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なぜNISAばかりでiDeCoが聞こえてこなかったのか?
2017年1月1日から個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入対象者が、ほぼすべての現役世代へと拡大されました。しかし、このことについて全国の約5,000人に聞いたところ、「知らなかった」と答えた人が8割に上りました(QUICK資産運用研究所「個人型DC拡充「知らなかった」が8割超【個人意識調査(12)】2017/1/30」)。
かたや3年前の2014年1月にスタートしたNISA(少額投資非課税制度)は、わずか1ヵ月後に認知度は78%、内容を把握している人はそのうちの35%に上りました。
iDeCoは厚生労働省、NISAは金融庁と監督官庁が異なることからPRの差が生じているという声もあるようですが、それだけが理由とはいえません。運用の受け皿である金融機関は、iDeCoよりもNISAを呼びかけているのが現状のようです。金融機関の視点に立ってiDeCoのメリット、デメリットを探ってみましょう。
iDeCoのメリットは税制優遇と手数料
iDeCoの最大のメリットは拠出時、運用時、受給時の各段階で税制優遇を受けられるということです。
・拠出時:掛け金(拠出金)のすべてが所得税や住民税の控除対象
・ 運用時:運用益はすべて非課税
・ 受給時:年金として受け取る場合は「公的年金等控除」が、一時金として受け取る場合には退職所得とみなされ「退職所得控除」が適用されます。
iDeCoのメリットは税制優遇だけではありません。企業型DCにも言えることですが、国内で販売されている投資信託のなかで、一般に銀行や証券会社で販売されているものとiDeCoや企業型DCで扱われている専用の投資信託を比べると、運用手数料は1/2や1/3となっており、その差は一目瞭然です。
iDeCoとNISAの比較
投資対象や、利用限度額、税制優遇などについて、iDeCoとNISAを比較してみましょう。
最も大きな違いとして、iDeCoは60歳までは原則的に解約できず、老後資金としての性格がはっきりとしているのに対し、NISAはいつでも解約することが可能という点が挙げられます。対象商品はNISAのほうが範囲は広く、またiDeCoに含まれる元本保証型というよりは積極的に運用するのに適した商品が多いといえます。
iDeCoの今後に注目
iDeCoの信託報酬の安さ、元本保証型の定期預金や保険商品などの対象商品の品ぞろえは、加入者からみると使い勝手の良いメリットです。一方、解約ができない、変更や中断が年に1回までなど、制限があります。そのような状況から、金融機関もなかなかアピールできていなかったのかもしれません。
しかし、対象者が拡大されたことで注目を集めてきているのも事実です。今回の改定によって各金融期間でさまざまな取り組みを行っていますので、自分にあわせた商品を探してみてはいかがでしょうか。