日銀会合通過!反発期待の好業績・中小型6銘柄

日銀会合通過!反発期待の好業績・中小型6銘柄

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2023/01/18

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金利上昇圧力が逆風

東証グロース市場指数は、1/10(火)~1/17(火)に1.3%下落しました。同期間に、日経平均株価は0.1%下落、TOPIXは1.2%上昇していたので、それらをアンダーパフォームした形になっています。

この期間に先立つ昨年12/26(月)~1/10(火)、日経平均株価が0.9%下落、TOPIXが0.1%下落していたのに対し、東証グロース市場指数は3.7%上昇していましたので、1/10(火)~1/17(火)はその反動が表れたものとみられます。国内の債券市場では、10年国債利回りが、1/10(火)に許容変動幅上限の0.5%に上昇した後、1/13(金)には上限を超え、0.545%まで上昇。市場で金利上昇圧力が強まり、グロース銘柄に強い逆風が吹いたことも影響したと考えられます。

1/10(火)~1/17(火)の東証業種別指数の傾向をみると銀行、鉄鋼、非鉄などバリュー系の銘柄の上昇が目立ち、グロース銘柄が多い情報・通信などは下落していました。また、日経平均株価の高寄与度銘柄であるファーストリテイリング(9983)が1/13(金)に急落したこともあり、日経平均株価とTOPIXの間にもパフォーマンスに差が生じました。

東証グロース市場の時価総額上位では1/10(火)~1/17(火)の期間、貸会議室を展開するTKP(3479)の下げが目立ちました。1/12(木)に2023/2期第3四半期の決算発表を実施。子会社を三菱地所に売却し、特別損失67億円が見込まれ、第3四半期累計の最終損益も22億円超の赤字(前年同期は29億円超の赤字)となったことが嫌気されました。

もっとも、コア事業の好調で、同四半期累計の営業利益は27億円超を計上し、前年同期の11億円赤字から大きく改善しています。子会社売却で有利子負債の削減が進むことに加え、営業利益率も改善する見込み(会社資料)です。株価は売り一巡後、一進一退となっています。

時価総額100億円以上の幅広い銘柄の中では同期間、ENS領域で事業を展開するビザスク(4490)の上げが目立ちました。同社の詳細については次項でご説明したいと思います。

図表1 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

図表2 主な東証グロース市場指数構成銘柄の値動き

図表3 1/10(火)~17(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

日銀会合通過!反発期待の好業績・中小型6銘柄

前項でご説明した通り、足元の東京株式市場は、やや軟調でした。しかし、1/18(水)まで開催の日銀金融政策決定会合では、金融政策の現状維持が決定されました。当面の金利上昇圧力の後退は東証グロース市場にとって追い風になると期待されます。

今月下旬からは、2022年10~12月期の決算発表が始まります。グローバル景気の減速・悪化もあり、上場企業の業績に対しても楽観は禁物となるかもしれません。特に、中小型株については、決算や業績予想修正、それに関した観測報道等により、株価が大きく変動し得る季節と考えられます。

そうした中、すでに決算発表を終えた銘柄については、上記のリスクが後退することに加え、好業績銘柄の場合、市場の評価向上による買いも期待できるかもしれません。そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、決算発表直後の好業績銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。

(1)東証グロース市場、または同スタンダード市場に上場
(2)時価総額100億円超~1,000億円未満(1/13時点)
(3)1営業日当たりの平均出来高が2万株超(1/13までの20営業日)
(4)決算月が次のいずれか・・・2月、5月、8月、11月
(5)四半期(累計)営業利益が黒字
(6)四半期(累計)営業利益が前年同期比黒字転換、または同増益率が30%超で、通期会社予想増益率を上回っている
(7)四半期(3ヵ月)営業利益が前年同期比で増益。または赤字縮小
(8)直近の決算発表と同時に通期会社予想営業利益の下方修正を行っていない

