第1四半期決算発表本格化!好業績期待の中小型株7銘柄

第1四半期決算発表本格化!好業績期待の中小型株7銘柄

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2023/07/26

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第1四半期決算発表本格化!好業績期待の中小型株7銘柄

東京株式市場では、日経平均株価が一進一退の動きとなっています。6月末には33,000円を少し上回る水準にありましたが、7/25(火)時点では32,682円にとどまっており、「7ヵ月連続の月足上昇」は微妙かもしれません。

米国市場では、NYダウが7/25(火)まで6年5カ月ぶりの12連騰になるなど、一見、株価は順調です。しかし、テスラやネットフリックスが決算発表後に下げ、台湾TSMCが約4年ぶりの減収減益決算に陥るなど、主力テック株には波乱の兆しも見えます。東京株式市場でも半導体株の調整は長引いており、日経平均の上値を抑えています。

そうした中、7月第4週は重要日程が目白押しです。無論、FOMC(米連邦公開市場委員会)、ECB(欧州中銀理事会)、日銀金融政策決定会合と続き、主要国・地域の金融政策動向から目を離すことができません。米GDP速報や、同国PCE物価指数等、見落とすことができない重要経済指標の発表もあります。株価を動かす材料には事欠きません。

さらに、国内上場企業の決算発表も、足元で本格化しつつあります。中小型株は、業績変動で株価が大きく変動するケースも多くなりやすいです。この時期の株式投資は、決算発表スケジュールを頭に入れながら、注意深くのぞむことが重要と考えられます。

今回の「新興株ウィークリー」では、第1四半期(23.4-6期)に好業績の発表を期待できるような中小型株を抽出すべく、以下のようなスクリーニングを行なってみました。

(1)東証グロース市場、または東証スタンダード市場に上場

(2)時価総額100億円以上1,000億円未満

(3)7/21(金)までの20営業日、1営業日当たりの平均出来高が2万株超

(4)3月決算銘柄

(5)決算発表予定日が7/28(金)以降

(6)23.3期4Q(23.1-3期)の営業利益が前年同期比50%超増益

(7)24.3期(通期)の会社予想営業利益が10%超の増益

(8)(6)での増益率が(7)の増益率を上回っている

(9)信用取引上の規制・注意喚起等がない

(10)日銀短観(6月)の業況判断について、「最近」が3月調査の「先行き」を上回る業種に属している(大企業ベース)

    ※東証33業種の「情報・通信」に属す銘柄は、業務内容が「情報サービス」(短観での分類)の銘柄を残しました。

    

図表2の銘柄は、上記の条件をすべて満たしています。掲載の順番は、(6)の4Q(22.1-3月期)営業増益率が大きい順としました。

今後、8月中旬までに決算発表を実施する予定の銘柄は、3月、6月、9月、12月を本決算とする銘柄です。7/12(水)付の当レポートでは、9月、12月決算銘柄を対象としました。ただ、東証スタンダード市場およびグロース市場銘柄の半分強は3月決算銘柄です。この決算期の銘柄は、これから発表されるのが第1四半期の数字であり、24.3期の業績に関する実績データが、現状では何もないため、好業績か否か予想することは確かに困難です。

そこで、基本的には直前四半期であった23.3期4Q(23.1-3期)の営業利益に勢いがある銘柄を選ぶことにしました。さらに、日銀短観による業種ごとの業況判断を参考に、3月末から6月末までに業況が改善している業種から選ぶことにしました。基本的に、決算発表日をまたいでの銘柄保有には相応のリスクがありますので、ご注意ください。

【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 7/18(火)~25(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 第1四半期決算発表本格化!好業績期待の中小型株7銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(7/25)
23.1-3期営業増益率 24.3期会社予想営業増益率 備考
6249 6249 6249 6249 ゲームカード・ジョイコホールディングス(8/10) 4,465 447.7% 12.0% パリンコ・パチスロ向けのプリぺイドカードシステム大手。「スマパチ・スマスロ」の導入で、大幅増収増益。前期4Qは前年比447%増
5013 5013 5013 5013 ユシロ化学工業(8/4) 1,121 375.5% 92.6% 金属を機械加工する際に用いられる金属加工油剤ではアジアのトップブランド的存在。利益のほとんどは海外から。自動車生産の回復が追い風
7991 7991 7991 7991 マミヤ・オーピー(8/2) 1,437 186.6% 16.9% 遊技機関連事業、スポーツ事業が2本柱。スマート機器への置き換えが本格化し、前4Qでは電子機器が大幅増益。24.3期も勢いが継続か
4417 4417 4417 4417 グローバルセキュリティエキスパート(7/28) 5,990 80.0% 47.4% 中小企業向けサイバーセキュリティ教育。前期4Qは概ね当初計画通りに着地。旺盛な需要が続く見通しから、今期も各利益40%以上の増益予想
4667 4667 4667 4667 アイサンテクノロジー(8/9) 2,367 77.8% 51.1% 測量用ソフトウェア『Wingシリーズ』や自動運転分野。4Q決算で今期予想を下方修正。悪材料出尽くしに期待
6357 6357 6357 6357 三精テクノロジーズ(8/10) 1,274 67.0% 44.5% ジェットコースターなどの遊戯機械や、劇場で使用する演出効果用機械等。コンサート、イベント向け需要が大きく回復。経利は3Q赤字から、助成金により従来予想の37%超上振れての着地
8844 8844 8844 8844 コスモスイニシア(8/7) 621 57.5% 11.7% リクルートから独立した不動産ディベロッパー。大和ハウスグループ傘下。業績は4Q(1-3月期)偏重。宿泊事業の利益が大幅改善
  • ※Bloombergデータ、会社公表データ、各種報道等をもとに、SBI証券が作成。
  • ※銘柄名右横カッコ内の月日は決算発表予定。
  • ※23.1-3期営業増益率は、前年同期の営業利益と比較した増減率

