好決算発表で株価上昇に期待の中小型株(後編)

好決算発表で株価上昇に期待の中小型株(後編)

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2023/08/16

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好決算発表で株価上昇に期待の中小型株(後編)

8/8(火)から8/15(火)の東証グロース市場指数は▲2.3%と日経平均(▲0.4%)にアンダーパフォームとなりました。米国市場では、対中投資規制の強化が発表され、グロース株の利益確定売りの呼び水となりました。米10年国債利回りや日本の10年国債利回りなど日米金利の上昇もあり、高PER銘柄を中心に売り圧力が強まりました。

一方、同期間は決算発表シーズンが佳境を迎えており、好業績を発表した銘柄が相場の下支え役になりました。大型株から中小型株まで規模の区別なく、業績や見通しに対して市場は素直に反応することが多かったようです。特に、3月を決算月とする企業にとって、4-6月期は第1四半期にあたるため、通期計画を上回れるか、未達になるかを占う重要な数値となります。

そこで「新興株ウィークリー」では、決算発表を実施した中小型株から好決算銘柄を抽出すべく、以下のようなスクリーニングを行なってみました。

(1)東証グロース市場またはスタンダード市場に上場

(2)3月決算銘柄

(3)時価総額100億円以上1,000億円未満

(4)8/14(月)まで10営業日の1日当たり平均出来高が2万株以上

(5)8/7(月)~8/14(月)に決算発表済みの銘柄

(6)1Q(4-6月期)の営業増益率(前年同期比)>通期予想の営業増益率(前期比)

(7)通期会社予想営業利益に対する1Qの進捗率が25%以上

(8)信用取引の規制銘柄、注意喚起銘柄の対象になっていない

    

「図表」の銘柄は、上記の条件をすべて満たしています。掲載の順番は、1Q(4-6月期)の営業増益率順となっています。

【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 8/8(火)~15(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 好決算発表で株価上昇に期待の中小型株(後編)

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(8/15・円)
直前四半期営業利益(百万円) 前年同期比営業増益率 備考
6226 6226 6226 6226 守谷輸送機工業 1,305 535 256% 荷物用エレベーター。物流施設等の建築動向は順調に推移し受注も堅調。生産拠点の国内回帰も追い風。1Qは(営)利益率も前年比3倍弱まで上昇
4231 4231 4231 4231 タイガースポリマー 775 687 1113% ホースやゴムシートが主力。今期(24.3期)からの業績本格回復見込む。海外売上高比率は56%(同)。1Qは日本と米国で業績回復、中国は軟調気味
3392 3392 3392 3392 デリカフーズホールディングス 600 299 767% 野菜の専門商社。外食向けが約82%(同社HPより)。近年では、中食向けミールキットにも注力。人流回復で1Qとして過去最高売上・利益を更新
7481 7481 7481 7481 尾家産業 1,762 881 238% 総合食品商社。外食、社食、ヘルスケア向け等に展開。経済活動正常化やコロナ禍で営業強化したヘルスケアフード業態の伸長等により、業績大幅改善に向け順調
7317 7317 7317 7317 松屋アールアンドディ 522 226 125% 縫製ロボット、縫製自動機。自動車部品向けやメディカルヘルスケア向けに展開。半導体不足の緩和で受注増加。1Qは各利益項目で過去最高を更新
  • ※Bloombergデータ、Quick Workstation Astra Managerデータ、会社公表データ、各種報道等をもとに、SBI証券が作成。

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■守谷輸送機工業(6226)~荷物用エレベーターの国内大手。EC市場の拡大による物流量の増加や、製造業の国内回帰が追い風

★日足チャート(1年)

  • ※データは8/16(日足) 10:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★四半期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■荷物用エレベーターの国内大手。保守・修理等ストックビジネスも

荷物用・船舶用エレベーターを手掛けるメーカーです。

冷蔵・冷凍庫用では国内トップクラスのシェアを誇ります。大手物流会社や大手自動車メーカー、官公庁等が顧客です。オーダーメイドで設計・開発・製造を行い、保守・改修まで一気通貫で対応しています。

▷エレベーターの製造・販売(売上高構成比58%、23.3期)

国内向けエレベーターの新設、入替、国内外向け船舶エレベーターの3サービスで構成。荷物用エレベーターが売上高の81%を占めます。豊洲市場の大半のエレベーターは同社製品です。顧客企業の業種は、食品、金融、製造業から物流まで多岐に亘ります。

▷エレベーターの保守・修理(同42%、同)