図表4は、上記の条件をすべて満たしています。また、銘柄の掲載は四半期(累計)営業増益率が高い順となっています。

図表4 日銀会合通過!反発期待の好業績・中小型6銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(1/17)
騰落率
(12/1~)
四半期増益率 今期予想
営業増益率
4490 4490 4490 4490 ビザスク(2) 1,714 -15.7% 黒字転換 赤字
8908 8908 8908 8908 毎日コムネット(5) 664 -5.8% 185.9% 1.8%
8931 8931 8931 8931 和田興産(5) 949 10.5% 148.1% 10.7%
7352 7352 7352 7352 Branding Engineer(8) 863 12.2% 140.0% 30.1%
7373 7373 7373 7373 アイドマ・ホールディングス(8) 4,075 -17.2% 83.4% 23.8%
7610 7610 7610 7610 テイツー(2) 134 -11.8% 46.4% 8.2%
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとに、SBI証券が作成。
  • ※銘柄名右カッコ内の数値は決算月。
  • ※「四半期」は2月決算の場合2023/2期第3四半期(累計)、5月決算の場合2023/5期第2四半期(同)、8月決算の場合、2023/8期第1四半期を示しています。「増益率」は前年同期比。
  • ※テイツー(7610)は1/17(火)時点で、信用取引上の「日々公表銘柄」「注意喚起銘柄」となっていますので、ご注意ください。


■ビザスク(4490)~大型買収を経て世界ナンバーワン「ナレッジプラットフォームサービス」企業への成長を目指す

同社は、ENS(Expert Network Servise)領域で事業を展開しています。業界調査やユーザー調査、専門家の知見などを必要としている企業と専門家をマッチングし、インタビュー等をアレンジしています。ENS市場は、リサーチ市場やコンサルティング市場など巨大な市場と隣接しており、それらを取り込みながら年率(CAGR)17%(2015~2020)のペースで成長を続けています。2021年11月に、同業であり先駆者でもある米Coleman Research Group Inc.を約112億円で買収し、世界ナンバーワン「ナレッジプラットフォームサービス」企業への成長を目指しています。
2023/2期第3四半期(累計)の売上高は63億円(前年同期比3.3倍)、営業利益は0.88億円(同黒字転換)となりました。オーガニックな事業成長(既存事業を活かした自律的な成長)に買収効果が加わり、業容が拡大しています。のれん代償却を除く営業利益は6.6億円(前年同期比64%増)と好調でした。通期の会社予想営業利益は、のれん代償却前で6.1億円(前期比18.3%減)、償却後で営業赤字2億円ですが、業績は順調といえそうです。株価は1/13(金)の決算発表後、1/16(月)にはストップ高になるなど堅調なようです。



■毎日コムネット(8908)

学生マンションのディベロッパーを担う企業です。用地開発から施工、建物管理に至るまで一気通貫で請け負っています。主力である不動産ソリューション事業(全売上高の87%、2022/5期)の他に、新卒採用支援や合宿・研修の企画・販売などを行う学生生活ソリューション事業(同13%、同)も展開しています。入学シーズン時期や企業の採用活動の時期の特性上、第4四半期(3-5月)に売上高が偏重する傾向があります。

1/12(木)に発表された2023/5期第2四半期決算では、売上高113億円(前年同期比51%増)、営業利益が8.6億円(同186%増)と好調な内容でした。新卒採用などを行う人材ソリューション部門は、前述した季節変動性から第2四半期累計では創業以来赤字でしたが、初の黒字となりました。通期の業績見通しに関しては、第4四半期(2023/3-5期)に売上が偏重する傾向であるため、第2四半期時点では変更は行わないとしています。ただ、進捗状況により速やかに公表すると言及しており、今後に上方修正の期待を残した形です。

株価は不動産株であるため、金利上昇観測が逆風となりやや軟調でした。逆に、金利上昇観測の後退は追い風になりそうです。

■和田興産(8931)



