高値更新後の一服場面で強いと期待される中小型株9選

高値更新後の一服場面で強いと期待される中小型株9選

投資情報部  栗本奈緒実

2025/10/22

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高値更新後の一服場面で強いと期待される中小型株9選

日経平均株価は「高市トレード」で一時5万円目前まで上昇しました。高市新首相の積極財政や成長投資への期待が背景にあります。10/21(火)に高市氏が第104代首相に指名され、新内閣発足の確定後は、イベント通過後の達成感から利益確定の売りが優勢となり、上げ幅を縮小した展開です。

高市新首相による「サナエノミクス」は、安倍政権下の「アベノミクス」を想起させる政策スタンスから、相場の再上昇を期待する声もあります。しかし、当時と現在では経済環境が異なる点が多々あります。アベノミクス初期はデフレ脱却を目指すリフレ政策への転換点で、市場に強いサプライズを与えました。一方、現在はインフレ基調が長引き、日銀は金融政策の正常化を模索しており、金融緩和に転じる余地は限定的です。また、与党の議席配分を踏まえると、政策の実行には一定の時間と調整が必要になりそうです。

こうした状況を踏まえると、短期的には期待先行で株価が上振れる可能性はあるものの、長期的な視点では「インフレ圧力の持続」「財政健全性への懸念」「金利上昇リスク」などが意識されやすく、アベノミクス初期のような全面的な上昇相場の再現は容易ではないとの見方が市場で広がっています。

また10/17(金)には、日経平均ボラティリティー・インデックス(日経VI)が一時37.5と約半年ぶりの高水準を付けました。日経VIは、日経平均株価の将来の値動きの大きさを示す指標です。数値が高いほど市場が不安定で投資家心理は弱気に傾きやすいと考えられ、30超が警戒ゾーンの目安とされています。

足元で急速な株高が進む環境での防御策として本日の「新興株ウィークリー」では、下落局面に強いと期待される中小型株を探してみました。また、成長株中心のポートフォリオにもディフェンシブ枠として組み合わせる効果が期待できると考えます。

スクリーニング条件は下記の通りです。

・東証グロースまたは東証スタンダードに上場

・時価総額が100億円以上

・売買高移動平均(25日)が2万株以上

・売買代金移動平均(25日)が1億円以上

・対TOPIX ベイジアン型β値(36ヵ月)が0.7より小さい

・直近3期の営業キャッシュフローが全てでプラス

・過去36回分の月次リターンのうち、最も悪かった月でも下落率が12%を超えていない(直近上場した銘柄については、取得可能な期間で計測)

・今期会社予想の経常利益が増益見通し

・取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除外

掲載は、対TOPIXベイジアン型&値(36カ月)が小さい順です。

※β値が1より小さい場合、その銘柄は「市場より小さく動く」傾向があるとみられます。1に近いときは「市場と同じくらいに動く」、1より大きいときは「市場より大きく動く」傾向があるとみられます。β値は過去の株価データから計算されますが、ベイジアン型β値は通常のβ値を改良しており、変動が大きい傾向のある中小型株に使いやすいとされます。

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【参考】 10/14(火)~10/21(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

【銘柄一覧】 高値更新後の一服場面で強いと期待される中小型株9選

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 株価
【10/21・円】
対TOPIX ベイジアン型
β値(36ヵ月)
会社予想
経常増益率
9028 9028 9028 9028 ゼロ 3,125 0.34 0.85%
9436 9436 9436 9436 沖縄セルラー電話 2,616 0.49 1.80%
2702 2702 2702 2702 日本マクドナルドホールディングス 6,140 0.40 4.45%
5161 5161 5161 5161 西川ゴム工業 2,975 0.50 5.03%
287A 287A 287A 287A 黒田グループ 850 0.31 10.03%
7222 7222 7222 7222 日産車体 1,143 0.41 19.72%
4026 4026 4026 4026 神島化学工業 1,600 0.54 22.24%
1384 1384 1384 1384 ホクリヨウ 2,513 0.65 49.43%
3640 3640 3640 3640 電算 2,937 0.63 72.69%
  • ※会社発表データ、Quick Workstation Astra ManagerデータをもとにSBI証券が作成

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■沖縄セルラー電話(9436)~沖縄県内唯一の総合通信会社。観光客の増加なども寄与。13期連続増益、24期連続増配

★日足チャート(1年)

★業績推移

KDDI×地域独占、沖縄県内唯一の総合通信会社

沖縄県で最大手の総合通信会社です。同県ではモバイルシェア約5割、ネット回線シェア(光)約3割を占めています(『サステナビリティ統合レポート2025』より)。沖縄振興を目的とし、県内の有力企業43社の出資により創業しました。

沖縄県で通信事業を開始する場合、離島の多さや気象リスクの高さから、コスト高・低収益で採算が立ちにくいと考えられます。そのため、地域密着型で先行した同社が、通信分野の安定収益を確保している構造です。

また、KDDI(9433)が同社株を51.9%保有する親会社であり、「au」「UQ mobile」「povo」など多様な価格帯のブランドラインナップでサービスを提供しています(25.3期末時点)。