法律で義務付けられた定期検査や定期点検、修理サービス等を提供。顧客と保守契約を締結するストックビジネスとして、同社の安定収益源です。保守契約台数は23.3期で6,718台に上り、全国365日24時間対応可能です。

「製造販売と保守メンテナンスのパッケージサービス」が同社の強みです。足元では、EC市場の拡大による物流量の増加や、製造業の国内回帰が追い風です。また、外注費用削減のため、従来外部に委託していた業務の内製化を進め、コスト削減を図っています。

■良好な市場環境が続き受注堅調。1Q決算好調で上場来高値更新

今期1Q(23.4-6月期)決算では、売上高39億円(前年同期比19%増)、営業利益5.3億円(同255%増)と増収・大幅増益を達成。営業利益の進捗率は、半期目標に対し72%、通期目標に対して27%と順調といえそうです。

eコマース市場の拡大や物流施設の大型化、生産拠点の国内回帰などを背景に、市場環境は良好で、受注は堅調。円安等による資材価格の上昇が痛手でしたが、一部資材の国内システムの切り替えや内製化による粗利率の改善等で対応した格好です。また、新規受注時に関しては、販売価格の見直しを進めています。

創業は1950年ですが、新規上場を果たしたのは2022年と最近です。前期(23.3期)は減益予想であったことから、株価も低迷が続き、4月中旬頃は800円台前半まで下落しました。

しかし4/18(火)に23.3期の予想減益幅縮小を発表し、5/12(金)には、今期(24.3期)の大幅増収増益予想を発表。同決算発表を通過し、株価は8/16(水)に上場来高値更新(取引時間中ベース)となっています。

■尾家産業(7481)~外食等へ食品卸を展開。コロナ前の利益水準をはるかに超え最高益更新

★日足チャート(1年)

  • ※データは2023/8/16(日足)11:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■数万アイテムを仕入れ、メニュー等の提案も

外食業態(ホテル、レストラン、居酒屋、事業所給食等)、ヘルスケアフード業態(病院、高齢者施設等)、中食業態(テイクアウト・デリバリー等)を顧客とし、食品卸業をおもな事業としています。

食品メーカーから仕入れる数万アイテムの食材を単に卸売りしているのではなく、外食業態に対しては食材、メニューを提供し、ヘルスケアフード業態には「食べる人にも作る人にもやさしいメニュー」の提案を行っています。こうしたキメの細かいマーケティング力は当社の強みのひとつとみられます。

全国に営業拠点を展開。創業(1947年)は大阪市の個人商店ですが、現在は中日本、東日本への販売が8割超を占め、全国のニーズに幅広く対応できる営業拠点(全国44拠点)を有しています。

24.3期は中期5か年計画の2年目に当たります。「良い会社」を作るために、「生鮮強化」「ヘルスケアフード強化」「女性活躍」「社員満足度業界ナンバーワン」等の施策を実行過程にあります。

■「コロナ」をバネに利益水準が1ステージ上に

2014.3期~2019.3期に同社売上高は700億円台から1,000億円台に拡大傾向になりましたが、利益面では営業利益6~8億円で横ばい状態が長期化してきました。新型コロナの影響が出始めた20.3期から利益が減り始め21.3期には営業損益が18.4億円の赤字となりました。

取引先である外食産業等の業績悪化や、同社が得意とするきめ細かい顧客対応が新型コロナによる人流の制約等で失われたことが響きました。

しかし、コロナで苦しんだ21.3期に、例えばリモート商談やメール対応を駆使し、顧客先のコロナ対策を支援。また顧客への接触機会の喪失を埋めるべく「苦肉の策」ともいえる「オンライン提案会」を実施し、むしろ全国の多くの外食店から参加を受ける状況となりました。

業績はこれらの対策の成果と、外食店等の回復等を背景に、23.3期はまさに「V字回復」となり、営業利益は16億円と上記した14.3期~19.3期の期間の2倍を確保しました。

24.3期の1Q(4-6期)は売上高266億円(前年同期比22%増)、営業利益8.8億円(同238%増)と大幅増収増益。四半期の営業利益が14.3期~19.3期のピーク年間営業利益を上回る、収益力の底上げを印象付ける決算となりました。

会社側はこの決算を受け、通期(24.3期)会社計画売上高を970億円→1,030億円(前期比8%増)、同営業利益を17.5億円→25億円(同47%)に上方修正しました。

株価は2020/9の1,909円が過去最高値で、株価は現在それを下回る水準です。ただ、利益面では過去最高水準へ底上げ傾向にあり、会社予想EPS175.73円に対する予想PERも約10倍(8/15)で割高感に乏しいとみられます。

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