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■マミヤ・オーピー(7991)~遊技機関連機器に「スマート化」と「新紙幣」の追い風

★日足チャート(6ヵ月)

  • ※データは7/26(日足) 13:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★四半期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■「電子機器事業」と「スポーツ事業」が2本柱

電子機器事業(23.3期売上構成比66%)、スポーツ事業(同33%)を2本柱とし、他に「不動産事業」に展開しています。

電子機器事業はパチンコホール向け台間機(OEM)など遊技機関連機器、外食店などの券売機として使われる小型自動販売機、メダル・硬貨払出機等の開発、製造、販売、設置、保守等を行っています。

スポーツ事業では、バングラデシュ工場を活用し、ゴルフシャフト(ゴルフクラブのグリップとヘッドをつなぐ棒状の物)や同グローブなどのOEM(米国ブランドのシャフトメーカー向け)生産等を行っています。世界で戦うツアープロに高品質のゴルフシャフトを提供。同社と海外メーカーUSTとの合弁企業である「USTマミヤ」は、藤倉コンポジット(5121)、三菱ケミカル(4188)、グラファイトデザイン(7847)と、日本の4大シャフトメーカーを形成しています。

不動産事業は売上構成比そのものは小さいものの、2期連続で利益を計上しています。24時間365日出し入れ可能なトランクルームサービス等も展開しています。

■遊技機関連機器等に2つの追い風

業績は拡大傾向です。23.3期は売上高159億円(前期比23%増)、営業利益18.8億円(同268%増)と好調でした。このうち、営業利益については、期初の段階では8億円の予想でしたが、2月に14億円、5/9(火)に18.8億円へと、2度の上方修正を経由しての着地になりました。

遊技機(パチンコ・パチスロ)関連市場では、新型コロナの流行もあり、パチンコホールが減少傾向を辿る厳しい環境が続いてきました。しかしここにきて、22年11月にスマートパチスロ、23年4月にスマートパチンコがリリースされるなど、コインやパチンコ玉に触れることなく遊技者が楽しめるスマート遊技機への置き換えが進んでおり、パチンコ関連企業は久々の活況に沸いています。

こうした中、当社の業績も「電子機器」事業の営業利益が23.3期4Q(23.1-3期)に前年同期比で5倍となり、「スポーツ事業」の停滞を吸収し、全社営業利益は前年同期比186%増となりました。

会社側では当面、スマート機器への対応が続くとみています。専用カードユニットの受注にフル操業で対応することによって業績拡大を図りたいとしています。24.3期の会社予想業績は売上高220億円(前期比38%増)、営業利益22億円(同16%増)と増収増益が見込まれています。

25.3期については、新紙幣の発行が24年7月に想定されていることから、その追い風にも期待したい所です。予想PER7倍前後、PBRは0.8倍未満と割安感も強く、好業績が確認されれば、買い直される可能性もありそうです。

■アイサンテクノロジー(4667)~主力製品の「Wingシリーズ(測量用ソフトウェア)」は全国法務局で導入

★日足チャート(6カ月)

  • ※データは2023/7/26(日足)13:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★四半期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■測量分野で活躍。「Wingシリーズ(測量用ソフトウェア)」は全国法務局で導入

測量分野で活躍する企業です。ソフトウェアや計測機器などの製品の開発、販売から請負、サポート等まで一手に行っています。

1970年、愛知県で事務機器販売の会社として創業。測量計算プログラムの開発を契機に測量分野に進出しました。

▻公共セグメント

(売上高構成比:73%、営業利益:89%、23.3期)

主力製品である測量用ソフトウェア「Wingシリーズ」は、全国法務局への導入を始め、約8,000社以上での導入実績があります。不動産登記行政の活性化が追い風です。足元では、2021年に成立した所有者不明の土地問題を解消するための関連法案や、2023年に開始された「相続土地国庫帰属制度」等などが収益確保の期待材料として挙げられます。

▻モビリティ

 (売上高構成比:27%、営利:10%、同)

自動車関連やMaaS*関連市場をターゲットに、製品開発・販売をはじめ、高精度三次元地図データベース構築業務の請負や自走運転システム構築、自走運転の実証実験請負当等を展開。2025年の自動運転実現化に向け、KDDIや三菱商事等をパートナー企業として提携し、積極的に事業を推進しています。

*Mobility as a Service(サービスとしての移動性)。スマホアプリにより、地域住民や旅行者一人一人のト リップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適 に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスです。新たな移動手段(シェア サイクル等)や関連サービス(観光チケットの購入等)も組合せられます 『国土交通省資料より』 。

■直近四半期は大幅増益。今期予想の下方修正は株価に織り込み済みか

前期(23.3期)は44億円(前期比6%増)、営業利益3.3億円(同28%増)と増収増益を達成。新リリースの追加サービスや補助金申請を活用した販促活動などが奏功した形です。4Qに成果物を集中して納品したため、四半期単体の営業利益は前年同期比56%超の増加と大幅増益を達成しました。

一方、人件費や仕入れコストの増加を要因に、今期(24.3期)利益と配当予想を、従来の中計提示数値から下方修正を実施。同決算発表後の株価は16%超の大幅安となりました。7/25(火)時点では、半値戻し水準です。下方修正は株価に織り込みと想定されます。8/9(水)の今期1Q決算発表で堅調な内容を示すことができれば、2,480円(5/10終値、前期決算発表前)を目途とした上昇が期待できるでしょう。

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