日経平均が反発!今後は?

日経平均が反発!今後は?

投資情報部 淺井一郎/栗本 奈緒実

2023/01/10

トレンドが変化した2022年

12月第4週(12/26-30)および1月第1週(1/4-6)の日経平均株価は合計で▲1%となりました。

クリスマスや年末年始で休場日が多く、手掛かり材料に乏しく、世界的な景況感の悪化から景気敏感株が売られる展開が続きました。新型コロナウイルスの規制緩和に舵を切った中国で、感染者数が急拡大していることも懸念材料となりました。日銀による長期金利の許容変動幅拡大で12月第3週に急騰していた銀行株は、一旦は落ち着きを見せています。

図表7 日経平均株価採用銘柄の上昇率上位(12/23~1/6)の首位は、日本板硝子(5202)です。特段の買い材料が見当たらない中、昨年末から勢いよく上昇が続いています。他には、行動規制緩和による客足の回復等で通期(2023/2期)純利益予想を上方修正した高島屋(8233)が8%超の大幅高となりました。

図表8  日経平均株価採用銘柄の下落率上位(12/23~1/6)では、食料品や医薬品といったディフェンシブセクターが目立ちました。他には、高配当利回り銘柄の日本たばこ産業(2914)や大手海運株等の顔ぶれが並びました。なお、海運株は景気悪化観測によりコンテナ船運賃の下落が続いていることも重荷となっています。2022年は株式市場全体が弱含む中、図表8の銘柄は比較的堅調なパフォーマンスであった銘柄が多いため、手仕舞い売りがあった面もありそうです。

2022年の株式市場は世界的に軟調な展開が続きました。

日経平均株価は、2021年末からの2022年末までで▲9.4%という結果です。同期間のNYダウは、▲8.8%でした。日米両市場ともに、FRBの金融引締め強化による米金利の上昇や、戦争による地政学リスクの悪化でグロース株へのダメージがより顕著でした。東証マザーズ指数は同期間▲26.1%、ナスダックは▲33.1%となっています。

グロース株にとって2022年は向かい風の強い1年であった一方、日本のバリュー株はTOPIXバリュー指数が+5.2%と好パフォーマンスを残しています。2022年は、パンデミック後の金融緩和で続いたグロース株高を中心としたトレンドの転換点となった年でした。

2022年末(12/19-20)の日銀金融政策会合では、長期金利の変動許容幅が拡大され、日銀が金融緩和から方向転換をするのではないかとの見方が市場で強まっています。これに対し、日銀の黒田総裁は金融引締めへの政策変更を同会合後に否定しています。しかしながら、総裁交代を2023/4に控えていることもあり、市場では依然として日銀の大規模金融緩和政策の方向転換の始まりと受け止める見方が強くなっています。同会合でのイールドカーブ・コントロールの変更を受けてからは、銀行株全体で上昇トレンドが続いています。

基本的に近年の日本の株式市場は主要な海外市場の値動きに連れて動くことがほとんどでしたが、2023年は日銀の金融政策の動向が日本株独自の変動要因となるとみられます。

1/10(火)の休場明け、1月第2週の東京株式は上昇して寄り付きました。米12月雇用統計で賃金の伸び鈍化からFRBの金融引き締めに対する警戒感が後退し、前週末の米国株が大幅高したことが好感された形です。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の上昇率上位(12/23~1/6)

図表8  日経平均株価採用銘柄の下落率上位(12/23~1/6)

日経平均が反発!今後は?

昨年12月半ばから年末にかけて、日経平均は軟調に推移しました。株価下落の背景には、米国の金融引き締め懸念に加え、これまで超緩和的な金融政策を続けてきた日本でも、昨年12/19-20開催の日銀金融政策決定会合において、金融緩和路線の修正と受け止められるような政策変更が行われたことが挙げられます。特に、日銀の政策変更は市場にとってサプライズのタイミングだったこともあり、その後も、さらなる政策変更への思惑が、株価を抑制したと見られます。

一方、今年に入ってからの日経平均は、大発会(1月4日)に一時400円超の下落となるなど、波乱の幕開けとなりましたが、その後は週後半にかけて反発に転じています。テクニカル指標の1つである日経平均の25日移動平均乖離率は、1/4に下げ目途とされる▲5%超に達しており、買い戻しの動きが入ったと考えられます(図表9)。

他のテクニカル指標を見ても、東証プライム市場の騰落レシオ(25日)が、昨年末に売られ過ぎの目安となる80%を割り、1/4には75.9%へ低下。また、日経平均のRSI(14日)についても、1/5に13.6%と売られ過ぎの目安となる30%を大きく下回りました(図表10)。こうした指標を見ても、日経平均が反発に転じた可能性が示されています。

確かに足元の日経平均は底入れしたように見えます。しかし、ここで注意しなければならないのは、現状の反発が短期に留まる可能性でしょう。25日移動平均線は(▲5%乖離を達成したとは言え)下向きトレンドにあり、相場の下落局面が変わっていません。また、前述した株価抑制要因である日銀の政策変更への思惑は、日銀次期総裁人事の行方(黒田氏は4月に任期満了の予定)と相まって、当面は相場の重石として残るでしょう。日経平均が本格的な反発局面を迎えるのは、もう少し後のことになると考えられます。

図表9 日経平均株価と25日移動平均乖離(かいり)率

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表10 日経平均のRSI(14日)と東証プライム市場の騰落レシオ(25日)

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

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