ポイントとリスクを整理 好業績の半導体関連銘柄

投資情報部 鈴木 英之 髙田航輝
2026/05/27

当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証グロース市場・スタンダード市場の中小型株を中心に、好業績が期待される銘柄や、投資家の皆様が気になる話題についてわかりやすくお伝えします。
新興株ウィークリー
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ポイントとリスクを整理 好業績の半導体関連銘柄
日経平均株価は5/25(月)取引時間中に65,408.87円まで上昇し、過去最高値を更新しました。
中東情勢の緊張緩和と好調な企業業績が株価の上昇要因となったと考えられます。相場のけん引役は、やはりAI・半導体関連銘柄であり、ソフトバンクグループ(9984)やキオクシアホールディングス(285A)などが大きく値上がりしました。
今後の注目ポイントですが、アメリカではウォーシュFRB(米連邦準備制度理事会)議長が就任し、6月に就任後初めてのFOMC(連邦公開市場委員会)を迎えます。企業の決算発表が一巡し、市場の関心は業績から金利動向に移ると考えられます。FOMCにおける政策金利決定の参考とされる雇用や物価などの各経済指標にも注目が集まります。インフレが想定以上に粘着するようであれば、利上げ観測が高まり、株式市場にとってはマイナス要因になるかもしれません。
5/20(水)~5/26(火)の各指数のパフォーマンスは以下のとおりです。
日経平均株価:+8.6%
TOPIX:+3.8%
東証スタンダード市場指数:2.5%
東証グロース市場指数:6.5%
さて、今回の新興株ウィークリーも業績面から期待の値上がり株を探していきたいと思います。本業のもうけを示す営業利益に注目して銘柄を抽出しました。
今回のスクリーニング条件は以下のとおりです。
・東証スタンダード市場または東証グロース市場に上場
・SBI証券Webサイトの銘柄検索ウィンドウに「半導体」と入力し出力される銘柄
・5/22(金)まで直近20営業日の1日当たり平均出来高が2万株以上
・3月末以降5/26(火)まで株価が上昇
・今期会社予想営業利益が前期比20%以上の増益予想
・信用規制・注意喚起銘柄を除外
図表に掲載している銘柄は、上記条件をすべて満たしています。掲載順については、3月末以降の株価上昇率が大きい順になっています。
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【銘柄一覧】ポイントとリスクを整理 好業績の半導体関連銘柄
| 取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄名 | 株価 【5/26・円】 |
3月末比株価騰落率 | 今期会社予想営業増益率 | 半導体関連事業の概要 |
| 6324 | 6324 | 6324 | 6324 | ハーモニック・ドライブ・システムズ | 8,000 | 130.9% | 141.5% | 産業ロボット・半導体製造装置・精密機器向け減速機を製造 |
| 4970 | 4970 | 4970 | 4970 | 東洋合成工業 | 17,790 | 77.9% | 36.3% | 最先端半導体向け感光材・フォトレジスト材料で世界シェア7割 |
| 6125 | 6125 | 6125 | 6125 | 岡本工作機械製作所 | 5,260 | 39.5% | 97.6% | 平面研削盤などの工作機械。半導体関連機械も。 |
| 6521 | 6521 | 6521 | 6521 | オキサイド | 5,840 | 37.9% | 71.9% | 半導体欠陥検査装置に不可欠な単結晶製造で世界トップ級 |
| 6918 | 6918 | 6918 | 6918 | アバールデータ | 3,360 | 30.4% | 73.9% | 半導体製造装置や医療機器、ロボット等向けに電子機器 |
| 4366 | 4366 | 4366 | 4366 | ダイトーケミックス | 450 | 25.0% | 31.9% | フォトレジスト向け「感光性材料」の製造 および販売 |
| 6337 | 6337 | 6337 | 6337 | テセック | 2,434 | 3.1% | 49.5% | 半導体検査装置のハンドラやテスターを開発および製造、販売 |
| 5942 | 5942 | 5942 | 5942 | 日本フイルコン | 590 | 2.4% | 34.7% | 半導体・ディスプレイ向けフォトマスク、ステッパー用レチクル等を製造・販売 |
| 3321 | 3321 | 3321 | 3321 | ミタチ産業 | 1,917 | 1.3% | 25.7% | 半導体・電子部品を扱うエレクトロニクス商社。名古屋市本社。 |
- Bloombergデータ、会社資料等をもとにSBI証券が作成。
一部掲載銘柄を詳細に解説!
■ ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)~テーマ性だけの追求は危険?会社の中身を再確認~
◎精密減速機を製造
ハーモニック・ドライブ・システムズは精密減速機やメカトロニクス製品を手掛ける機械メーカーです。主力は波動歯車装置の「ハーモニックドライブ®」で、産業用ロボットや半導体製造装置などに用いられます。小型・軽量・高精度を強みとしています。
減速機は自転車のギアのようなイメージで、モーターの回転スピードを落として、その分だけ力を強くする部品です。半導体分野はもちろん、ヒト型ロボットやAIロボットに必要な部品を製造する会社として注目度が高まっています。
◎2027年3月期は増収増益の予想。「フィジカル関連銘柄」として物色?
5/13(水)に発表された2026年3月期通期の決算は売上高595億5,700万円(前期比7.0%増)、営業利益25億6,700万円(前期は600万円)でした。年間の1株当たり配当金は20円です。2027年3月期通期の会社予想は売上高680億円(前期比14.1%増)、営業利益62億円(同141.5%増)の増収増益と発表されました。年間の配当予想は1株当たり20円で据え置きとなりました。
株価について、決算発表翌日の5/14(木)以降は売りに押される場面が多かったですが5/21(木)には反転し、5/26(火)には高値8,080円をつけるまで上昇しました。
注目度が高いフィジカルAI関連の銘柄として物色対象になっていると思われます。
◎株価が急騰する中、リスク要因をチェック
新興株ウィークリーでは何度か同社をフィジカルAI関連としてピックアップしてご紹介しています。
今回は株価が急騰する中でリスクについて整理したいと思います。
まず、バリュエーションが高くなっています。2027年3月期の予想PERは160倍を超えており、割高な水準にあるといえます。製造装置や検査装置など分野が異なるため単純比較はできませんが、半導体関連銘柄である東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)、ディスコ(6146)の予想PERはいずれも50倍を超えていません。また、利益成長を加味したバリュエーション指標の今期予想PEG(数字が小さいほど割安、5/26時点、市場予想ベース)をBloombergで確認すると、東京エレクトロンが1.65倍、アドバンテストが2.41倍、ディスコが2.33倍に対し、ハーモニック・ドライブ・システムズは27.96倍となっており、マーケットの期待値が織り込まれていると思われます。
2つ目に市場の期待、関心がフィジカルAIに集中しすぎているのではないかという懸念です。AIロボットやフィジカルAIの分野は今後発展が期待されていますが、キオクシアホールディングス(285A)に代表される半導体関連企業のような大幅な利益成長を示す段階には至っていません。マーケットの期待がいつまで継続するのか、また、次回以降の決算発表でAIロボットの分野での利益成長、収益化の進捗が市場期待に届かなかった場合、株価下振れの要因になると思われます。
一方で同社としてもAIロボットへの期待と収益性については議論されていると思われます。決算発表説明会の中で、当初想定よりAIロボット市場の成長・収益化が遅れていることやAIロボットのほかにも宇宙・防衛を成長領域として据えていることが述べられていました。また、同社は宇宙・防衛を比較的収益性が高い領域として認識しており業績への寄与が期待されます。
フィジカルAIは中長期的なテーマであり、関連企業として同社への市場の関心は引き続き高いとみられます。一方で短期的にはバリュエーションが高くなっており、テーマ性だけを理由とした投機的な動きには注意が必要です。AIロボットの受注拡大から利益成長に至るシナリオや宇宙・防衛分野の収益貢献を次回以降の決算発表やプレスリリースなどで確認しながら、慎重に判断していく局面であると思います。
■ 東洋合成工業(4970)~フォトレジスト用感光材で世界シェア・トップ~
◎ 日本企業が高いシェアを誇る半導体フォトレジスト向けに感光材等を提供
