決算発表シーズン開幕!ズバり注目は?

決算発表シーズン開幕!ズバり注目は?

投資情報部 淺井一郎 栗本奈緒実

2023/07/18

日経平均は横ばい。円高が痛手となるが、米グロース株高で半導体関連が堅調

7月第2週(7/10-14)の日経平均は前週末比2円84銭高(+0.01%)と横ばい。週前半には、日銀の金融緩和の修正観測が広がり、円高ドル安が進行。円安を背景に長らく上昇相場をけん引してきた輸出関連銘柄が売られました。後半は米インフレ鈍化が確認されたことが好感され、半導体関連株などを中心に買い直しが入った形です。

7/10-17の米国市場では、S&P500が+2.8%に対し、構成銘柄のほとんどがグロース株のナスダックは+4.3%と大きく上回るパフォーマンスでした。6月CPI(消費者物価指数)と企業のインフレ指標であるPPI(生産者物価指数)は、発表前からインフレ鈍化への期待感が織り込まれていました。結果は、予想通りインフレ鈍化が確認される内容でした。ただ、前年同月比の場合、比較対象がロシアのウクライナ侵攻で物価が急騰した時であるため減速が早いペースで確認できていると、複数の市場参加者が指摘する声が聞こえます。

日経平均株価採用銘柄の上昇率上位(7/10~14、図表7)では、半導体試験装置市場の大手アドバンテスト(6857)がトップです。週後半では米SOX指数の上昇を受け、主要半導体株が連れ高となりました。6位のシリコンウエハ大手SUMCO(3436)は、経産省が新工場建設費用の約3分の1(750億円)を補助すると発表したことで、投資費用圧縮が期待された格好です。

日経平均株価採用銘柄の下落率上位(7/10~14、図表8)では、円高ドル安が重しとなり海外売上高比率が高い、輸送用機器や機械から複数銘柄がランクインとなりました。

7月第3週の日経平均は、週明け7/17(月)に休場を挟み、米株高を背景に7/18(火)の寄り付き段階では上昇となっています。今週は米大手企業や世界最大の半導体メーカーTSMC(TSM)の決算発表に注目です。日米欧の中銀は、翌週に会合を控えています。各中銀で期間はまちまちなれど、対外発言等が控えられる期間にあたるため、金融政策動向に関しての動きは少ないと予想されます。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の上昇率上位(7/10~14)

図表8 日経平均株価採用銘柄の下落率上位(7/10~14)

決算発表シーズン開幕!ズバり注目は?

今週から3月期決算企業(および6・9・12月期決算企業)の23年4-6月期決算発表シーズンが始まります。主要銘柄では、ニデックが20日に決算発表を予定しておりますが、本格化するのは来週以降であり、最も多くの企業が決算発表を行うのは8/10(779社が決算発表予定)となります。

3月期決算企業にとって今回の決算発表は第1四半期であり、通期に対してまだまだ業績は序盤にすぎません。ただ、それでも投資家は、企業業績が順調に進捗しているのかを確認するべく、その目を光らせるとともに、決算の内容に一喜一憂することになります。

図表9 東証上場企業(3・6・9・12月期決算)の決算発表社数

  • ※日本取引所グループ(JPX)のデータをもとにSBI証券が作成

企業の多くは、決算短信などを通じて、中間期や通期の業績予想(会社計画)を開示しています。しかし、四半期ベース(第1・3四半期)の業績予想を開示している企業は少数であり、そのため、第1四半期時点の業績が、会社計画を上振れしているのか、あるいは下振れしているのか、その進捗を見極めるのは少々、困難だと考えられます。

そこで投資家が注目しているのは、アナリストによる(四半期ベースの)業績予想となります。図表10では、主要銘柄(日経平均構成の3月・12月決算銘柄。直近時価総額4兆円以上)における23年4-6月期(12月期決算企業は1-6月期)のQuickコンセンサス予想(Quick社が集計するアナリスト予想の中央値)を掲載しております。企業の決算の内容を評価する目線の1つとして、参考にして頂きたいと思います。

図表10 主要企業の決算発表予定日とQuickコンセンサス予想

  • (出所) Quick Workstation Astra Manager、日本取引所ブループ(JPX)よりSBI証券作成
  • ※は12月期決算企業で業績は23/1-6月期(上半期)。他は3月期決算で業績は23/4-6月期。
  • 市場予想はQuickコンセンサス予想。
  • 日経平均構成銘柄のうち23年6月が四半期末となる企業、かつ直近時価総額4兆円超。
  • この表は客観的データを示す目的で作成されており、銘柄推奨の意図はありませんので、ご注意ください。

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