IFAインタビュー

株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル 代表取締役 田中 譲治 「20年後、弊社のIFAを5,000人にしたい」

金融仲介業を営む経営者の中には、長年IFAを広めるために活動してきた人もいます。アイ・パートナーズフィナンシャルの田中譲治社長は、まさにその中の一人です。IFAによる金融仲介業者としては、日本で最も大きい組織である同社を創業した理由、今後の事業計画について伺いました。(取材:IFAオンライン編集部)

IFAの会社を上場させて知名度を上げたい

アイ・パートナーズフィナンシャルを創業された理由は?

田中氏

私は2002年からIFA(独立系金融アドバイザー)として活動してきました。経済評論家の三原淳雄氏らにご協力いただいて、IFAの知名度を上げたいと2002年からさまざまな取り組みをしてきたのですが、なかなか知名度は上がりませんでした。それなら、多くのIFAを抱える仲介業者を作って株式公開をしてやろうと、その方が投資家や証券マンにIFAの存在や働き方を知ってもらうのに効率がいいかなと思い、2009年に起業しました。

この7年間の業績はいかがですか?

田中氏

現在証券外務員資格を持つIFAは90名、オフィスは全国で12店舗。この横浜でスタートしました。所属IFAさんに対する報酬率を高くしているので、粗利は少ないです。だから、店舗の全国展開も、最初にオフィスを出してから、IFAさんを募るというやり方ができないのです。「IFAをやりたい」という方が2人以上現れたら、そこにオフィスを出すという方式で増やしてきました。横浜本店を筆頭に、東京の新宿と竹橋、浦和(埼玉県)、浜松(静岡県)、名古屋、伊勢(三重県)、大阪、京都、加西(兵庫県)、高松(香川県)、福岡の12ヶ所にオフィスを構えています。

各オフィスの運営方法は?

田中氏

「IFAをやりたい」という人から連絡をもらってから始めるわけですが、フランチャイズ方式ではありません。IFAさんのサポート及びコンプライアンス管理は本店に事務局を置いてしっかりやっています。たとえば、IFAさん不在時に各オフィスに電話が入ると横浜本店に転送される仕組みになっており、顧客対応は横浜本店の事務局で行います。IFAさんは外出先からでも横浜本店の事務局に電話をすれば、売買発注が可能です。提供情報はオフィスによる格差が生じないよう図っています。グループウェアの掲示板、社内メール等で情報を伝達すると同時に、重要な案件についてはWeb会議システムのV-CUBEで会議、セミナー、商品の勉強会を開き情報の均一化に努めています。月に4~5回はWebによる会議、セミナーを催しています。

上場はいつ頃を目標に?

田中氏

出来れば3年後ぐらいですね。

お客様のために働けるのはノルマのないIFAだけ

どうして金融業界に?

田中氏

もともと金融の仕事を希望していたわけではないんです。私は1979年に証券会社に就職しましたが、まさに第二次オイルショックで不況の時代でした。証券マンを目指していたわけではなく、むしろ、証券会社しか採用してくれなかったというのが正直なところで、入社した大和証券の京都支店でリテールを経験し、その後、外資系の証券会社に転職し、機関投資家向けの株式営業を担当しました。

外資系に転職された理由は?

田中氏

丸の内で法人営業をやってみたかったからです。その後、メリルリンチでリテールに戻りました。ホール・セールは一般論として年齢が若くないとできないです。UBSをやめた時には40前後でしたが、今後を考えるともう一度リテールに戻らなければ、証券営業を長く続けることはできないと思いました。1988年にメリルリンチ日本証券から誘いがあって、リテールを再び始めました。

しかし、メリルリンチ日本証券が業績不振から業務を縮小し始めて、自分が目指していたものと違う方向に進み始めてしまった頃、日興コーディアル証券に、出社型IFAという職種があるのを知りました。そこで、2002年8月にメリルリンチ日本証券を退職して、日興コーディアル証券でIFAとしての活動を始めたのです。

IFAになろうと思った理由は?

