直近で好業績を発表し、株高期待の中小型株

直近で好業績を発表し、株高期待の中小型株

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2023/07/19

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直近で好業績を発表し、株高期待の中小型株

東京株式市場では、日経平均株価が7/6(木)に25日移動平均を下回るなど、調整局面となりました。速すぎる上昇ピッチへの警戒感や、需給悪化に対する懸念、円高・ドル安への転換等が影響したと考えられます。

しかし、7/12(水)に32,000円を割れた後は、落ち着きを取り戻しつつあります。日経平均の騰落レシオ(25日)が1月以来の低水準となり過熱感が後退してきたこと、需給悪への懸念が後退したこと等が要因とみられます。円高・ドル安も7/13(木)以降落ち着きつつあります。ここにきて米主要株価指標が相次ぎ年初来高値を更新してきたことも追い風になっています。

そうした中、6/21(水)高値1,100ポイントから7/12(水)985ポイントまで10%下げた東証グロース市場指数も、調整一巡の様相を強めています。ここもと、米インフレ指標の落ち着き等を背景に、米10年国債利回りの上昇も一巡しており、金利上昇に弱いグロース銘柄にも反発チャンスが訪れています。そこで、「新興株ウィークリー」では、今後株高が期待できるような好業績銘柄を抽出すべく、以下のようなスクリーニングをおこなってみました。

(1)東証グロース市場、または東証スタンダード市場に上場

(2)時価総額100億円以上1,000億円未満

(3)7/14(金)までの20営業日、1営業日当たりの平均出来高が2万株超

(4)決算月が2月、5月、8月、または11月の銘柄

(5)通期会社予想営業利益が黒字予想

(6)四半期(累計)営業損益が前年同期比20%超増益で、通期会社予想営業増減率を超過

※5月決算銘柄は前期営業損益が前期比20%超増益で、通期会社予想営業増減率を超過

(7)直近四半期営業利益(累計)の通期会社予想営業利益に対する進捗率

    →2月決算銘柄で25%超、11月決算銘柄で50%超、8月決算銘柄で75%超、5月本決算銘柄は未考慮

(8)2023.3-5期(3ヵ月)の営業利益が前年同期比で増益(比較不能の場合は未考慮)

(9)信用取引上の規制・注意喚起がない

図表2の銘柄は、上記の条件をすべて満たしています。掲載の順番は、(6)の四半期営業増益率が大きい順としました。

ご参考までに、図表1「7/11(火)~18(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄の銘柄」についても、以下のように、上記の2月、5月、8月、11月決算銘柄のうち、決算発表を経た銘柄が中心となっています。

・きずなホールディングス(7086)・・・7/14(金)に23.5期本決算を発表。24.5期営業利益36%増を好感。

・ベースフード(2936)・・・7/14(金)に24.2期1Q決算を発表。売上・粗利が伸長。営業赤字も期初予想を上回る。

・エヌ・ピー・シー(6255)・・・7/12(水)に23.8期3Q決算を発表。発表前に株価下落。発表で悪材料出尽くし?

・ジェイフロンティア(2934)・・・7/14(金)に23.5期本決算を発表。24.5期の黒字予想転換を好感か。

・FPパートナー(7388)・・・7/14(金)に23.11期2Q決算を発表。通期の業績・配当予想を上方修正。

【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

■図表1 7/11(火)~18(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表2 直近で好業績を発表し、株高期待の中小型株

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(7/18)
四半期営業増益率 今期会社予想増益率 備考
9560 9560 9560 9560 プログリット(8) 970 84.3% 41.1% 英語コーチングサービス(売上構成比70%)とサブスク型英語学習サービス(同30%)を展開。3Q時点で営業利益の進捗率は95%
7352 7352 7352 7352 TWOSTONE&Sons(8) 1,420 66.3% 30.1% ITエンジニアに特化。企業紹介、転職支援、情報収集等キャリアに関するトータルサービスを展開。超過利益を原資に積極的投資を計画。9期連続増収増益の達成見込む
9558 9558 9558 9558 ジャパニアス(11) 3,035 56.3% 22.3% 技術者派遣。創業来黒字。社員のリスキリングで多様化するIT業界のニーズに対応。安定増益達成に強気な見通し
8931 8931 8931 8931 和田興産(2) 1,085 51.0% -6.6% 分譲マンション販売が主力。「ワコーレ」ブランドで神戸市・京阪神を主要エリアとして展開。1Q時点で営業利益の進捗率42%超、通期予想を上方修正
9275 9275 9275 9275 ナルミヤ・インターナショナル(2) 1,028 30.1% 5.6% 子供服大手。百貨店向け「メゾピアノ」、ショッピングセンター向け「プティマイン」等。販売チャネルの多様化を加速。行動規制緩和で業績上向き
6083 6083 6083 6083 ERIホールディングス(5) 1,818 20.9% 3.2% 建築物等に関する専門的第3者機関として、評価、格付け、検査等を行う。省エネ基準義務化建物の対象拡大等が追い風に
  • ※Bloombergデータ、会社公表データ、各種報道等をもとに、SBI証券が作成。
  • ※銘柄名右横カッコ内の数字は決算月。
  • ※「四半期営業増益率」は、2月決算銘柄の場合24.2期1Q累計(23.3-23.5)、5月決算銘柄は23.5期本決算(22.6-23.5)、8月決算銘柄の場合23.8期3Q累計(22.9-23.5)、11月決算銘柄の場合、23.11期2Q累計(22.12-23.5)

