アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~S&P500史上最高値更新!当レポートの「2024年注目銘柄」好調!!~

アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~S&P500史上最高値更新!当レポートの「2024年注目銘柄」好調!!~

投資情報部 榮 聡

2024/01/22

先週は台湾セミコンダクターの決算発表を受けてテクノロジー株への楽観が広がり、S&P500指数は25日移動平均線から反発、一気に史上最高値更新に進みました。今週の株価材料として、10-12月期決算発表、10-12月期GDP、ニューハンプシャー州予備選挙、などが注目されます。

今回は1/9(火)に掲載した「2024年注目銘柄」のパフォーマンスが好調なため、これを再掲いたします。エヌビディア(NVDA)サービスナウ(NOW)クラウドストライクホールディングス(CRWD)イーライ リリィ(LLY)ネットフリックス(NFLX)を選んで今週の5銘柄といたします。

図表1 S&P500指数のローソク足(日足、3ヵ月)

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率(「5日」は1/11(木)終値~1/19(金)終値によります)

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
情報技術 4.7% 5.2% 22.9%
コミュニケーションサービス 2.6% 3.8% 12.8%
S&P500 1.2% 1.8% 14.6%
金融 0.7% 1.5% 17.7%
資本財・サービス 0.2% -0.6% 14.0%
一般消費財・サービス -0.5% -1.9% 16.8%
生活必需品 -0.7% 1.2% 7.4%
ヘルスケア -1.0% 3.2% 9.0%
素材 -1.4% -4.1% 9.4%
不動産 -1.4% -2.8% 18.4%
エネルギー -1.9% -5.6% -11.4%
公益事業 -3.1% -2.7% 5.1%
騰落率上位(5日) 騰落率
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ 17.7%
ブロードコム 10.1%
クアルコム 9.3%
エヌビディア 8.5%
ペイパル・ホールディングス 7.3%
騰落率下位(5日) 騰落率
CVSヘルス -7.2%
ユナイテッドヘルス・グループ -6.7%
テスラ -6.6%
モルガン・スタンレー -5.7%
ネクステラ・エナジー -5.7%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で1.2%、NYダウは0.7%、ナスダック指数は2.3%の上昇でした。

1/16(火)にFRBのウォラー理事が利下げへの転換に慎重な発言を行い、1/17(水)にも同趣旨の金融当局者発言が続いたほか、12月小売売上高が前月比+0.6%(市場予想は同+0.4%)と強く、市場の早期利下げ期待が後退して金利が上昇しました。米10年国債利回りは4.1%台へ上昇、週前半の株価は下落となりました。

一方、1/18(木)には半導体受託生産の台湾セミコンダクターが10-12月期決算発表で、AI向けがけん引して2024年は20%台の増収見通しとしたことから、テクノロジー株が主導して反発、1/19(金)もこの流れが続いてS&P500指数は史上最高値を更新しました。

台湾セミコンダクターは、エヌビディア、AMDのほか、アップル、クアルコムなどを顧客としているため、同社の売上見通しは最先端の半導体市場動向を総合的に反映すると考えられます。

業種指数では、大手テクノロジー銘柄の構成ウェイトが大きい「情報技術」「コミュニケーションサービス」の優位が続きました。「情報技術」では、エヌビディアの上昇寄与が21%、マイクロソフトが20%、アップル13%と、3銘柄で50%を超えています。

個別銘柄では、アドバンスト マイクロ デバイシズ(AMD)の上昇が目立ちます。同社はこれまでエヌビディアがほぼ独占していた、AI向けGPU(画像処理半導体)へ競争力を高めた新製品で10-12月期に参入しています。製品ユーザーの大手テクノロジー企業はエヌビディアの競合企業を育てる誘因がありますので、AMDは一定の成果を出すと期待されています。

今週の米国株式

S&P500指数は25日移動平均線から反発して、2022年1月に付けた史上最高値の4,818.62ポイントを1/19(金)に更新しました。これはあくまで筆者の個人的なテクニカルの感覚ではありますが、株価が重要な高値をクリアした際には、株価指数ベースでは3~4%程度の上値がある(個別株ではもっと大きい)ことが多いようです。

これを今回に当てはめると、4,818ポイントの高値に対して4,963~5,011ポイントが当面の高値になるのではと想定されます。もちろん、10-12月期決算の出来次第ではありますが。

