① 2024年の市場環境と投資判断の振り返り
市場環境の振り返り
2024年は1月~7月まで、堅調な米国経済や企業業績に支えられ、米国を中心に株式市場は上昇しました。一方、8月に入ると加熱していた米国AI関連企業への成長期待の剥落や、米国の雇用指標の急激な減速など景気後退懸念が急速に高まり世界的に株式市場は下落しました。特に日銀が利上げを発表し円高が進んだ日本株式は大きく下落しました。その後、米国や欧州の中央銀行による利下げ観測が強まったことなどを受け、各国の10年国債利回りは低下し、債券価格は上昇しました。さらに米国経済も堅調さを取り戻し、株式市場も上昇しました。11月には、米国で大統領選挙が行なわれ、共和党のトランプ氏が勝利しました。また、上院・下院ともに共和党が制したことを受け、法人税などの減税政策が実現しやすくなるとの思惑などから米国株式を中心に主要株式市場が上昇した一方で、米国の財政悪化懸念が高まったことで米国10年国債利回りが上昇(債券価格は下落)しました。期間:2023年12月29日~2024年11月29日、日次
全世界株式:MSCI ACWI(配当込み、米ドルベース)、米国株式:S&P 500 ®(配当込み、米ドルベース)、国内株式:東証株価指数(TOPIX)(配当込み)
(出所)野村アセットマネジメントの情報提供に基づきFOLIO作成
投資判断の振り返り
匠ラップでは、中長期的な視点でリターンとリスクのバランスをみたときに最適と考えられる株式60%、債券40%の配分をベースポートフォリオとしており、2024年1月から8月にかけては、ベースポートフォリオ対比で定量戦略、定性戦略ともに債券に対して若干積極的、株式に対して中立的な投資姿勢をとってきました。一方、9月以降は短中期目線での定性戦略において、米国の金融緩和への政策転換をきっかけとして、リスク性資産が上昇しやすいと考え、「世界株(バリュー)」や「グローバルREIT」の配分比率を増やしました。2024年年間では株式などのリスク性資産が比較的堅調に推移したことが、全体のパフォーマンスにプラスに寄与しました。その中でも、7月~8月の急激な円高・ドル安の進行と主要国株価の大幅下落によってマーケットが調整した局面では、「国内債券」や為替ヘッジを行なっている「外国債券(国債型)」がプラスに寄与し、8月月間での匠ラップ全体の下落率は-0.38%となりました。匠ラップが参考とする合成指数の同期間のパフォーマンスが-0.61%であったことと比較すると、匠ラップの下落率は限定的なものとなりました。(2024年8月のマンスリーレポートはこちら)また9月から11月にかけては、リスク性資産の配分比率を増やしていたところで、米国株式等が上昇して、全体のパフォーマンスにプラスに寄与しました。期間:2024年1月~2024年12月、月次
※運用実績は過去のものであり、将来の運用成果等を示唆または保証するものではありません。
② 野村アセット運用チームは2025年の市場環境をどう見るか?
2022年以降、世界各国の中央銀行はインフレ抑制を目的とした利上げを実施してきました。これにより世界各国の経済活動がピーク時と比べて抑制されるとともに、インフレ率の低下が継続しています。このインフレ率の低下は、消費者の購買力を回復させるとともに、企業にとっても原材料費の負担を軽減する要因となり、経済成長の力強さこそ欠くものの、経済全体に安定感をもたらしていると見ています。期間:2022年1月~2024年9月、四半期
先進国:米国、ユーロ圏、日本、英国、カナダ、オーストラリア
GDP:国内総生産、加重平均値を基に算出しています
(出所)野村アセットマネジメントの情報提供を基にFOLIO作成
2025年の市場環境を考えるにあたって特筆すべき点は、すでに欧米先進国において、利上げサイクルが完了し、利下げ局面に入り始めたとみられる点です。この動きにより、2025年は各国の経済が活性化し世界経済全体が再び力強い成長軌道に乗る可能性が高いと予想しています。特に、これまで抑制されていた消費活動が再び活発化し、住宅販売や自動車販売が回復基調に入る可能性が高まっていると見ています。また、2025年には企業の投資意欲も高まり、米国製造業の活況を示すISM製造業景況感指数が50を超える水準まで回復する可能性もあると予想しています。これらの要素が相互に作用することで、良好な経済循環が形成されると予想され、株式市場は堅調に上昇すると考えます。一方、債券市場に関しては、金利の大幅な低下による価格上昇は期待しにくいものの、利下げの影響により短中期年限の金利は低下しやすく、債券市場の動向は安定的な状況が続くと考えられます。為替に関しては、近年の円安トレンドから変化する可能性があります。2024年に欧米が利下げに転じる中で、日本が利上げを行っている状況は、金利差が縮小することで円高への転換が予想されます。日本が金融政策を大きく引き締めるとは考えにくいものの、外貨と日本円のバランスを取ることも重要だと考えます。その想定の下でポートフォリオは株式などのリスク性資産の比率を多めに保ちながら、経済成長を享受できるようなポートフォリオを維持する方針です。なお株式市場に下落ショックが発生した場合、債券はリスク軽減の役割を果たすと考えています。期間:2021年1月末~2024年11月末、月次
米国:FOMC金利誘導目標上限値、ユーロ圏:ECB預金ファシリティ金利、英国:英国イングランド銀行政策金利、日本:日銀無担保コール翌日物
(出所)野村アセットマネジメントの情報提供をもとにFOLIO作成
投資環境を考える上で注意すべきリスクも存在します。その一つが、トランプ氏の関税政策です。過去にも関税を交渉の手段として用いて米国に有利な貿易条件を引き出す動きが見られました。本コラムを執筆している2024年12月6日時点でも、トランプ氏はメキシコ・カナダに対して25%の関税を課す大統領令に署名するといった発言をしており、実際に関税が課された場合にはグローバルな経済活動に混乱をもたらすリスクがあります。このような政治情勢や地政学的リスクの変化は引き続き重要なテーマになるでしょう。 2025年は、政治情勢や地政学的リスクにより、近年よりも不確実性の高いマーケット動向になると予想しています。そのような局面では、運用者の経験と相場観による定性判断が重要と考えます。 野村アセット運用チームは市場環境を鋭意モニタリングし、変動に対して柔軟かつ迅速に対応することで、受益者の皆さまにリターンをお届けするよう努めてまいります。※ 本コラムについて
市場環境に関する過去の事実等の情報提供や作成時点での見解をご紹介するために野村アセットマネジメントの情報をもとにFOLIOが作成した資料です。そのため、上記のような投資判断を今後行うことを保証するものではございません。将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
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