田中氏

当社もそうですが、日興コーディアル証券のIFAにもノルマがありませんでした。ノルマのないIFAになって初めて、本当に顧客重視のサービスが実現できるのだということを実感しました。だから、現在の金融業界を変えるためには、金融機関等に属さず、独立して中立の立場からお客様のために働くファイナンシャルアドバイザーすなわちIFAを世の中に広めないとダメだと思いました。しかし現実は厳しく、なかなか広がりませんでした。

IFAによるIFAのための会社

今では日本で一番大きいIFAの組織です

田中氏

規模が大きくなると、組織を整える必要が出てきます。金融商品仲介業者としてコンプライアンスの体制構築だけではなく、事業会社としての内部統制も確立しなければなりません。収支をにらみながら組織を整えるのが大変です。

営業ノルマがない会社なので、年間収支計画を作る時にもとにするのは、今年1年間でIFAさんを何人増やせるかということです。システム使用料としてIFAさん一人当たり毎月約10万円頂戴しており、これと業務提携している証券会社から入る金融商品仲介の報酬額の10%程度、これが弊社の主な粗利です。IFAが一人増えると毎月いくら売上が増えて、いくら粗利が増えるのか・・・シンプルな収支構造であり、一般的に証券会社ほどマーケットの影響は受けにくいのです。IFAさんとは業務委託契約です。ただし、IFAさんの管理体制は雇用契約の場合と変わりません。業務委託契約にしているのは、給与支払いのリスクを抑え、その分IFAさんに多くの報酬を支払うためです。先ほども申し上げましたが、金融業界では厳しいコンプライアンス体制が求められており、弊社もそれは保持できていると思います。

御社に所属するメリットは?

田中氏

当社のIFAになる一番のメリットは、IFA業務に専念できる体制が整っていることでしょう。当社のIFAさんはIFA業務に専念でき、また報酬率も高いため、顧客重視を実現するのが可能だと思います。したがって、「お客様のために働きたいから私はIFAになりました。引き続き投資アドバイスさせてください。」と本心からお客様にアピールできるのではないでしょうか。

所属になりたいというIFAの方をお断りするケースもあるわけですか?

田中氏

あります。コンプライアンスの意識の低い方、お客様重視を実現できそうにない方は当然断りますし、IFAとして自立できない依存心の強い方はお断りします。IFAとして求める人材は、「お客様重視を実現したい方」「IFAとして能力向上に熱心な方」「起業家精神の旺盛な方」「コンプライアンス意識の高い方」です。

20年後弊社のIFAを5,000人にする

今後の事業計画をお聞かせ下さい

田中氏

私の目標は会社の成長だけではありません。それよりも、IFAとして活動する人間を10年後には1,000人、20年後には5,000人になるようにしたいです。会社としては3年後に株式公開を目指す以上、上場基準が満たせるように努力します。弊社は粗利率は低いですが、顧客重視に必要のない費用は一切使わないことにより利益を出し上場基準を満たしたいと思います。例えば、立派な本社ビルもいりません。家賃の高い豪華なオフィスも必要ありません。もちろん、社長室なんていりません。我々の仕事は人材が資本です。お客様重視を実現するため、人材及び人材の育成には金をかけますが、それ以外に金をかけるのは無意味です。

1980年代、日本のアナリストの地位は高くありませんでした。証券会社の営業マンが推奨する銘柄は、証券会社の推奨銘柄でした。「当社が薦めています。だからこの銘柄を買ってください。」という営業でした。1990年代に入り、機関投資家がマーケットで影響力を持ってくるようになると、アナリストの評価が上がりました。「アナリストの〇〇さんが薦めています」という営業に変わりました。今、投資信託がそうなってきています。さわかみ投信やみのりの投信はその代表でしょう。「〇〇さんが運用しているから投資する。」と時代になってきています。きっと運用アドバイスも「IFAの〇〇さんにお願いしたい」というようになると思いますし、なってほしいと思っています。

同じような会社はあると思いますが、私自身がIFAの経験者であり、IFA目線で会社を作ってきました。IFAさんが活動しやすい環境を用意しています。IFAになりたい方はぜひ当社の門を叩いてください。

(ご参考)

(株)アイ・パートナーズフィナンシャル行動規範「IFAの誓い」

1.真の独立・中立の旗のもとアドバイスを行います。
2.常にお客様の意向と実状の理解に努めます。
3.不断の研鑽で能力向上に努め、環境変化に対応します。
4.健全な倫理意識を保持し、お客様の信頼に応えます。
5.公共心を持ち、法令はその背景の理解に努め遵守します。
6.投資の価値を伝え、業務を通じて社会に貢献します。
7.お客様の成功をともに喜び、自身の豊かさを実現します。

株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル

関東財務局長(金仲)第314号
〒220-0005 神奈川県横浜市西区南幸2-20-5東伸24ビル3F
TEL:045-329-7150 FAX:045-311-7133

topへ