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覚えておきたい!「iDeCo」で作った資産を有利にもらうテクニック
iDeCo(個人型確定拠出年金)の利点は、なんといっても税の優遇でしょう。掛け金の所得税控除と運用益の非課税は、投資商品として考えればその魅力は大きいものです。さらに、60歳を過ぎ、かつ加入期間が10年以上の人は、運用してきた資産を「一時金」か「年金」として受け取ることができるのですが、このときも税金が控除されます。
ただし、受け取りの時期や方法によって、税金の控除額に違いがあります。大企業の会社員や公務員であれば、退職金の金額との関係によって控除の範囲を超えてしまうこともあるのです。しかしながら、資産をもっとも有利に受け取るためのiDeCoならではのテクニックがあります。
iDeCoの受け取り方は3パターン
iDeCoで形成した年金資産の受け取り方には3パターンがあります。
・ すべて一時金で、まとめて1度に受け取る
・ すべて年金で、毎年少しずつ受け取る
・ 一時金と年金を組み合わせて受け取る(併給)
まとめて一時金でもらう場合、退職金と同じ(退職所得)と見なされ、「退職所得控除」という制度で優遇されます。また、年金としてもらう場合は雑所得となり、「公的年金等控除」が受けられます。それぞれの控除金額は次のとおりです。
● 退職所得控除
加入期間20年以下:40万円×勤続年数
加入期間20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
● 公的年金等控除
65歳未満で年金130万円未満:70万円
65歳以上で年金330万円未満:120万円
ここで注意したいのは、控除はiDeCoの年金資産だけに対してかかるのでなく、退職金や公的年金との合計額に対してかかる点です。受け取り方によってどのような差が出るのか、例を挙げて考えてみましょう。
税額の差が2倍のケースも!事例で知るテクニック
日本経済新聞の例を元に、受け取り方法によってどの程度の差が発生するか見てみます。
<想定ケース>
勤続35年(25~59歳)で支給された退職金2,200万円を60歳のときに一時金でもらう。
iDeCoで形成した資産は600万円で加入期間は20年(40~59歳)。
*復興税を除く
(A)60歳のとき一時金で受け取る場合、税金額は99万7,500円
【控除額】800万+70万×15年=1,850万円(勤続年数35年)
【受取額】2,200万+600万=2,800万円
【退職所得】=(【受取額】-【控除額】)×1/2=475万円※
※退職所得475万円のとき、所得税52万2,500円、住民税47万5,000円
したがって、税の総額は99万7,500円となります。
(B)65歳のとき一時金で受け取る場合、税金額は76万5,000円
iDeCoは60歳から受け取れますが、運用のみであれば70歳まで継続できるので65歳で維持金として受け取るケースを考えます。
まず、60歳の時点で退職金を受け取ります。
【控除額】800万+70万×15年=1,850万円(勤続年数35年)
【退職所得】(2,200万-1,850万)×1/2=175万円※
※退職所得175万のとき、所得税8万7,500円、住民税17万5,000円
したがって、税額は26万2,500円となります。次に65歳でiDeCoの年金資産を一時金で受け取ります。
【控除額】iDeCoの20年分は60歳での受け取りに重複するため、控除なし
【退職所得】600万円×1/2=300万円
※退職所得300万円のとき、所得税20万2,500円、住民税30万円
したがって、税額は50万2,500円となり、60歳の分と合算すると、税の総額は76万5,000円となり(A)よりも税負担は軽減されます。
(C)60~64歳は年金で70万円ずつ、65歳のとき残りを一時金で受け取る場合、税金額は45万円
まず、60歳で退職金を、さらに64歳までの5年間、公的年金等控除の年70万円枠を最大限に使って受け取ります。
【年金(雑所得)】70万×5年=350万円 控除範囲内により非課税
【退職所得】(B)の退職金2,200万円にかかる税額と同じ26万2,500円
続いて65歳で残りの250万円を一時金で受け取ります。
【退職所得】250万円×1/2=125万円
※退職所得125万円のとき、所得税6万2,500円、住民税12万5,000円
したがって、26万2,500+6万2,500+12万5,000=45万円となり、60歳でiDeCoの年金資産を一時金として全額受け取るより税負担は半分以下になります。
税金額だけで比較しましたが、実際のところは受け取る人のライフスタイルも大きく影響します。退職金の見込みがなく、60歳で一時金として受け取り、年金受給までの資金に使いたい人もいるでしょう。お金との付き合い方によっては、年金で少しずつ受け取ったほうが良いという人もいるでしょう。とはいえ、iDeCoは他の投資商品と比べても税の優遇はすぐれていますので、これを最大限に活用したいものです。