利回りが上昇 2026年8月と9月の米ドル建既発債人気ランキング

投資情報部 土居 雅紹
2026/10/15
2026年8月と9月の米ドル建債券(既発債)の人気ランキング
■市場環境
2026年8月は、米国の政策金利が3.50~3.75%で据え置かれ、米国10年国債利回りは4.6~4.7%台で推移しました。米国とイランの協議の進展への期待から一時下げた原油価格(WTI原油先物直近限月つなぎ※)も、8月末にかけて緩やかに上昇しました。また、8月28日のジャクソン・ホール会合でウォーシュFRB議長が利上げに含みを持たせた発言を行ったことで米ドル金利は上昇しました。
9月に入ると、11日公表の8月の消費者物価指数(CPI)でコア指数の前月比が市場予想を上回りました。また、中東の産油国に戦火が拡大したことを受けて原油価格は再び1バレル100ドル超えとなりました。FRBは9月15~16日のFOMCで政策金利を0.25ポイント引き上げて3.75~4.00%とし、日銀も9月17~18日の会合で政策金利を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げました。
米国10年国債利回りは、8月31日の4.75%から9月30日に5.28%へ上昇しています※。米ドル/円相場は、9月上旬にベッセント米財務長官や日銀審議委員の発言を受けて9月8日は152円台まで円高・米ドル安が進んだものの、月末には157円台に戻りました。 ※Bloombergデータより引用。
■米国国債(既発債)の人気ランキング
8月と9月の米国国債(既発債)の人気ランキングを比べると、構成には共通点があります(図表1)※。どちらも、残存約2年以内の短期債が2銘柄、残存約9年前後の債券が1銘柄、残存約20年~30年弱の債券が2銘柄という組み合わせです。ランキングの変化だけから個々のお客さまの投資行動を特定することはできませんが、当社のお客さまの購入動向からは、残存期間が短い債券で価格変動リスクを抑えたいニーズと、10年~20年の期間にわたって高い利回りを確保したいニーズが併存していたことがうかがえます。
※8月の人気ランキングの利回りと残存期間は2026/8/31時点、9月は2026/9/30時点。
一方、相違点もあります。まず、8月に2位だった残存約29年8ヵ月の「米国国債5.000% 2056/5/15満期」が上位5銘柄から外れました。9月の長期債は、残存約19年10ヵ月の「米国国債5.125% 2046/8/15満期」(1位)と、約19年7ヵ月の「米国国債5.000% 2046/5/15満期」(5位)の2銘柄となっています。米国金利の先行きが見通しにくいなか、30年近い残存期間を避けた可能性も考えられます。
次に、8月に2銘柄入っていたストリップス債(ゼロクーポン債)が9月はなくなりました。代わりに、残存約1年の「米国国債4.125% 2027/9/30満期」、約1年2ヵ月の「米国国債3.875% 2027/11/30満期」、約9年10ヵ月の「米国国債4.625% 2036/8/15満期」と、利付国債が入りました。
さらに、両月に共通する「米国国債5.000% 2046/5/15満期」の利回り(税引前・複利)は、8月の5.024%から9月は5.454%へ大きく上昇しました(単価は99.69から94.56に低下)。こうした変化はいずれも、原油高や物価指標の上振れ、FOMCでの利上げと追加利上げ観測などを背景に生じたものと推測されます。
■米ドル建社債(既発債)の人気ランキング
8月と9月の米ドル建社債(既発債)の人気ランキングでは、上位5銘柄中4銘柄が共通しており、いずれも利回りの上昇が顕著です(図表2)※。連続で1位の「日本たばこ産業 5.850% 2035/6/15満期」の利回り(税引前・複利)は、8月の5.028%から9月は5.671%に上昇しました。2位の「中国電力 5.742% 2035/1/14満期」の利回りも、5.298%から5.933%に上昇しています。
※8月の人気ランキングの利回りと残存期間は2026/8/31時点、9月は2026/9/30時点。
NTTファイナンスの2銘柄も利回りの上昇(単価は低下)が目立ちます。「NTTファイナンス 5.110% 2029/7/2満期」の利回りは4.630%から5.308%に、「NTTファイナンス 5.136% 2031/7/2満期」の利回りは4.861%から5.553%となりました。4銘柄の利回りの上昇幅は約0.64~0.69ポイントで、日本たばこ産業以外の3銘柄は単価が額面(100)を下回っています(2026/9/30時点)。