今週の株価材料として、10-12月期決算発表、1/25(木)の米国10-12月期実質GDP、1/23(火)のニューハンプシャー州予備選挙、などが注目されます。

今週は大手事業会社の決算発表が本格化して、10-12月期決算の基調が判明すると期待されます。ジョンソン&ジョンソン、3M、P&G、ベライゾンコミュニケーションズ、テスラ、IBM、AT&T、ネットフリックス、インテル、ビザなどの発表が予定されています。

S&P500指数採用企業のEPS(発表済企業と発表予定企業の混合)は前年同期比1.7%減の予想です(FactSet社集計、1/19(金)時点)。ハイテク大手の決算発表が進むにつれてプラスに転じてくるか注目されます。

米国の10-12月期実質GDPは前期年率+2.0%の予想で、7-9月期の同+4.9%から鈍化となることが確認される見通しです。市場のソフトランディング期待に対してどのような議論が行われるか注目されます。

ニューハンプシャー州は米国本土で最も無党派層の割合が高いとされ、今後の選挙戦を占ううえで注目されています。共和党ではトランプ氏が連続で圧勝となるか、デサンティス氏が撤退した後、元国連大使ニッキー・ヘイリー氏の追い上げなるか注目されます。民主党では、バイデン大統領が初戦州をニューハンプシャーとしないことを決めており、参加しません。

経済指標では上記のほか、1/25(木)に米国の12月耐久財受注(前月比+1.1%の予想)、米国の12月新築住宅販売件数(前月比+10.0%の予想)、米国の12月個人消費支出物価指数(総合指数は前年比+2.6%の予想、前月は同+2.6%、コア指数は前年比+3.0%の予想、前月は同+3.2%)、などの発表が予定されています。

今週の5銘柄

今回は1/9(火)の当レポートでご紹介した「2024年の注目銘柄」、エヌビディア(NVDA)、サービスナウ(NOW)、クラウドストライクホールディングス(CRWD)、イーライ リリィ(LLY)、ネットフリックス(NFLX)を再掲いたします。

同レポートでは今年想定される投資環境から考えて成長株が優位になるとの見方から、人工知能(AI)、サイバーセキュリティ、肥満治療薬などの投資テーマを中心に銘柄を選びました(詳しくは、1/9(火)掲載の「アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~2024年の注目銘柄5選、エヌビディア、サービスナウ、イーライリリィほか~」をご覧ください。)

年初からAI関連への物色が強まっているため、図表4の通りパフォーマンスはS&P500指数を上回って好調です。いまのところ、市場平均を下回る推移となっているイーライリリィ、ネットフリックスも10-12月期決算では良材料が出てくるのではと期待しています。

図表3 米国の小売売上高は引き続き強い

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表4 当レポートの「2024年の注目銘柄」パフォーマンス

銘柄名(コード) 株価(ドル) 騰落率(%)
2023年末 1/9(火) 1/19(金) 1/8~
1/19
2023年末~1/19
エヌビディア(NVDA) 495.22 531.4 594.51 11.9 20.0
サービスナウ(NOW) 706.49 698.67 749.11 7.2 6.0
クラウドストライクホールディングス(CRWD) 255.32 273.77 290.54 6.1 13.8
イーライ リリィ(LLY) 582.92 625.48 628.58 0.5 7.8
ネットフリックス(NFLX) 486.88 482.09 482.95 0.2 -0.8
5銘柄平均 - - - 5.2 9.4
S&P500指数 4,769.83 4,756.50 4,839.81 1.8 1.5

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

今週の注目銘柄

取引 チャート 銘柄 株価
(1/19)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートエヌビディア(NVDA)594.91ドル28.8

【AI向けGPUが伸びる】

人工知能チャットボット「ChatGPT」のブレークスルーによって生成AI市場の拡大が見込まれ、AIのトレーニングに欠かせないGPU(画像処理半導体)の需要が急拡大しています。現在GPUを量産する会社は、同社とAMDしかなく、AI向けGPU市場の8割以上を同社が支配していると言われています。今年はAMDが同市場に本腰を入れて、ある程度の市場シェアを獲得すると想定されますが、引き続き同市場の大部分はエヌビディアが占めると期待されます。

買付チャートサービスナウ(NOW)749.11ドル59.2

【企業のAI対応で活躍が期待される】

企業向けに各種ソフトウェアを提供して、業務の自動化を促進するサービスを提供しています。この仕事はAIとの親和性が高く、生成AIが売上増につながりやすい企業として注目されます。生成AIを業務執行に取り込むためのバーチャル・エージェント「Now Assist」を投入、エヌビディアが企業向けの分野で同社を提携先として選んだほか、コンサルティング大手のアクセンチュア、デロイトなど企業向けサービスで重要な企業と提携を進めています。企業が生成AIの機能を業務執行に生かしていく上で、頼れる存在になりつつあると考えられます。

