IFAインタビュー

IFA法人MK3株式会社 代表取締役社長  林 雅巳 「農場を経営するように資産運用を・・・」

最近、日本でも注目を集めている独立系金融アドバイザーと呼ばれるIFA(Independent Financial Advisor)。金融先進国の欧米ではIFAのアドバイスを受けながら、生涯に渡って資産を運用する投資家が少なくありません。

IFAは資産運用のパートナー。あなたにとって一番大切なことは、自分にピッタリと合うライフプランつくりをサポートしてくれるIFAを見つけ出すことです。このシリーズでは、現在第一線で活躍しているIFAを紹介するとともに、その運用方針、投資哲学について詳しく話を伺います。

初回はIFA法人MK3株式会社で代表取締役社長を務めるIFA林雅巳氏にご登場頂きました。(取材:IFAオンライン編集部)

お客様と長く付き合うためにはIFA

どうしてIFAになったのですか?

林氏

1989年に日興証券に入社し、入社後は首都圏の支店でリテール営業を担当し。11年間証券会社の社員として働きました。その間にアメリカのシティ・グループで研修する機会があり、そこでIFAのような仕事をする社員がシティ・グループにいることを知りました。

日本では3年ぐらい経つと転勤しなければなりません。信頼関係が生まれてお客様と良い関係が作れた頃に、転勤しなければならないのです。担当者がしょっちゅう変わってしまうことはお客様にとってもよくありません。でもアメリカは違います。日本の証券会社の社員とはまったく違う働き方でした。それを見て、いずれこういう仕事をする人が日本にも現れると思いました。だから、2000年に会社を辞めて、独立系ファイナンシャル・アドバイザーになる道を選んだのです。

当時からIFAという仕事はあったのですか?

林氏

IFAなんて言葉は誰も知らなかったと思います。証券会社を辞める時の役職は課長でした。まだ若かったので、退職金もほとんどありません。日興証券はその数年後にIFAの部署を創設しますが、まずは、その前身である部署の契約社員になりました。

退職時の私は新人研修を担当していました。会社を辞めたので私も新人同様、ゼロからお客様を開拓することになります。ポスティング、電話営業、そしてセミナーという、いわゆるオーソドックスな営業活動を行いました。ITバブル崩壊の年でしたが、その割にはお客様が順調に増えたと思います。2002年に日興証券にIFAの部署ができてからは、そこでIFAとして活動してきました。

「選択の自由」が認められる環境

なぜMK3という会社を作ったのですか?

林氏

MK3は日興証券のIFAだった仲間2人と作りました。スタッフを入れると現在4名です。かねてから法人化を目指してきましたが、日興証券のIFAビジネス撤退を機に会社設立に至りました。

2014年12月24日に会社を登記、翌年の3月に関東財務局に金融仲介業を申請して7月16日に認可が下りました。もう少しで1年が経ちます。

私がIFAになろうと思ってから15年が経ちました。残念ながら、日興証券はIFAビジネスから撤退しましたが、この間にSBI証券のようなネット証券のみならず、既存の証券会社でもIFAと提携する会社がずいぶん増えました。それはIFAである私たちやお客様にとって非常に望ましい変化だったと思います。

どういう点が良いのでしょうか?

林氏

IFAにとってもお客様にとっても、「選択の自由」が格段に向上したからです。IFAは1つの証券会社の金融商品だけでなく、複数の証券会社の商品も取り扱えるようになりました。提携できる金融機関の選択肢が増えたのです。確かに個別株の売買だけでみると、以前とあまり変わりません。しかし、投資信託については大きな違いが出てきたと思います。

資産運用は農場経営?!

MK3の運用ポリシーは?