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■ジャパニアス(9558)~技術者派遣。1999年の創業来20年超の黒字が続く。堅実成長でプライム市場への移行を目指す

★日足チャート(1年)

  • ※データは7/19(日足) 11:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■エンジニア派遣が主軸。AIやクラウド等の新領域も展開。

IT業界において、エンジニア派遣業と受託開発を展開する企業です。主軸のエンジニア派遣では、約9割が顧客企業先へ常駐しています(22.11期)。

IT人材の需要動向が業績を左右する重要な要素です。国内ではIT需要の拡大に反し、人材供給力が低下することから、2023年にはIT人材が約16万人から約79万人不足すると推計されています(経産省の調査・会社資料より)。同社のみならず業界全体で、IT人材獲得のための競争激化が課題です。

事業領域を2分類しています(下記)。

既存領域・・・ソフトウエア、インフラ、メカトロニクス、エレクトロニクス
新規領域・・・Salesforce、クラウド、AI

中計では、既存領域での取引の維持・拡大はもちろん、新規領域で取引拡大が目標です。専門人材の採用の他、既存領域に属するエンジニアの技術転換及び資格取得により、取引の拡大を図っています。ニーズが多様化するIT業界において、リスキリングによる社員教育に注力しています。

原価計算を徹底することで、1999年の創業来、黒字成長を続けています。2022年に満を持して東証グロース市場に新規上場を果たしました。

■今期も業績目標達成へ向け順調。プライム市場へ移行目指す

前期(22.11期)は売上高83億円(前期比14%増)、営業利益6.1億円(同78%増)と旺盛なエンジニア需要を背景に、堅調な結果となりました。売上高増の他、エンジニアのスキルに見合った案件への戦略的な配置異動やスクール研修での育成が奏功し、単価向上へと繋がった格好です。

7/10(月)に発表された今期2Q(22.12-23.5期)決算では、売上高47億円(前年同期比20%増、通期計画の進捗率49%)、営業利益3.9億円(同64%増、同52%)と好調な内容でした。特に伸長の目立った利益面では、売上増で1.9億円、原価率改善で0.6億円寄与しました。

ただ、通期業績見通しに関しては景気不透明感を理由に据え置きとしています。

東証プライム市場へ区分替えを見据えており、「5年以内に達成するだろう」と同社の代表が、4月のインタビューで述べています。プライム市場の上場基準のひとつである流動株式比率35%以上に関しては、自身の保有株を放出するだろうと言及しています。

■ERIホールディングス(6083)~利益、株価ともに過去のレンジを上放れ?

★週足チャート(2年)

  • ※データは2023/7/19(週足)11:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■建物の評価、格付け、検査を実施するパイオニア的企業

建築物等に関する専門的第3者機関として、評価(Evaluation)、格付け(Rating)、検査(Inspection)等を行っています。

「確認検査事業及び関連事業」(前期売上構成比52%)では、建築基準法に基づく建築確認検査機関として建築確認、中間検査、完了検査等を行っています。また、「住宅性能評価及び関連事業」(同21%)では、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅性能評価機関として、設計住宅性能評価、建設住宅性能評価等を行っています。さらに、「ソリューション事業」(同13%)、「その他」(同14%)に展開しています。

7/11(火)に発表された23.5期本決算では、売上高が174億円(前期比7%増)、営業利益が23.2億円(同20%増)と増収増益になりました。3/30(木)付で通期予想営業利益が16.7億円から20.5億円に上方修正されていましたが、それをさらに上回りました。

24.5期の会社計画は売上高185億円(前期比6%増)、営業利益24億円(同3%増)と増収増益が見込まれます。中期計画では25.5期に営業利益23億円の計画でしたが、7/11(火)に25億円へと上方修正しました。

■省エネ基準適合化対象の拡大など、法改正が追い風か

業績的には21.5期まで、売上高がおおむね150億円以下、営業利益が10億円以下で推移してきました。しかし、22.5期に売上高161億円、営業利益19億円と収益の「壁」を上へ突破した形です。

省エネ基準への適合が義務付けられる建築物が「大規模のみ」から「中規模」へも拡大され、「省エネ適合判定売上高」が増加したこと等が寄与した形です。

それでも省エネ基準への適合は現在「非住宅」分野に限られていますが、25年4月には、小規模非住宅や住宅全体に拡大し、新たな適合義務対象建物は年間49.3万件(国土交通省・会社資料)に達すると推測され、同社のビジネスチャンス拡大につながると期待されます。

省エネ基準適合化対象に合わせ、木造住宅等の構造審査を省略できる「4号特例」の縮小も計画されており、構造計算の審査対象が年間30万棟(国土交通省・会社資料)増える可能性もありそうです。

会社計画では24.5期、25.5期と営業利益は高原状態の想定ですが、同社のビジネス拡大につながる法改正は多いように思われます。株価は、好決算を受け、21年11月高値1,755円を上回り過去最高値圏にありますが、会社予想EPS(1株利益)199.64円、7/18(火)終値1,818円から計算される予想PERは9.1倍に過ぎません。予想EPS、予想PERともに将来の上昇に期待がかかります。

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