神戸・明石・阪神間を中心に、分譲マンションの販売を主力事業とする会社です(全売上高の74%、2022/2期末)。「ワコーレ」シリーズを手掛けており、近畿圏マンション供給ランキングにおいて供給棟数第2位(2021年)、神戸市内供給棟数24年連続第1位(1998年~2021年)を獲得しています(当社HPより)。

1/6(金)に発表された2023/2期第3四半期決算では、継続的な政策支援や住宅ローン金利の低位安定を理由に、売上高383億円(前年同期比61%増)、営業利益46億円(同148%増)とかなり好調な内容でした。通期は第4四半期を残すのみで、進捗率は売上高91%、営業利益は既に108%と達成されています。ただ、不動産業界と金融政策は住宅ローン等がかかわる関係上、金融引締めが業績の痛手となる傾向です。日銀は現時点で否定しているものの、大規模金融緩和に関し政策変更の動向は注意を払う必要があります。また、出来高に関しては、比較的少なめの銘柄となっている点には売買の際ご留意ください。

なお、1/18(水)まで開催の日銀短観で、金融政策は現状維持となりました。金利上昇観測の後退は当面、当社の追い風になりそうです。



■Branding Engineer(7352)

ITエンジニアに特化した事業を展開する企業です。フリーランスエンジニアと企業をマッチングさせるMidworks事業を主軸に成長しました。IT市場に関しては、DXの活発化や5Gの本格普及、在宅勤務等の働き方改革などを背景に拡大傾向です。同社事業も、需要増により2013年の創業来、9期連続増収を達成しています。

1/13(金)に発表された2023/8期第1四半期決算では、売上高22億円(前年同期比61%増)、営業利益0.49億円(同140%増)と前期から飛躍した形です。一方、株価は同決算通過後に下落となっています。通期業績予想に対する進捗率は、売上高が25%と標準ですが、営業利益は19%と遅れている印象です。会社側は今期(2023/8期)を戦略的投資期間と位置付けています。そのため、採用や広告投資を強化する予定であり販管費の増加が見込まれます。同決算では、四半期ベースで過去最大級となっています。



■アイドマ・ホールディングス(7373)

日本がこれから直面するであろう労働人口減少という社会課題の解決を、事業活動を通じて取り組む会社です。企業が効果的な営業活動をするためのコンサルティングサービスを事業の主軸にしつつ、営業活動に必要な機能を搭載したクラウド営業ツール『Sales Crowd』の提供や、主婦のための在宅ワーク求人サイト『ママワークス』の運営等に取り組んでいます。近年は、M&Aによる事業拡大が活発です。

1/12(木)に発表された2023/8期第1四半期決算では、売上高20億円(前年同期比65%増)、営業利益7.5億円(同83%増)と大幅増益増収となりました。一方、主力の営業支援サービスにおいて商談受注率が前年同期方1.5%ダウンしたことが嫌気され、株価は同決算通過後に下落しています。商談受注率の低下に関しては、すでに改善施策は実施済みで、受注率の回復をはかっています。会社資料によると、第2四半期の初月にあたる12月は、前期第2四半期の受注率(10.5%)を大幅に上回る受注率での着地だったようです。



■テイツー(7610)

「古本市場」や「トレカパーク」を中心に全国で約100店舗を展開している会社です。近年では、トレカ(トレーディングカード)の市場拡大が、当社の好業績をけん引しています。カード単体での買取・販売にとどまらず、AI(人工知能)を使ったトレカ自動査定機・販売機の販売等を手掛けるなど新たな事業にも注力している最中です。

1/16(月)の2023/2期第3四半期決算発表後、株価は16%超の大幅安となっています。ただ、同決算の内容自体は、売上高217億円(前年同期比15%増)、営業利益12億円(同46%増)と堅調でした。第3四半期時点での進捗率も、売上高77%、営業利益89%と好調です。同社株は1/17時点で1株134円と低位株で、個人投資家にとり売買しやすく、ボラティリティも高くなっています。お取引の際はご留意ください。

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