反発相場で主役?生成AI関連中小型株

反発相場で主役?生成AI関連中小型株

投資情報部 栗本奈緒実 鈴木 英之

2024/06/05

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反発相場で主役?生成AI関連中小型株

5月相場が終わり、6月相場に突入しました。5月末の日経平均株価は前月末比82円高とほぼ横ばいでした。一方、東証グロース市場指数は同▲4.1%と大きく劣後しました。日米ともに長期金利が上昇したことで、高PER株に向かい風が吹きました。

5月下旬における生成AI(人工知能)向け半導体最大手であるエヌビディアの決算発表以降、年初来から続いたAI相場は落ち着きを見せています。しかし、中長期的な投資テーマとしての生成AI自体の中長期的な成長シナリオは維持されたままと考えられます。6/2(日)に開催されたエヌビディアの講演では、今年中に出荷予定の「ブラックウェル」、2025年の「ブラックウェル・ウルトラ」、2026年の「ルービン」、そして翌年に「ルービン・ウルトラ」と1年ごとに新製品を投入する計画を発表。さらに、競合のAMDも6/3(月)に生成AIに最適化したPC向けの新型半導体を発表するなど盛り上がりを見せています。

また、日米株式市場では、現在、生成AI需要に対応するため、データセンター向け投資と電力需要が拡大するとの見方が市場で拡大。電線メーカーや電力などが関連株として物色され、活況を呈しています。

そこで今回は、「生成AI」銘柄以外にも、「データセンター」などにも目を向けて、話題性・成長期待を兼ね備えた銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。

(1) 東証グロース市場、または同スタンダード市場に上場

(2) SBI証券の検索ウインドウに「生成AI」、または「データセンター」、「エヌビディア」と入力すると出力される銘柄

(3) 6/3(月)までの20営業日で1日当たり平均出来高が2万株超

(4) 時価総額が100億円以上

(5) 前年末から6/4までの株価騰落率が10%以上

(6) 前期営業利益が1億円以上

(7) 会社計画の通期予想営業損益が増益

(8) 取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄、「継続企業の前提に関する注記」に記載のある銘柄を除く

図表の銘柄は、上記(1)~(8)の条件をすべて満たしています。掲載は会社予想営業増益率が大きい順です。

【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 5/28(火)~6/4(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 反発相場で主役?生成AI関連中小型株

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(6/4終値)
株価上昇率
(23年末比)
通期予想
営業増益率
6855 6855 6855 6855 日本電子材料 3,430 89.6% 175.9%
4264 4264 4264 4264 セキュア 2,210 42.4% 59.6%
3891 3891 3891 3891 ニッポン高度紙工業 2,175 24.6% 57.0%
9560 9560 9560 9560 プログリット 1,067 17.6% 50.9%
5588 5588 5588 5588 ファーストアカウンティング 1,048 43.6% 32.1%
5132 5132 5132 5132 pluszero 2,381 28.0% 27.7%
3374 3374 3374 3374 内外テック 2,969 23.3% 26.4%
5885 5885 5885 5885 ジーデップ・アドバンス 10,130 24.0% 13.8%
7305 7305 7305 7305 新家工業 5,370 84.8% 7.2%
3648 3648 3648 3648 AGS 1,010 21.2% 6.1%
2415 2415 2415 2415 ヒューマンホールディングス 1,452 18.5% 4.8%
7705 7705 7705 7705 ジーエルサイエンス 3,040 20.4% 4.7%
6777 6777 6777 6777 santec Holdings 7,580 144.9% 4.2%
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成
  • ※通期予想営業増益率は会社計画

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■日本電子材料 (6855

半導体製造時、品質検査で使用される「プローブカード」で世界高シェアを誇る企業です。主力製品の「アドバンストプローブカード」は、データセンターやスマホ向けのNAND型フラッシュメモリーなどの検査に用いられています。24.3期はメモリー需要の落ち込み等により減収減益でした。25.3期は非メモリー向けとメモリー向けの両方で需要回復を見込み、大幅に業績回復する計画です。また、TSMCの日本進出を契機に、2024年11月に熊本で新工場が操業開始予定。2030年頃までに生産能力を2倍にする計画です。

■セキュア (4264

AIセキュリティカンパニーと称し、入退室管理システムや監視カメラシステムなどを展開しています。「ALSOK」で有名な綜合警備保障株式会社も販売パートナーで、主要顧客の一つです。AI技術の活用による新規ビジネスでの成長を掲げており、2024年からAI STORE事業を本格化を開始。4月には、エヌビディアパートナーネットワークに参画しました。小売業界における、万引きによる商品ロス削減を解決するためAI学習モデルの開発を開始したことを発表しています。また、すでに同社が開発した、レジレス・無人店舗「SECURE AI STORE LAB 2.0」にはエヌビディアのGPUが使用されています。

