日経平均5万円に再挑戦?リード役候補の好業績6銘柄

日経平均5万円に再挑戦?リード役候補の好業績6銘柄

投資情報部 鈴木英之

2025/10/24

日経平均5万円に再挑戦?リード役候補の好業績6銘柄

■日経平均株価、5万円再挑戦なるか?

  • 10月21日(火)、日経平均株価は一時5万円目前まで上昇しました。
  • 国内の政局では、自民党と公明党の連立解消により一時的に不透明感が強まりましたが、日本維新の会が自民党に急接近。10月20日(月)には両党が連立に合意し、維新が首相指名選挙での高市氏への投票を決定。翌21日(火)、高市氏が国会で内閣総理大臣に指名されました。
  • 高市首相は日本憲政史上初の女性首相であり、その登場は海外からも日本の変化への期待を呼ぶ可能性があります。同氏は日本経済の成長を重視し、積極的な財政政策を志向すると見られています。
  • ただし、21日午後から23日(木)にかけては、東京株式市場で利益確定売りが優勢となりました。それでも、防衛関連や大阪副首都関連銘柄など「高市トレード」は健在であり、日経平均株価が再び5万円に挑戦する展開が期待されます。

■企業業績への注目

  • 日経平均株価の上昇は、内外の不安後退による心理的要因だけではなく、企業業績の改善期待も大きな要因と考えられます。
  • 日経平均株価の予想EPS(1株当たり利益)は、9月2日(火)の2,398円を底に、10月21日(火)には過去最高の2,613円まで上昇しました。関税問題を織り込んだうえで、企業業績の改善傾向が鮮明になりつつあります。さらに、為替市場での円安(対ドル・ユーロ)が追い風となっています。
  • こうした中、東京株式市場は10月下旬から決算発表シーズンが始まります。3月決算企業の第2四半期決算が中心で、10月下旬から11月中旬にかけて多くの上場企業が発表を予定しています。
  • 新首相が決まった今、株式市場の注目は政局から企業業績といったミクロの要因へと移っていくと見られます。

2月・8月決算企業の好業績銘柄に注目

  • 今回の「日本株投資戦略」では、決算期末が2月・8月の企業に注目します。
  • 株式市場では3月決算企業に注目が集まりがちですが、好決算を期待して投資する「決算トレード」には、業績悪化による株価下落などのリスクも伴います。
  • 一方、2月・8月決算企業は主として10月15日(水)までに2025年6~8月期の決算発表を終えており、現在は決算説明会やアナリストによる個別取材を通じて、投資評価の見直しが本格化している時期です。好決算を発表した銘柄は、今まさに投資の好機といえるかもしれません。

■スクリーニング条件

以下の条件をすべて満たす銘柄を抽出しました。


・東証プライム市場に上場

・時価総額500億円以上

・決算期末が2月または8月

・予想純利益を予想するアナリストが2名以上

・2025年3~8月期(26.2期本決算の上半期、25.8期本決算の下半期)の純利益が前年同期比で10%以上増益

・今期の市場予想純利益(Bloombergコンセンサス)が増益

・来期の市場予想純利益(Bloombergコンセンサス)が5%以上増益

・決算発表日の株価に対して、10月22日終値が上昇

・取引所、日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除外


掲載順は株価上昇率順(決算発表日終値~10/22)です。

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【銘柄一覧】日経平均5万円に再挑戦?リード役候補の好業績6銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 終値(円)
【10/22】
株価上昇率 2025年3~8月期純増益率
4413 4413 4413 4413 ボードルア 3,165 17.3% 33.1%
3141 3141 3141 3141 ウエルシアホールディングス 3,018 11.8% 35.9%
3498 3498 3498 3498 霞ヶ関キャピタル 10,060 9.1% 109.2%
9861 9861 9861 9861 吉野家ホールディングス 3,138 3.1% 19.5%
9716 9716 9716 9716 乃村工藝社 1,060 2.6% 422.0%
9418 9418 9418 9418 U-NEXT HOLDINGS 2,088 0.7% 35.1%
  • ※Quick データ、会社発表データをもとにSBI証券が作成。
  • ※株価上昇率は決算発表日終値から10/22までの上昇率です。全銘柄が決算発表日の取引終了後に発表を実施しています。

一部掲載銘柄を解説!