一方、8月に4位だった「メタ・プラットフォームズ 5.600% 2053/5/15満期」が外れ、コール条項の付いていない「三井住友信託銀行 5.050% 2035/3/13満期」が3位に入りました。ランキングの変化のみから断定はできませんが、米国金利の上昇で社債の利回りも5%台に上昇するなか、超長期債は避けつつ、残存期間8年程度までの銘柄で利金収入を確保したいという意向が推察されます。
なお、共通する4銘柄はいずれもコール条項※付きです。期限前償還された場合、想定していた利金を得られない可能性や、再投資条件に影響が生じる可能性があるため、条項の内容を十分に確認する必要があります。
※ 発行体が一定条件のもとで期限前償還できる権利を有する条項
図表1 米国国債(既発債)の人気ランキング(2026年8月と9月)
図表2 米ドル建社債(既発債)の人気ランキング(2026年8月と9月)
今後の見通しと投資アイデア
■米国の金利見通し
米国の9月雇用統計の非農業部門雇用者数は前月比2万9,000人増と市場予想を下回り、8月のインフレ率(Core PCE Price Index)も前年同月比+3.0%と予想を下回りました。この結果、10月27~28日のFOMCの利上げ観測は後退しました。一方、米中間選挙(11月3日)後となる12月のFOMCでの追加利上げの見方は残っています。米国10年国債利回りは、中東情勢が緊迫化して原油高が進めば5.4~5.5%程度に上昇、米国とイランの協議が進展すれば4.9~5.1%程度に低下する展開が想定されます。
■米ドル/円相場の見通し
米ドル/円相場は、9月8日に一時152円台まで円高が進んだ後、FRBの利上げを受けて米ドル高が進み、10月上旬は158円前後で推移しています。日米ともに利上げ局面ですが、政策金利の差は依然大きく、金利面では円安が続きやすいと思われます。一方、160円を超える局面では為替介入への警戒感が上値を抑えやすいとみられます。
中東情勢が悪化し原油高が進めば円安方向、米国とイランの協議が進展し米国金利が低下すれば円高方向への動きが想定されます。また、10月29~30日の日銀金融政策決定会合で、多くの市場参加者の想定通りに利上げが行われるかという点も注目です。以上を踏まえ、為替介入がなければ、今後30日間の想定レンジは156~161円程度と予想されます。
■投資アイデア
米国は利上げ局面に入ったものの、中東情勢や米国の政治状況の不確実性を踏まえると、特定のシナリオに限定せず、年限を分散する組み合わせが選択肢の一つと考えられます。
米国国債では、残存1年~2年程度の債券で価格変動リスクを抑えつつ再投資余力を確保し、残存10年~20年程度の利付国債で5%台の利回りを確保するバーベル戦略が考えられます。米ドル建社債では、投資適格の日本企業が発行する表面利率5%台、残存8年前後の銘柄が、外貨ベースでの利金収入源として選ばれやすいと思われます。ただし、コール条項付き銘柄の期限前償還リスク、信用リスク、為替変動リスクを購入前に十分検討する必要があります。
SBI証券で前月販売件数上位の米国国債(販売中)を探す
ここでは「かんたん検索」を使って、前月販売件数上位の米国国債(販売中)を探してみます。
- SBI証券のトップページにアクセスし、PCの場合は「債券トップ」の左横のメニューから「外貨建」の「+(プラス)」でメニューを広げて、「既発債券」をクリックします。スマホの場合は「債券トップ」から上段メニューの「外貨建」を選び、ページ中央に表示される「既発債券」をクリックします。
- 次に、検索条件の右に表示されている「かんたん検索」(図表3)から「前月販売件数上位 米国国債(販売中)※残存年数順」を選んでクリックします。
この操作で、対象が10銘柄に絞り込まれました(2026年10月8日時点、図表4参照)。
便利な機能も活用しましょう
- 気になる銘柄は「登録」しておくと、いつでもまとめて確認することができます。
- 「試算」機能を使えば、外貨建債券の場合には、為替変動の影響を含め、購入後の損益をシミュレーションすることもできます。
SBI証券での債券取引の流れやお役立ち機能については、債券取引ガイドをご覧ください。
最後にひとこと
SBI証券で取り扱っている債券の銘柄や条件は、日々変わります。購入前には、必ず最新情報をWebサイトで確認してください。
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図表3 かんたん検索
図表4 前月販売件数上位 米国国債(販売中)※残存年数順(2026/10/8時点)
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