買付チャートクラウドストライクホールディングス(CRWD)290.54ドル77.7

【サイバーセキュリティ市場が好調】

サイバー攻撃に対する防御として、ネットワークへの侵入を防ぐやり方と、エンドポイントで不正な動きを検知する やり方がありますが、標的型の攻撃が増えたことでネットワークへの侵入を完全に防ぐのは現実的ではなくなり、侵入後の不正な動きを検知するエンドポイント保護の重要性が増してきました。そのエンドポイント検知分野でのリーダーの地位を確立したことから、安定的に高い売上成長を実現しています。

買付チャートイーライ リリィ(LLY)628.58ドル50.5

【肥満治療薬市場が巨大に】

肥満治療薬は2030年に770億ドル(約11兆円)の巨大市場になるとの予想もでており(日本経済新聞記事、モルガンスタンレーの予想)、この市場をデンマークのノボノルディスクとイーライリリーが2分すると見込まれています。期待されている肥満治療薬「ゼプバウンド」は23年11月8日にFDAから承認が下りました。ノボノルディスクの肥満治療薬「ウゴービ」は既に2022年に投入されていますが、臨床試験のときの平均体重の減少は、「ウゴービ」が約15%、「ゼプバウンド」が約21%でした。

買付チャートネットフリックス(NFLX)482.95ドル30.1

【新規加入者数の増加が期待される】

昨年初から進めている共有アカウント対策の成果が出ていることから、加入者純増が好調に推移する可能性が注目されます。2023年7-9月期の加入者純増は876万人と市場予想の620万人を上回りました。業績は四半期の売上が、4-6月期に前年同期比3%増、7-9月期に同8%増、10-12月期に同11%増(会社ガイダンス)と伸びが加速するトレンドです。米、英、仏での一部プランの値上げも業績にポジティブで、アメリカではベーシックプランで2ドル、プレミアムプランで3ドルを引き上げています。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、エヌビディアとクラウドストライクホールディングスが2025年1月期、その他はいずれも2024年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
22(月)    
23(火) ・日銀政策金利
・ニューハンプシャー州予備選挙
・リッチモンド連銀製造業景気指数(1月)
・2年国債入札
ジョンソン&ジョンソン、3M、P&G、ベライゾンコミュニケーションズ
DRホートン、ゼネラルエレクトリック、テキサスインスツルメンツ
24(水) ・HCOBユーロ圏製造業PMI(1月)
・S&Pグローバル米国製造業PMI(1月)
・5年国債入札
テスラ、IBM、AT&T、ネットフリックス、サービスナウ
ラムリサーチ、マスターカード、ラスベガスサンズ
25(木) ・ECB主要政策金利
・ドイツIFO企業景況感(1月)
・シカゴ連銀全米活動指数(12月)

・米実質GDP(10-12月期、速報値)
・米耐久財受注(12月)
・米新規失業保険申請件数(1月20日に終わる週)
・米新築住宅販売件数(12月)
・7年国債入札
インテル、ビザ、ダウ、ユニオンパシフィック、アメリカン航空
26(金) ・米個人所得・個人支出(12月)
・米個人消費支出物価指数(12月)
・米中古住宅販売成約(12月)
アメリカンエキスプレス、TモバイルUS
29(月)    
30(火) ・ユーロ圏景況感(1月)
・ユーロ圏実質GDP(10-12月期、速報値)
・S&PコアロジックCS住宅価格(11月)
・米コンファレンスボード消費者信頼感(1月)
・米求人労働異動調査(12月)
マイクロソフトアルファベットAMDファイザー
スターバックス、スカイワークスソリューションズ
ダナハー、UPS
31(水) ・中国製造業・非製造業PMI(1月)
・米ADP雇用統計(1月)
・米FOMC政策金利
ボーイングキャタピラー、スーパーマイクロコンピューター
2月
1(木)
・米チャレンジャー人員削減数(1月)
・米新規失業保険申請件数(1月27日に終わる週)
・米自動車販売台数(1月)

・米ISM製造業景気指数(1月)
アマゾンドットコムメタプラットフォームズアルトリアグループ
メルク
2(金) ・米雇用統計(1月)
・ミシガン大学消費者信頼感(1月、確報値)
・米製造業受注(12月)
アップル(E)アッヴィエクソンモービル、シェブロン
リジェネロンファーマシューティカルズ、

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

おすすめ記事(2024/01/22 更新)

免責事項・注意事項

・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。

【手数料及びリスク情報等】

SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、各商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、商品先物取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。