■成長領域の売上高を倍に拡大。「ジャングリア沖縄」も

モバイルとネット回線(光)はコア事業として安定成長しつつ、成長領域での事業拡大を目指しています。成長領域での売上高を25.3期:150億円規模→31.3期:300億円規模と2倍に拡大することが中計目標です。

成長領域には具体的に、auでんきのエネルギー事業、遠隔医療・オフィスのデジタル化など、IoT・ICTを活用したビジネス事業が含まれます。

最近では、「ジャングリア沖縄」の通信インフラやセキュリティシステムの提供なども行っています。

■観光客の増加などが寄与し、モバイル総合収入増加

今期(26.3期)会社計画ではauでんきがけん引し、売上高850億円(前期比0.8%増)、経常利益182億円(同1.8%増)と増収増益となる予想です。

モバイルとネット回線(光)では、純増数は前期を下回る見通しです。ただ、1Q決算(4-6月期)では、通信料などが含まれるモバイル総合収入の増加やビジネス事業が寄与し、売上高206億円(前年同期比4%増)、経常利益46億円(同7%増)と増収増益となりました。

沖縄への国内客数は6月に過去最多を記録するなど、ローミング収入の増加が背景にあります。沖縄県の入域観光客概況の公表データによると7、8月の国内客数は過去最高を記録しています。また、円安が続く中、外国からの観光客の数も増加しており、令和6年度は前年度比1.8倍超まで増加しました。

■前期は13期連続増益、24期連続増配を達成

「3増(収・益・連続配のサンゾウ)+配当性向40%増」を目標に掲げています。前期(25.3期)は、3期連続増収、13期連続経常増益、24期連続での増配を達成しました。配当の原資となるフリーキャッシュフローも10期以上プラスを確保しています。

競合の少ない地域かつ、通信インフラという生活必需分野で堅調な業績を背景に、株価は上場来高値水準に位置しています。新規事業に投入できるキャッシュもあり、今後はモバイルや通信以外の成長事業の伸びに注目が集まります。

■電算 (3640)~地方公共団体に強いシステムインテグレータ(SIer)。DX特需で業績急拡大

★日足チャート(1年)

★業績推移

■甲信越を基盤とするシステムインテグレータ(SIer

甲信越地域を基盤とする独立系SIer。

1966年の創業以来、自治体の住民税計算や台帳管理などの事務処理受託を起点に事業を拡大してきました。

現在は、デジタル技術を活用したソリューションを幅広く提供しており、全国350以上の地方公共団体および関連団体、民間企業が主要顧客です。

▸公共分野(25.3期:売上高構成比76%)

地方公共団体向けの基幹業務システム「Reams」を主力とし、150超の自治体で導入済み。
住民記録、税務、福祉などの行政サービスに関するシステム提供を通じ、地域の行政DXを支えています。

制度改正や法対応に伴う定期的なシステム改修需要が安定的に発生し、長期契約が多い点が特徴です。

また、健診データ・予防接種履歴など医療・福祉情報の連携にも強みを持ち、自治体と医療機関をつなぐ「地域包括ケア」などに対応するIT基盤を構築できる点が他社との差別化要因となっています。

さらに、24時間365日稼働の自社データセンターを保有しており、無停電・災害対応・セキュリティ運用など「まもりのIT」を支える体制が整備されています。

▸産業分野(同24%)

医療・介護、金融、リース、流通など幅広い民間業種向けシステムを展開。

病院向け電子カルテシステムや介護サービス事業者向けの管理ソリューションのほか、リース業務パッケージ、販売管理システム、AI外観検査システム、AIチャットボットなど、AI・自動化領域のサービスも拡大しています。

同社は、システム開発から運用・保守、クラウド環境の提供までワンストップで支援できる体制を強みとしています。

■地方自治体DX特需で業績急拡大。通期計画の上方修正余地も

地方自治体は2025年度末までに、住民記録・税務・福祉などの情報システムを全国共通仕様に統一する必要があります。
同社はこの「自治体システム標準化」対応需要を背景に、公共分野を中心に受注を拡大しています。

本年9月には、26.3期2Q(25.4-9月期)の業績予想を大幅上方修正。売上高89億円→105億円(前年同期比44%増)、経常利益9.1億円→16億円(前年同期比5.5倍)と引き上げました。発表直後には、上場来高値を更新する場面がありましたが、10/21(火)時点では高値から約▲18%の調整局面にあります。

予想PERは5.3倍と依然として低水準で、同業の公共・自治体系SIer、同業の両毛システムズ(9691:PER約9.5倍)や東計電算(4746:同約14.7倍)を大きく下回っています(10/21時点)。

26.3期の通期業績計画については「精査中」とされており、今後の上方修正余地を残す状況です。次回の決算発表は、10/31(金)に予定されています。

一方で、来期(27.3期)は特需の反動が想定されるものの、標準化完了後は運用・保守やクラウド運用などの継続収益がどこまで拡大するかが注目点です。移行後の安定収益フェーズへの転換を示せれば、中期的な再評価につながる可能性があります。

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