株価大幅下落も業績好調な中小型株11選

株価大幅下落も業績好調な中小型株11選

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2023/11/01

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株価大幅下落も業績好調な中小型株11選

10月末の東京株式市場では、日経平均が前月末比3.1%、TOPIXが3.0%、東証スタンダード市場指数が3.5%、東証グロース市場指数が11.1%それぞれ下落しました。東証グロース市場指数の終値は834.19ポイントと、月足として4ヵ月続落し、6/21(水)に付けた年初来高値1,092.99からの下落率は23.7%に達しました。10/26(木)には年初来安値814.85ポイントをつけています。

日本株市場に大きな影響を与えている米10年国債利回りは、9月末の4.57%から10/23(月)には一時5%を超え、10/31(火)時点でも4.93%と、金利上昇局面が続き、金利上昇に弱いグロース銘柄には逆風となりました。中東情勢が不安定となったことや、米下院議長の空白問題もあり、市場でリスクオフムードが広がったことも、中小型株が多いグロース市場には重しとなった格好です。

そうした中、東京市場は11月相場を迎えました。中小型株の市場が底値を確認したとは言い切れませんが、大幅安で値ごろ感が強まっている銘柄が増えていることは確かです。株価が大幅に下げたものの、業績好調な銘柄については、投資チャンスをうかがい始めても良いのではないでしょうか。

そこで、今回の新興株ウィークリーでは、以下のようなスクリーニングを行ないました。

(1)東証スタンダード市場、またはグロース市場に上場

(2)10/30(月)までの20営業日で1日当たり平均出来高が2万株超

(3)時価総額100億円以上1,000億円未満

(4)6/21(東証グロース市場が年初来高値をつけた日)から10/31(火)までの株価下落率が30%超

(5)直近の四半期営業利益(3ヵ月)が次のいずれかの条件を満たしていること

・前年同期比営業増益率が、会社予想通期営業増益率を上回っていること

・営業利益の金額が通期(会社予想)営業利益に対し25%超

図表の銘柄は、上記のすべての条件を満たしています。掲載の順番は(4)の株価下落率順となっています。

【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 10/24(火)~31(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 株価大幅下落も業績好調な中小型株11選

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(10/31・終値)
6/21からの
騰落率
四半期業績コメント
3856 3856 3856 3856 Abalance(11/14) 3,230 -67.8% 23.6期4Q(3ヵ月)の営業利益3,583百万円は、通期営業利益13,565百万円の26.4%
5027 5027 5027 5027 AnyMind Group(11/14) 604 -48.5% 23.12期2Q(3ヵ月)の営業利益168百万円は、通期会社予想営業利益481百万円の34.9%
5038 5038 5038 5038 eWeLL(11/10) 3,125 -44.9% 23.12期2Q(3ヵ月)の営業利益226百万円は、通期会社予想営業利益879百万円の25.7%
7094 7094 7094 7094 NexTone(11/10) 1,356 -44.7% 24.3期1Qは前年同期比123%増益で、通期会社予想増益率19%を上回る
4376 4376 4376 4376 くふうカンパニー(11/14) 305 -39.2% 23.9期3Q(3ヵ月)の営業利益1,023百万円は、通期会社予想営業利益2,000百万円の51.1%
6614 6614 6614 6614 シキノハイテック(11/10) 2,233 -35.8% 24.3期1Qは前年同期比224%増益で、通期会社予想減益率15%を上回る
3773 3773 3773 3773 アドバンスト・メディア(11/7) 1,363 -34.3% 24.3期1Qは前年同期比13%増益で、通期会社予想増益率11%を上回る
5139 5139 5139 5139 ※オープンワーク(11/13) 887 -33.9% 23.12期2Q(3ヵ月)の営業利益245百万円は、通期会社予想営業利益820百万円の29.8%
4051 4051 4051 4051 GMOフィナンシャルゲート(11/13) 8,360 -32.8% 23.9期3Q(3ヵ月)の営業利益341百万円は、通期会社予想営業利益1,020百万円の33.4%
5254 5254 5254 5254 Arent(11/10) 4,405 -32.2% 23.6期4Q(3ヵ月)の営業利益209百万円は、通期営業利益708百万円の29.5%
9229 9229 9229 9229 サンウェルズ(11/10) 2,578 -31.8% 24.3期1Qは前年同期比229%増益で、通期会社予想増益率133%を上回る。
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成
  • ※銘柄名右横の月日は決算発表予定日
  • ※オープンワーク(5139)は株式分割(1:4)の権利落ち日が10/31(火)となっています。

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■AnyMind Group(5027)~ブランドとインフルエンサーのマッチング等。EC・D2C領域でグローバルに活躍

★日足チャート(1年)

  • ※データは2023/11/1(日足)13:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■ブランドとインフルエンサーのマッチング等。「高成長地域」×「高成長市場」

ブランドの成長支援やインフルエンサーマーケティング、ブランドとインフルエンサーをマッチングさせるビジネス等を展開。顧客対象は、法人(メディア・ブランド企業)及び個人(インフルエンサー・クリエイター)です。

