないようですが、組織に属さず専門的な技術を提供する事業者を「フリーランス」と呼んでいるようです。職業でいうと、ライター、ウェブデザイナー、デザイナー、SE、翻訳家など多岐にわたります。フリーランス人口は年々増える傾向にあります。自分のやりたい仕事を自由に選択できるという点で、働き方に満足している人は多いようです。
一方、収入が安定しないという課題があるのも現実です。さらに、会社員とは違って労災は保障されませんし、公的年金は国民年金のみで、厚生年金や企業年金はありません。会社員時代は会社が払ってくれていたものや、会社と折半していたものは、フリーランスになるとすべて自分の責任になるのです。退職金もありませんから、自分の仕事の成果のみで生涯生活していくことになります。そういった事情も考えると、老後に備えて、iDeCoをはじめておくのは大切なことです。
退職する会社で企業型確定拠出年金に加入していた場合の手続き
退職する会社で企業型確定拠出年金に加入していた場合は、その資産をiDeCoへ移す手続きが必要です。それまで、会社が積立金を負担してくれていても、フリーランスとなった今後は自分でそのお金も積み立てないとなりません。
iDeCoの場合、毎月、運営管理手数料などの諸経費がかかることがあります。その手数料も自己負担です。ただ、iDeCoの申込み窓口となる運営管理機関によって手数料は異なり、なかには手数料が無料のところもありますので、まずは調べてみることをおすすめします。
iDeCoへの変更手続きは、退職後6ヵ月以内に行わなければなりません。その手続きをしなければ、国民年金基金連合会に資産が自動移換されます。自動移換されると、運用ができないのはもちろん、毎月の管理手数料は資産から差し引かれ、将来のiDeCo資産の受け取り時期が遅くなるおそれもあります。移換の手続きをしたとしても、掛金の拠出が始まるまでには申し込み後、2〜3ヵ月かかる場合がありますから、早めに手続きをしたほうが良さそうです。
退職する会社で企業型確定拠出年金に加入していなかった場合
企業型確定拠出年金に加入していなくても、厚生年金基金や退職金制度がある場合、それらの資産をiDeCoに移すことができます。その場合、厚生年金基金や企業年金に対して資産をiDeCoに移すことを伝える必要があります。
そのため、自分は何も手続きをしなくても良いと思うのではなく、まずは会社の担当者に、自分はどのような手続きをすべきなのか相談するのがよいでしょう。
会社員時代からiDeCo（イデコ）に加入していた場合
会社員時代からiDeCoに加入していた人はどうなるのでしょうか。実は、そのままiDeCoを続けることができます。iDeCoを続けられるなら特に手続きする必要はないと思う人もいるかもしれません。しかし、ここが大きな落とし穴です。実はこのケースでも運営管理機関に会社を退職したことを伝える変更手続きが必要です。加入している運営管理機関から書類を取り寄せ、手続きを行いましょう。
フリーランスこそiDeCo（イデコ）に加入を
フリーランスとiDeCoの関係について考えてみました。フリーランスは自分の時間とペースで仕事ができる反面、会社からの保障がなくなります。だからこそ、フリーランスになると決めたら、老後のことを考えてiDeCoの加入・継続も視野に入れるようにしましょう。フリーランスへチャレンジをするときには、将来のマネープランも検討しておくことが肝心です。
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