■ニッポン高度紙工業 (3891

手漉きの土佐和紙が原点で、それを加工し、耐水性と耐熱性を高めた「高度紙」としてを販売したのが祖業です。現在は、エレクトロニクス分野で、絶縁する紙「アルミ電解コンデンサー」が主力製品。国内シェア95%、世界シェア60%を占めます(同社資料より)。アルミ電解コンデンサ用セパレータは、通信分野や車載分野での生成AI関連投資による需要拡大などを見込み、25.3期の会社予想営業利益は前期比57%超の大幅増益となる見通しです。

■プログリット (9560

英語コーチングサービス(売上高構成比率69%)とサブスクリプション型英語学習サービス(同31%)を展開しています(23.8期)。2023年4月から、「ChatGPT」を活用したAI英語学習サポートサービス「プログリット先生」を開始。例文・ストーリー作成や英文法開設、英文添削などが可能です。前期(23.8期)は売上高と全ての利益項目で過去最高を更新しました。24.8期もAIを活用した2つの新規サービスとして、既に提供を開始しているビジネス特化型発話トレーニングを行える「スピフル」と、6月に開始予定のAI英会話サービス「ディアトーク」があります。今期(24.8期)も中間期時点で、売上高と全ての利益項目で過去最高を更新し、堅調なもようです。

■ファーストアカウンティング (5588

会計分野に特化したAIソリューションサービス(経理AI事業)をメインとする企業です。AIによる請求書や領収書の入力・照合等を自動化するサービスを提供しています。支払関連分野のシェアでは3年連続トップを獲得した実績を有します(同社資料より)。エヌビディアの「DGX H100」を導入し、生成AIの学習と研究開発が加速中です。文字認識サービスの向上につながっています。同社の生成AIの論文は、コンピュータービジョンの国際会議WACV 2024で採択されました。インボイス制度の導入により、経理DXへのニースが高まることなどを背景に、今期(24.12期)は売上高16億円(前期比34%増)、営業利益1.6億円(同32%増)の増収増益を見込んでいます。

■pluszero (5132

第4世代AIカンパニー」を称する企業です。AEI(Artificial Elastic Intelligence、人間同様本質的な言葉の意味を理解するAI)によるディープラーニングの課題解決を目指し、ChatGPTなどの信頼力&現場対応力を向上させています。売上高のほとんどが、請負契約や準委任契約に基づき、顧客企業のサービス・システム設計・開発・保守運用までをワンストップで提供するプロジェクト型です。サービス型では仮想人材派遣の拡大を推進中です。他には、顧客企業生成AIを用いた製造業の設計効率化を24.10期のAEIの重点事業の一つとして挙げています。今期(24.10期)は、売上高11億円(前期比32%増)、営業利益2億円(同28%増)の増収増益が会社計画です。

■内外テック (3374

技術系専門商社。半導体関連装置を中心に、空気圧機器などの機器や機械部品を取り扱っています。東京エレクトロンが売上高の70%以上を占める主要顧客です。24.3期は半導体メーカーの在庫調整と設備投資延期により減収減益となりました。しかし、25.3期は、生成AI関連投資の増加などによる、半導体製造装置の需要拡大を背景に、売上高438億円(前期比12%増)、営業利益15億円(同26%増)の増収増益が会社計画です。ただ、中間期段階では減収減益の計画で、業績回復の本格化は年度後半となる見通しを掲げています。

■ジーデップ・アドバンス (5885

システムインキュベーション事業を展開。顧客企業がAIサービスを開発・運用するための製品・サービスの提供や、ハードウェアやソフトウェアの保守・点検等を行っています。エヌビディア製品の販売を行うエリートパートナー企業でもあります。AMDやインテルの製品も取り扱っています。世界的なAIカンファレンス「NVIDIA GTC」で8年連続受賞した実績を有します。また、高消費電力化を見越した対応として、国内大手のデータセンターと提携。運用支援でのストック収益の拡大を図っています。今期3Q(23.6-24.2期)時点では、営業利益は前年同期比5%超の減益ですが、通期では前期比14%増となる見通しです。生成AIなどの案件規模の大型化に伴い、受注までのリードタイムも長期化しているもようです。一方、需要が引き続き高いことやGPUクラウドサービスに大型の補助金が適用されたことや、令和6年度概算要求におけるAI関連予算が前年比44%増の大幅増となったことなどをポジティブ材料として挙げており、引き続き堅調な業績推移が期待されます。

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