■ボードルア(4413)~連続増収増益、営業利益率21%、ITインフラ銘柄が描く成長曲線

★日足チャート(1年)

★業績推移(百万円)

■ITインフラに特化、高い利益率が強み

◎ITインフラストラクチャ(以下「ITインフラ」)に特化した企業です。ITインフラ領域では、ITコンサルティング、マルチベンダーによる構築支援、運用・保守、クラウド基盤の導入支援などを手がけています。

◎ITインフラとは、パソコンやスマートフォンをはじめ、さまざまなアプリケーションやシステムを稼働させるために不可欠な基盤であり、ネットワークやセキュリティなども含まれます。

◎主要顧客には、ソフトバンク、NTTドコモビジネス、NTT東日本、KDDI、三菱総合研究所などが名を連ねており、大手通信キャリアが中心です。

◎通信キャリア向けの主な業務は以下の通りです。

  • 通信量の増加に対応する柔軟かつ効率的なネットワークの設計・構築支援
  • クラウドソリューションの導入支援
  • 大規模ネットワークを守るセキュリティの構築

■連続増収増益、高成長・高利益率が際立つ

◎業績は2017年2月期から2025年2月期まで連続して増収増益を達成。年平均成長率は売上高が27%、営業利益が44%と高水準です。売上高営業利益率も8%から21%へと大きく改善しています。

※当社は2023年2月期に単独決算から連結決算へ移行し、2024年2月期以降はIFRS(国際会計基準)を採用しています。上記の成長率は制度変更を考慮しない単純計算です。

◎同業他社と比較しても、当社の売上高営業利益率は高水準です。例えば、SCSK(9719)は11%、IIJ(3774)は10%(いずれも2025年3月期)となっています。

◎高成長・高利益率を支える要因は以下の通りです。

  • 大手通信キャリアとの継続的な取引が示す高い技術力
  • 設備投資額が大きい「エンタープライズ顧客」の比率が72%(2025年2月期)と高い
  • 保守・運用などのストック型売上比率が47%(同上)で、収益の安定性に寄与
  • ワイヤレス、クラウド、負荷分散、セキュリティ、サーバー仮想化など、専門性の高い先端技術分野の売上構成比が63%と高い

■好業績に加え「国策銘柄」としての注目も

◎2026年2月期上半期(2025年3月~8月)の業績は以下の通りです。

  • 売上高:76億円(前年同期比45%増)
  • 営業利益:14億円(同34%増)
  • 純利益:10億円(同33%増)

◎企業の業務効率化や競争力強化を目的としたIT・DX投資が堅調に推移しており、当社が強みとするクラウド環境の整備、ネットワークの高速化・安定化、セキュリティ強化などの分野で需要が拡大しています。

◎2026年2月期通期の会社予想は以下の通りです。

  • 売上高:171億円(前期比46%増)
  • 営業利益:32.5億円(同32%増)
  • 純利益:23億円(同30%増)

◎上半期は計画を上回る着地となった模様で、会社側は下期について「上期の増益率(34%)を上回る着地を目指す」としています。中期計画では、営業利益を2027年2月期に42.2億円、2028年2月期に54.9億円と見込んでいます。

◎株価は年初来高値3,450円(6月2日)付近で押し返される展開が続いていますが、サイバーセキュリティ強化は高市政権の重要課題でもあり、「国策銘柄」として話題性の面からも再評価されれば、好業績を背景に高値突破も期待されます。

■乃村工藝社(9716)~「大阪・関西万博後も強い!?」再開発・インバウンドで伸びるディスプレイ・トップ

★日足チャート(1年)

★業績推移(百万円)