林氏

基本的にはどのような経済的変化が起こったとしても、お客様が安心して資産を運用し続けられるようにしないといけないと思っています。日本人の平均的なポートフォリオを見ると、中心的な資産は預金か不動産です。それを金融先進国である欧米の投資家のように、成長する資産に切り替えるお手伝いをしたいと思っています。もちろん投資なので、「絶対に損はしません」とは言えません。しかし、慎重に投資対象を選択することやしっかりしたポートフォリオを組むことで、リスクをコントロールしながらよりよいパフォーマンスを見込むことができます。

MK3にはIFAが3人所属していますが、それぞれに特徴があり、リスクの取り方やスタンスも違います。だから、3人が同じお客様に対しても、全く同じ内容のポートフォリオを提案することはありません。しかし、基本的なポリシーは共有しています。

もう少し具体的に教えて下さい。

林氏

MK3では、「MK3 farm」というお客様の資産を3つのカテゴリーに分けた資産運用を提案しています。

  1. コア(中心資産)
  2. サテライト(成長資産)
  3. 積立(育成資産)

あの個別銘柄、この個別銘柄が良いと言うようなことだけではなく、お客様にとって、お米や小麦のように主食になるようなコア資産を育て、それに加え付加価値の高い野菜や畜産物のようなサテライト資産にも投資する。そして、まだ投資資金が十分に無い場合には、「種をまいて育てる」という積立を提案します。

分かりやすく言えば、MK3は農場で、資金をいろいろなものに計画的に投資することでリスクをコントロールしながら殖やしていくというイメージです。

資産運用ではコアの資産(中心となる資産)をどのように運用するかが一番重要です。預金を豊富に持ち、リスクの高い個別銘柄に投資することを資産運用だと考えている投資家も多いですが、付加価値を生まない預金などの資金はリスクを抑えて安定的に長期投資をするのが望ましいのです。

それに加えてサテライト資産への投資は、キャッシュに余裕をもって運用することでリスクをコントロールし、長期投資により利益を伸ばすことを目指すのです。

資産をこれから増やしていく必要があるお客様には、セミナーを通じて積み立て投資の有効性を説いています。長期に積み立てすることで、雪だるま式に資産を増やすことを提案しています。

お客様の反応はどうですか?

林氏

正直言って様々ですね。資産運用を「投機」のように捉えている方もたくさんいらっしゃいます。「儲かる銘柄を教えて下さい」と、単刀直入に尋ねてくる方もいらっしゃいます。

資産運用のアドバイスは「お客様のどのようなニーズにもあわせて行う」と言われます。IFAは投資のプロなのでどのような対応も可能ですが、お客様は人気がある商品や割高にまで値上がりしているものに投資したいと考えている場合もあります。そんな時は私の考えをよく説明し、それでもご理解いただけないようならお取引をお断りします。

私は自分が納得できないものは、お客様に勧められません。誤解を恐れずに言えば、お客様のポートフォリオに組み込める金融商品はかなり限られているということです。私が「これは良い金融商品だ」と納得できる投資信託は、何千本もある中のわずか数本なのです。

そうなると、お客様全員が同じようなポートフォリオになる?

林氏

ある意味においてはそうかもしれませんね(笑)。バリュー投資を基本にして財務分析を重視し、経営者や運用者がどのような考え方でどのように経営されているかまで検討しています。そのうえで、ほとんどすべての方に同じ提案をしますし長期に同じものに投資することが多いので結果的に同じようなポートフォリオになります。

ちなみに、日本の株式市場は年初来から、かなりボラティリティの高い相場になっています。日経平均を見るとかなり下がっていますよね。でも、私がコア資産としてポートフォリオに組み入れるように推奨している投信はキャッシュコントロールをしてくれるため比較的良い水準で推移しています。昨年からは余計なリスクを取らないようにその他のコア資産には円ヘッジ比率が高いものを選定してきました。

お客様には、投資対象をよく理解していただいた上でリスクをコントロールしてマーケットの変動にあわてなくてすむような投資をお勧めしたいと考えています。

今日はどうもありがとうございました。また、資産運用について教えて下さい。

林氏

こちらこそありがとうございました。よろしくお願いします。

IFA法人MK3株式会社

金融商品仲介業・関東財務局長第734号
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