半導体製造工程では、シリコンウエハ表面に電子回路を形成するため、光に反応して性質が変化する薬剤である「フォトレジスト(感光性材料)」が使用されます。このフォトレジスト分野は、東京応化工業、JSR、信越化学工業、住友化学、富士フイルムホールディングスといった日本企業が独占的シェアを有しており、日本勢が圧倒的な競争力を持つ領域です。
東洋合成は、主としてこれらフォトレジストメーカー向けに、感光材、超高純度溶剤、ポリマーなどを提供しています。なかでも最先端半導体向けの感光材分野では、世界シェア約7割(TOYO GOSEI REPORT 2025)を有するとされ、経済産業省が選定する2020年版「グローバルニッチトップ企業100選」にも選ばれた実績を有しています。
2026年3月期の売上高構成比は、感光材が63%、化成品が37%です。化成品事業では、需要が安定成長している合成香料を展開しており、製品別の世界シェアは30~40%とされ、こちらもグローバルニッチトップのポジションを確立しています。
◎ 大型設備投資が一巡し、回収局面に
2026年3月期上半期(2025年4月~9月)は、売上高193億円(前年同期比3.2%増)、営業利益9.3億円(同57.1%減)と増収減益となりました。これは、先端半導体向け材料に対応した新設備投資が完了し、減価償却費や人員増強などにより、前年同期比で12.1億円のコスト増が発生したことが主因です。
一方、下半期(2025年10月~2026年3月)は、売上高226億円(前年同期比13.4%増)、営業利益27.3億円(同42.1%増)と、増産・増販効果が顕在化しました。結果として、2026年3月期通期では、売上高419億円(前期比8.5%増)、営業利益36.6億円(同10.6%減)となり、増収ながら減益となりました。
2027年3月期は、売上高475億円(前期比13.2%増)、営業利益50億円(同36.3%増)と、増収増益を計画しています。先端半導体向け材料の増販を背景に、売上高は過去最高水準を見込んでいます。2024年3月期および2025年3月期に実施した大規模設備投資の影響により、高水準の減価償却費計上は継続する見込みですが、新設備の稼働率向上による固定費吸収が期待されます。
なお、中東情勢に伴う原材料価格や物流費の上昇については、会社側は現時点で想定可能な範囲で業績計画に織り込んでいる模様です。
◎ 市場成長の恩恵を享受できるポジション
フォトレジスト市場は、2024年から2030年にかけて年平均成長率6%前後が見込まれています。なかでも先端分野であるEUV(極端紫外線)向けは、年25%前後という高成長が予想されています(会社資料)。
同社は主要フォトレジストメーカーと長年にわたる密接な取引関係を築いており、高い参入障壁を有しています。そのため、フォトレジスト市場の成長、とりわけEUV向け需要拡大の恩恵を受けやすいポジションにあると考えられます。
同社は5/8に決算発表を行い、増益見通しが好感されて株価は上昇し、5/14には19,310円の上場来高値を更新しました。その後はやや一服感が見られる状況です。
東洋合成は、EUV時代において相対的な重要性が高まっている「感光材」という中核部材で高い世界シェアを有し、技術面・取引関係の両面で極めて高い参入障壁を築いている企業です。足元の減益は需要低迷によるものではなく、将来成長を見据えた先行投資の結果であり、業績はすでに回復局面に入りつつあると評価できます。
一方で、顧客がフォトレジストメーカーに集中している点や、先端半導体市況の変動に業績が影響を受けやすい点には留意が必要です。また、株価はすでに過去最高値圏を経験しており、短期的には値動きが荒くなる可能性もあります。
以上を踏まえると、本銘柄は、短期的な値幅取りを狙う対象というよりも、EUV(極端紫外線)露光の普及とともに中長期で成長を取り込む「技術優位型の素材銘柄」として、調整局面を活用しながら段階的に組み入れを検討する投資スタンスが適していると考えます。
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