■総合ディスプレイ業界の最大手、20年以上にわたり業界を牽引

◎総合ディスプレイ業界で売上高・シェアともにNo.1を誇る最大手企業です。会社資料によると、2024年度における業界上位30社の売上高合計に対し、当社は16.1%を占めており、第2位の丹青社(9743)の9.8%を大きく引き離しています。「20年以上にわたり業界を牽引してきた」との記載もあります。

◎年間受託プロジェクト数は13,674件、年間取引顧客数は2,924件に上り、継続顧客比率は88%と高水準。業界トップ企業としての地位を確立しています(2026年2月期上半期決算説明資料より)。

◎創業は1892年(明治25年)、香川県高松市にて芝居の大道具方として乃村泰資氏が立ち上げました。大正時代には菊人形の舞台演出などを手がけ、昭和以降は博覧会の展示や百貨店の催事など、イベント分野にも進出しました。

◎売上高の構成比(2025年2月期)は市場ごとに分散しており、専門店市場が23%、余暇施設市場(ホテル・テーマパーク等)が16%、複合商業施設市場が14%、博覧会・イベント市場が13%など、バランスの取れた構成です。

20262月期上半期は大幅な増収増益

◎10月9日(木)に発表された2026年2月期上半期(2025年3月~8月)の業績は以下の通りです。

  • 売上高:805億円(前年同期比39%増)
  • 営業利益:68億円(同377%増)
  • 純利益:44億円(同421%増)

◎この好業績を受け、会社側は通期業績予想を上方修正しました。

  • 売上高:1,550億円 → 1,600億円(前期比6%増)
  • 営業利益:95億円 → 120億円(同34%増)
  • 純利益:70億円 → 85億円(同25%増)

◎上半期は、大阪・関西万博関連案件の完工に加え、専門店・都市開発・オフィスなどの大型案件が寄与し、大幅な増収となりました。増収効果に加え、収益性改善施策も奏功し、利益面でも大幅な伸びを記録。これらを背景に通期予想の上方修正につながりました。

■万博後の反動懸念も、中期的には明るい展望

◎将来の収益につながる受注高は、2026年2月期第1四半期(2025年3~5月)には前年同期比30%増となったものの、第2四半期(2025年6~8月)には同22%減と、大阪・関西万博の反動が表面化しています。これにより、2025年8月末時点の受注残は前年同期比26%減となりました。

◎このため、2026年2月期は増収増益が見込まれるものの、2027年2月期の業績には一定の注意が必要です。市場コンセンサスでは6%増益(26年2月予想比)が予想されていますが、会社側の期初予想が慎重になる可能性もあります。ただし、上半期決算説明会のQ&Aでは、会社側は堅調な業績の持続を示唆しています。

◎中期的には、ディスプレイ業界の展望は明るいと見られます。全国各地で再開発案件が相次いでおり、万博後の関西地区においても、自民党と日本維新の会の連立成立により「大阪副首都構想」が国策化される可能性が高く、再開発需要は高水準を維持する見込みです。インバウンド需要の回復や、全国的なアリーナ・スタジアム建設ラッシュも追い風となりそうです。

■高水準の株主還元とROE

◎中期経営計画の最終年度(2026年2月期)では、DOE(純資産配当率)6%以上を目標としており、これは東証プライム市場の平均値(3.5%、前期実績)を大きく上回る水準です。ROEも同市場平均の9.1%、ライバルである丹青社(9743)の11.9%に対し、当社は2025年2月期で12.9%と高い実績を示しています。

◎2026年2月期の会社予想では、1株配当金は40円。10月22日時点の終値1,060円に基づく予想配当利回りは3.7%で、東証プライム市場平均(2.39%)を大きく上回っており、配当面でも魅力的です。ただ、ライバルである丹青社の5.0%に対しては劣後しています。

◎株価は9月8日に記録した年初来高値付近で推移しています。2027年2月期以降の増益シナリオに対する確度が高まれば、同高値の突破も期待されます。

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