EC、D2C*領域をワンストップで支援するプラットフォーム(自社開発)を通し、ブランド設計から生産管理、ECサイトの構築・運用、マーケティングから物流管理まで一気通貫でソリューション提供をしています。他にも、UX改善やクリエイター向けへ収益最大化等の支援に特化したサービスも展開中です。

*D2C(Direct to Consumer)=大手プラットフォームや流通業者を通さず、企業が直接自社サイトで顧客に販売する方式。

2016年に創業、シンガポールから事業をスタート。前期(22.12期)の地域別売上高は日本47%、東南アジア(シンガポール、タイetc)37%、その他(インドetc)が16%と、海外が過半数以上を占めています。

「東南アジア」という人口増が見込める成長地域かつ、「EC・D2Cマーケ」という高成長市場で、事業を展開を行ってきたことを業績拡大の要因として挙げています。また、これまで13カ国で1,000超のブランド支援を行ってきた実績を有しています(同社HPより、23.10末時点)。

■2Q黒転後、通期計画を上方修正。業績は下期(4‐12月)偏重の傾向

業績傾向に関し会社側は、海外では12月決算企業が多いため、4Q(10-12月期)にマーケティング費用が集中すると述べています。一方、1Q(1-3月期)は、4Qの反動と日本の年末年始休暇等により業績が低水準にとどまる傾向がある模様です。

今期も1Q(1-3期)は0.6億円の営業赤字でしたが、2Q(4-6月期)は1.6億円の黒字転換を達成。下期偏重型の傾向を踏まえ、通期業績予想を上回る堅調なペースの業績となりました。

その後、9/25(月)に好調な業績推移や子会社取得による業績拡大、収益性の改善改善などを背景に、通期業績予想の上方修正を発表。営業利益は、4.8億円と従来予想の55%の大幅増となる見通しです。

期末に向け業績が加速する傾向のため、3Q(7-9月期)での業績動向は肝要となってくるでしょう。発表予定日は、11/14(火)です。

株価は23年3月の新規上場後、7月に上場来高値をつけました。しかし、グロース市場全体の軟調や10月に売出しを実施し、株価は右肩下がりに推移しています。10月末時点で公開価格を37%下回っている水準です。これに対し、会社側は業績の進捗は順調であり、ネガティブな事業環境の変化等はないとコメントしています。

■シキノハイテック(6614)~株価は年初来高値から半値以下も、成長領域に展開しており中期的成長に期待

★日足チャート(6ヵ月)

  • ※データは2023/11/1(日足)13:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■半導体検査、設計支援とカメラモジュール販売に展開

富山県魚津市に本社を構える東証スタンダード市場上場銘柄で、事業内容は以下の通りです。(カッコ内は23.3期の売上構成比)

(1)電子システム事業(45%)

・おもに車載向け半導体の検査、装置を販売。半導体の初期不良を検査する「バーンイン装置」(国内シェア・トップ)他を開発・販売しています。

(2)マイクロエレクトロニクス事業(32%)

・おもに国内半導体メーカーの半導体設計を支援しています。アナログ半導体に強みをもっています。スマホ等で静止画の圧縮等を行う半導体等があります。

(3)製品開発事業(23%)

・様々な機器に組み込むカメラモジュールを開発・販売します。たとえばATMの監視に使われるカメラ等です。

おもな販売先としては、デンソー、ソニーセミコンダクターソリューションズ、ルネサスエレクトロニクス等があげられます。主要取引先10社の売上構成比は22.3期63%から23.3期68%と上昇傾向です。強固な顧客基盤は同社の強みといえそうです。

■株価年初来高値から半値以下に

23.3期は売上高64億円(前期比20%増)、営業利益6.5億円(同65%増)と大幅増収増益でした。しかし、24.3期は売上高66億円(前期比3%増)、営業利益5.6億円(同14.8減)と増収減益が会社予想です。前期比で研究開発費を2.1億円積み増す見込みであることがおもな理由です。

しかし、8/10(木)発表の24.3期1Q決算は、売上高16.7億円(前年同期比23%増)、営業利益1.6億円(同224%増)と大幅増収増益でした。将来の売上拡大につながりやすい受注残も前年同期で増加傾向となりました。電子システム事業と製品開発事業の伸長が寄与した形です。

株価は4/21(金)に年初来高値4,500円を付けた後、下落基調となり、10/24(火)には2,130円の年初来安値を付けました。年初来高値から半値以下に売り込まれた計算です。半導体市況が低迷していることや、中小型株市場への逆風が要因とみられます。

しかし、同社が展開している半導体事業は、おもに車載向けやアナログ半導体であり、安定成長が期待できる分野です。他に車載向けや、DX等の市場拡大が追い風になる分野もあり、中期的には成長が期待できる企業とみられます。予想PERは会社予想EPSの97.19円に対し、10/31(終値2,233円)時点で23倍弱まで下げており、一時に比べ割高感も乏しくなっています。

24.3期2Qの決算発表は11/10(金)の予定です。受注残の増減がチェックポイントのひとつだと思われます。

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